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頭痛が痛い。2
しおりを挟むミナトは重い体を起こそうとしたが、側頭部に残る鈍痛と、全身にまとわりつく焼酎の残り香に阻まれた。顔をしかめ、深い溜息をつく。
「……ぅ、あぁ……」
鼻腔をくすぐる、昨夜の魚介と酒の匂い。
窓の外からは、エルドラド中層のざわめきが微かに聞こえてくる。
この巨躯の友人が自分を担いで帰ってくれたのだろうと、視線を隣のベッドに移す。
「ゴウキ……起きろ。」
声をかけ、布団をめくって体を揺さぶろうとした、その瞬間――ミナトの動きが、凍り付いた。
そこにいたのは、豪快なイビキをかくゴウキではない。
ふっくらとした頬に、まだあどけなさが残る、褐色肌の活発そうな少女が眠っていた。年齢は12-13歳ほどに見える。黒い髪は短く、身につけているのはレザーの軽装具だ。
その顔には、泥棒猫のような大胆さと、屈託のない無邪気さが同居している。
ミナトは、思考が一瞬停止した。
(誰だ、こいつは……!?)
酒の酔いが、一気に冷めていく。
昨夜の記憶の断片を懸命に辿るが、この少女に関するものは一切ない。
ミナトが息を殺して立ち上がると、視線の先にようやくゴウキの姿を捉えた。
ゴウキはベッドではなく、床に敷かれた粗末な毛布の上で、大の字になって豪快なイビキをかいて寝ている。
その周りには、空のエールジョッキと、肉の骨が転がっていた。
ミナトは頭痛をこらえ、焦燥感に駆られながらゴウキの巨躯を揺さぶる。
「おい、ゴウキ!起きろ!一体、誰なんだ、この子は!?」
ゴウキは唸り声を上げ、その意志の強そうな目をようやく開いた。
ミナトの顔と、ベッドに眠る少女を見て、豪快な笑顔を浮かべるが、その笑顔もすぐに頭痛で曇った。
「んー? あぁ、覚えてるぞ。俺が『ペンギンは宇宙人』って熱く語って……ミナトがお前『馬は四足歩行だ』って熱弁してたな」
「今はそんな話はどうでもいい。聞いているのは、この子だ。昨夜、お前と俺は何を話していた?そして、なぜこの子がお前ののベッドで寝ている!?」
ゴウキは太い首を鳴らし、再びミナトの質問を無視するかのように、昨夜の酒の品々を満足げに振り返った。
「昨日のはヤバかったな。ファントム・ホッグも、星見魚も、そしてあの《深海ノ宴》も……」
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