長いタイトル、くそ喰らえ。

mimikan

文字の大きさ
49 / 76

頭痛が痛い。4

しおりを挟む
ミナトが静かに問いかけると、少女はもぞもぞと動き出し、ゆっくりと目を開けた。その瞳には、すでに活発さが宿っている。

彼女の第一声は、予期せぬものだった。

「ポーションくれよ!」

ミナトが昨日の事を尋ねる。

少女はミナトやゴウキの状況など一切気にする様子もなく、手首に巻かれた汚れた包帯をミナトに見せた。

「昨日の晩、酔っぱらいの兵士らとぶつかってよ。運が悪ィことに持ってたポーションが割れちまったんだ」

その口調は荒々しい。彼女は続けて昨夜の状況を説明した。

「兵士は貧民街の出だっつって、俺のこと馬鹿にしやがって、もちろん取り合ってなんかくれねぇ。『ポーション代? 嘘つき泥棒が何言ってやがる』ってな」

その言葉から、エルドラドの格差社会の一端が見えた。

「そしたら、そこにアンタら二人がフラフラとやって来て……」

少女はゴウキに視線を向け、再びミナトに顔を戻した。

「二人ともべろんべろんに泥酔状態で、その兵士に『弱い者イジメをするな!』『それでも国を守る兵士か!』って、店の外で大声で叫び始めたんだよ。まともに歩けねぇくせに、アンタらはすげぇ正義感振りかざしててさ」

少女はフッと鼻で笑うと、ベッドから軽快に飛び降りた。

「あの兵士、キレてしまってよ、「よそ者に関係無い!」って言ってそこの髭のオッサンに殴りかかったんだ。そしたら、殴った瞬間に骨が砕ける変な音がしてよ、蹲ったんだよ」
少女は続ける。

「そしたら髭のオッサンが、『俺の肉体はアダマンタイト級だ!そして当然、ち◯こも!カチンコち◯こ!カチンコち◯こ!!』って言いながら両手を頭に乗せて、腰を突き出してポーズを決めてたんだよ」

ゴウキは、自分の過去の行動を思い出し、頭を抱えて唸っている。

ミナトは、呆れた顔でゴウキに囁いた。
「お前、少女の前でなんて大人げなく、最低な事を……。恥さらしめ」

ゴウキは小さく「ごめん……」と呟く。

少女は続ける。

「そしたら、一緒にいたもう一人の兵士が『キモいんだよ!』とか言って蹴りを入れたら、脚の骨も砕けちまったみたいで」

キモいのはド正論で二人は反論の余地もない。

「それでどうなったんだ?」
ミナトが促した。

「そしたら、そっちのお兄さんがな、『よっ!流石カチンコち◯こ!高度はアダマンタイト!サイズは短剣!その短剣で探検!今こそ密林を切り開け!』って言って爆笑してた」

ミナトは、自分の過去の行動に、呻きながら頭を抱えている。

ゴウキが言う。
「これは、シンプルに面白くないし、これはキモいぞ」

ミナトは小さく「ごめん……」と呟く。

「続きは?」とゴウキが聞く。

少女はさらに続ける。

「そしたら、お兄さんが『密林探検隊出発!』と言って、ポーズを取ってるおじさんにカンチョウしたんだよ。そしたら、カンチョウしたまんま、『短ケンタウルス!』とかいって髭のおじさんが『シャキン、シャキン』言いながら、腕と腰を横に振りながら兵士達に寄っていったら、化け物と叫んでやつら一目散に逃げ出してよ!そりゃ爽快だったよ!」

「それで俺がポーション無いって話したら、宿屋にあるからついて来いって言われて来たら、2人は爆睡して、俺はここにいるって訳。俺にはポーションが必要なんだ。くれるよな?」

ゴウキとミナトは、もはや反論の気力もなかった。
顔を見合わせ、深いため息をつきながら、同時に呟いた。
「「お嬢様。大変ご迷惑をおかけしました。そのカバンから好きなだけ、持って行ってください」」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...