エレメンツハンター

kashiwagura

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第2部 ルリタテハ王国の神様の所業

第1章 エレメンツハンティグの始まりは、”ダークマターハロー”

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 ルリタテハ王国公認のエレメンツハンターとなったアキトは、最新鋭恒星間宇宙船”ユキヒョウ”で宙を翔る。
 ただし、公認とはいっても、広く知られている訳ではない。
 それはアキトの事でもあるが、エレメンツハンターという職業が、だ。
 エレメンツハンターという職業に就いているのは、ルリタテハ王族、または王族に関わりのある者だけだからだ。
「ここ、ヒメジャノメ星系じゃないぜ。ジン」
 アキト初のエレメンツハンティグへと、ユキヒョウはヒメシロ星系からヒメジャノメ星系に向かっているはずだった。
「如何にも」
 ジンは重々しく肯いた。器用なことに、ぞんざいな態度でだった。
「恒星がないんだから、一瞬で分かることだわ。それを、わざわざ確認する意味があるのかしら? もう少し、落ち着いたらいいわ」
 風姫が一々尤もな事実を突き付けた。
 可憐さと気品、高貴のオーラを纏っている所為か、一層厳しく耳に響く。
 そう、星系というには恒星がある。しかし、近くに恒星の姿かたちが全く見当たらない。
「まったくアキトも、そろそろ分かっても良いと思いますよ」
 惑星ヒメシロを出発してから、彩香はアキトに”君”をつけなくなっていた。
 そんなことを気にするアキトでもなく、彩香の言葉を無視してジンを詰問する。
「ユキヒョウに、ヒメジャノメ星系へのワープ航路を設定するって言ってたよな」
 アキトの台詞をジンが即座に肯定する。
「うむ。それは間違いない」
 ユキヒョウの性能なら3回のワープで可能な距離だった。そして、3回目のワープの設定は、ジンが受け持った。
「なんで、こんな所なんだ。それとも間違えたってのか?」
 相手は、現人神とも呼ばれる一条隼人のなれの果てだ。
 ルリタテハ王国の市民としては、アンドロイドとなったとはいえ、敬意を払うべきなのだろう。
「面白くなるからだ。そもそもエレメンツハンターとは、ダークマター鉱床を発見する職業だ。我は神なり、神の御心とは計り知れないもの。故に、人には理解不能。汝らが理解できないのは無理もない」
 敬意なんて払えるか! ポンコツなんちゃって神様に敬意なんて必要ない。彩香が何と言おうと、今後もジンは呼び捨てにしてやるぜ。
「ここはダークマターハローだぜ。どうすんだ?」
 ダークマターハローとは、ダークマターの濃い宙域だ。
「ダークマターはレーダーで探知できねーんだろ? 何か、自分で言ったことすら忘れたのか? それとも、ユキヒョウにはダークマターを探知できんのかよ?」
 いくらルリタテハ王家特製の最新鋭恒星間宇宙船”ユキヒョウ”でも、レーダーで探知できない物体を避けられるはずもない。
 ジンが冷めたい微笑みを浮かべている。絶対に何かを、しかも幾つも隠している・・・そんな顔をしていた。
 そういえば、グリーンユースと交戦した時に風姫がほざいていたな。水龍カスタムモデルの索敵システムと同じものをユキヒョウに装備していると・・・。つまりレーダーの他に重力波測定装置などの各種測定装置を備えている訳か・・・。
 ダークマター探知は大丈夫としても、もう一つ大きな問題がある。
「それに、こんな所はワープ航路図に載ってないぜ。どう帰んだ」
 速水史帆は恒星間の宇宙船乗りでないため、漸く気づいたらしい。
「ウソ・・・ワープ航路図に載ってない・・・」
 ワープを間違えると一生戻れないこともある。
 偶に、コールドスリープのない恒星間宇宙船が発見される。そこには、干からびた死体が乗っているのだ。
 史帆がコンバットオペレーションルームの航法コンピューターに、ルーラーリングでアクセスしているらしい。中央に3Dホログラムが出現し、緑の線で航路図が映し出される。
 平面の大型メインディスプレイには、ここのダークマターハロー”カシカモルフォ”に関する情報が出力される。
「・・・帰れない」
 悲愴感に満ち溢れた史帆の声に対して、ジンが厳かに宣言する。
「我は7年間かけてワープ航路を開拓し、ルリタテハ王国へと帰還したのだ。何の心配もない。汝ら安心せよ」
 むしろ心配が倍増だぜ。
 風姫と彩香がニヤニヤとほくそ笑んでいる。イヤな感じだ。
「オレは冒険したいけどよ。漂流は、したくねーぜ」
 トラブル、荒事上等の連中と、一緒にエレメンツハンティングが可能かどうか再考したい。いや、再考させてくれ。
「どうにもならない場合は、我の秘奥義をみせてやろう」
「どうにもならない前に、帰還してください。ジン様」
 彩香が少しキツメの口調で、ジンに苦言を呈した。
 笑みを浮かべてなければ、少しは信用できるが・・・。コイツら、揃いも揃ってポンコツなんだ。
「それより秘奥義とやら、今訊いてもイイか?」
「ダメだ」
「オレが船長だよな?」
「私が、この船のオーナーだわ」
 麗しい声で風姫が語った。
「我は神だ」
 傲然とジンが宣った。
「わたくしは、船の支配者」
 冷然と彩香が物申した。
「私がいるんだから、大丈夫だわ」
 妖しく微笑みを浮かべる風姫の2つ名は、妖精姫の名こそ相応しいと思えてくる。しかし、もう一つの2つ名の示す実力が、風姫の自信の源なのだろう。
「どっから、そんな自信が湧いてくんだ。それとも何か、ダークマターハローを破壊しつくすとでも言うのかい。ルリタテハの破壊魔さんよ」
 そんなお姫様に対して不遜な態度で、アキトは皮肉な物言いをした。しかし、それ以上に傲慢不遜で尊大なジンの態度の前では霞んでしまう。
「ここには、我の協力者を迎えに来てやったのだ。これでエレメンツハンティグとルリタテハ王国の技術革新が加速する」
「協力者だ? ・・・そんな危篤なヤツが、ルリタテハ王国にいんのか? イヤ・・・待てよ。決して、絶対に、確実に、相手が喜んで参加する訳はないぜ。なあ、そうなんだろ。違うか?」
「うむ、相手は民主主義国連合の市民だぞ。喜んで協力する訳なぞないだろう」
 流石はルリタテハ王国の唯一神だ。そして、我が道を往くの『Going my way』をもじって『強引がマイウェイ』という異名を持つジンである。
「脅すのか?」
「命の貸しは、命で返してもらう。そろそろ良い時期だしな」
 ああ、このパターンか・・・。
 アキトは顔を顰めつつ、理解した。被害者が、もう一人いるのだと・・・。
「でっ? ソイツは何をす・・・」
 突然、風姫とジン、彩香が動き出す。
 コンバットオペレーションルーム内は、静かに整然と戦闘準備状態へと移行した。
「アキト。あなたには、わたくしの補佐を命じます」
 3Dホログラムがワープ航路図から周辺航宙図に変わる。
「待てや! オレが船長だよな? 何が起きたんだ」
 大型ディスプレイには宙域の詳細情報を映し出された。
「慌てるでない、アキトよ。ロイヤルリングをユキヒョウの戦略戦術コンピューターに繋ぐのだ。所謂ハロー警報というものだ」
 まさか波浪警報にでも掛けているのか?
 疑問を口にすると負けのような気がして、アキトはロイヤルリングで確認した事実を口にした。
「そんなの体を張ったダークマターとの衝突実験だぜ」
「違います。アキトにユキヒョウの防御システム”舞姫”の習熟訓練をしてもらう為の機会ですよ」
 不利な議論からは撤退し、他の論点から突破を計る。
「警報音が鳴らないのは故障か? 最新鋭の機器すぎて品質が担保されていないんじゃ意味ねぇーぜ」
 全船員に状況を知らせ、即座に戦闘態勢へと移行せねばならない。
「この船は、貴賓船である。警報音などという無粋なものは必要ない」
 必要な人員以外には知らせない。それは、非戦闘員がパニック状態に陥るのを防止するのには有効だが・・・。
「どう見ても、この船に搭載している装備は戦闘用だぜ」
「それはジンの趣味だわ」
 貴人を接待できる豪奢な設備はある。しかし、招待客が乗っているのを見たことないんだが・・・。
「何なの?」
 史帆が慄き呟いた。
 エンジニアとしては優秀らしいが、荒事には向いてないようだった。
「史帆は風姫と、席に体を固定してコーヒーでも飲みながら、世間話でもしていれば良いのだ。うむ。このぐらいのダークマターハローなら、4時間ぐらいでくぐり抜けられるな。それに3時間ぐらいなら突入を遅らせられる」
 ジンが自信満々で、偉そうで、というより傲慢な口調で言い切った。
 ああ、いつもの様に傲岸不遜な平常運転ぶりだぜ。だが、ジンがあの様子なら大丈夫なんだろうけど・・・。
「それではアキトに2時間訓練。1時間の休憩。その後、4時間の実戦訓練。訓練は、わたくしが担当でよろしいでしょうか?」
「我がアキトを訓練してやろう。彩香は好きにするが良い」
「それでは、お言葉に甘えさせていただきます。アキトの邪魔をしてはいけませんので、お嬢様と史帆さんは、わたくしと一緒にきてください。実戦訓練が始まったら、アキトの醜態・・・ではなく活躍を見物・・・ではなく応援に戻りましょう」
「そうね。私が舞姫を操る必要がないなら、実戦訓練が始まったら戻ってくるわ。アキトの醜態・・・ではなく活躍を見物・・・ではなく応援しながら、私はコーヒーでも頂くわ。ちょうどヒメシロで、薫り高く美味しいコーヒーを仕入れたみたいだし・・・」
 彩香と風姫の台詞には色々と物申したい点があるが、オレにとって一番重要なことを確認する。
「おいっ! それって、まさか・・・オレが喫茶”サラ”で買ってきたコーヒー豆のことか!」
「そうよ。史帆と2人で美味しく頂くとするわ」

 惑星ヒメシロで重力元素開発機構の桜井支部長が喫茶”サラ”でスペシャルを注文していた。
 能面老師こと桂木は、生のコーヒー豆を自分の髪の毛と同じぐらい黒くローストする。
 コーヒー豆の表面から出た油で黒く光りする様子を、同じぐらい脂で光っている禿頭の桜井が静かに眺めていた。焙煎した豆をゆっくりと、コーヒーミルで挽き始めた。
「今日はどのような用件ですかな?」
 能面老師は、ゆったりとした口調で話しかけた。
 桜井の厚ぼったい唇から暢気な口調で、剣呑な内容が紡ぎ出される。
「民主主義国連合のエンヅ共和国の協力員共と、楽しいモグラ叩き大会を催す予定になっている。参加者募集中につき、あなたは強制参加である。これは惑星ヒメシロを挙げての祭典になることだろう。私は今から楽しみで愉しみで仕方がないんだ」
 スパイ狩りの命令だった。
 さて、老師は快く応じてくれるだろうかな? 応じるなければならない理由はない。ならば、当然断るだろう。私ならば絶対に断る。
 桂木老師は、ただでさえ細い眼を更に細める。
 見えているのかどうか疑問だが、そんな事は問題ではない。
「桜井支部長に、強制されるいわれはないのぅ」
 やはり断るのか・・・。情報業を営んでいるのだから、彼の判断は当然だ。
 スパイが誰か等という正体暴きは、危うすぎる橋だ。渡る必然性がなければ、渡るバカはいない。しかし、この計画に喫茶”サラの情報網は必須なのだ。故に強制参加させる。神の御業で・・・。
「私の事を知っているのですか。それはそれは・・・。私の調査した限り、桂木さん・・・あなたは、そのような言葉使いではなかったようですな。しかし、今のあなたには、お似合ですな。・・・お歳を召された老師には、ご苦労様でしょうが・・・。さる御方から、伝言があるのです。命の貸しは、命で返してもらおう、と・・・」
 80歳以上なのに、黒く張りのある髪をオールバックに纏めている老師は、器用に右の眉をあげ片目だけ丸くする。
 どうやら驚きを顕しているらしい? もう少し衝撃を受けても良いのだろうに・・・。
「致し方なかろうな」
 あっさり? 〈命の貸しは、命で返してもらおう〉という意味が彼にとって重いのか? 神”ジン”様の言葉は重いのか?
「じゃがな、条件がある」
 やはり、そうだろう。そうでなければ面白くない。誰でも出来る簡単なお仕事が、私の役割ではない。
 桂木老師は、強制であるなら仕事として引き受けるつもりなのだろう。
 ここからは大人同士の交渉だ。
「身の安全は保証しよう。それと報酬も約束しよう。それこそ、この喫茶店の10年間分の利益を用意しよう。税務申告している利益の、ではあるが」
 税務申告していない収入があるのだろうと暗に仄めかしたのだが、まったく動揺していない。それどころか淡々とコーヒーを淹れる作業は、流れるように進んでいて、薫り高い匂いが漂ってくる。
「命の借りを返すのに身の安全も、報酬も必要はないな。条件は特に難しい事ではない。それは後程にしよう。・・・して何故に今なのかな?」
 何故に今狩りだすのか?
 これからの仕事に関わる重要な情報で、要求は妥当。
「民主主義国連合のTheWOCが、ヒメジャノメ星系に拠点を設営しようとしている」
 TheWOCは民主主義国連合の大企業グループで、宇宙船などを製造している。その中でも兵器開発が主力である。
 売上比率は兵器が7割で、その他が3割。収益比率では9:1になる。
「ダークマターハロー”カシカモルフォ”を切り取りに来たのじゃな」
 流石に元トレジャーハンターで、常にランク上位に位置していた男だ。状況が良く見えていて、頭の回転が速い。
 民主主義国連合のエンヅ星系からカシカモルフォは遠く、最新のワープエンジンを積んだ恒星間宇宙船でも2ヶ月を必要とする。実のところ距離は然程でないが、ワープ航路の開拓が進んでいない所為である。
 連続ワープによる肉体的、精神的な疲弊を鑑みると、1ヶ月以上の長期にわたる航海は避け得るのが常識である。現時点では、エンヅとカシカモルフォの中間地点にあるヒメジャノメ星系に中継地点を設営すべきだろう。
「その通り。これ以上の説明は、必要ないようですね」
「説明は必要ないが、どこまで捕まえる予定なのかは必要じゃな」
「地中深く眠っているモグラまでは必要ない。地上に出てきたモグラを一網打尽にする予定なのだ」
 巧みな比喩だと満足しつつ、桜井は上辺だけの回答をする。
「つまり誰を捕まえるのかは、決まっていないのじゃな」
 痛いところをつく・・・というより、地中にいて見えないから、桂木老師の情報網を利用するのだ。
 脂汗が頭皮からジワリと湧きだし首筋にかけて滴りそうになっているが、表情は変化させないようにする。
「そうじゃな。地中で蠢いているモグラが、誰かを知りたいのか? 捕まえる為の証拠が、欲しいのか?」
 契約内容は合意しておく必要がある。
 後で、契約不履行だ。契約になかった。追加費用が必要だ。そういった問題が発生しないようにすべきだ。
 伝え難い内容であるとしても、はっきりと宣言しておくべきだ。
「・・・両方だ」
 表情は崩していないが、老師には伝わっているだろう。なにせ脂汗が、額側にも滴り始めている。
「具体的に問うとしよう。活動しているミルキーウェイギャラクシー帝国と通じている惑星警察局局長の杉山と、第3スペースステーション管制官長の小崎の証拠を提供すれば良いのか? それとも、活動を休止している連中を誘き出せば良いのか? それならば重力元素開発機構の技術サポート部部長の古田とか、惑星ヒメシロ統括行政局の管理部部長の谷川とか、部長級なら10人ほどおるな・・・どれじゃな?」
 いきなり大物の名前が出てきた・・・。恐るべし能面老師・・・予想以上だった。
 驚きの所為で、老師に主導権を完全に奪われた。
「・・・ジン様は盛大にTheWOCを揺り動かすと仰っていた」
「方法は伺っておるのかな?」
 老師の口調は、のんびりゆったりとしているが、視線の鋭さは増していた。
 脂汗が止まらなくなっていく。
「失敗すると、ルリタテハ王国と民主主義国連合で戦争に発展するぐらいには盛大にする予定だ・・・と仰っていた」
 ハンカチで汗を拭いながら、ジン様の言葉を伝えた。
「成程、変わらず余生を愉しまれてるようで安心ですな。そしてワシは、その余生のお蔭で命を拾った。その時から、今日この日の為に準備していたのだ。ワシの人生を燃やし尽くしても構わんのじゃがな・・・。さて、ワシはどこまで盛大にモグラ叩きをすれば良いのか・・・。お薦めは、活動中のモグラは全部叩き潰す。休眠状態のモグラは、そのままにして監視をつける、というところじゃな」
 能面老師とは良く言ったもので、表情は相変わらず変化していない。それなのに、強烈な熱量の決意が漂っている。
 この不利な状況を逆転させる手札はない。そうだ。一時撤退しよう。会話を切り上げて、立ち去り、交渉の材料を揃えて出直せばいい。
「連絡方法は後で知らせよう。また後程」
「それには及ばない」
 腰を上げようとした瞬間に、老師の台詞で椅子に縫いとめられた。
「必要に応じて、ワシから桜井支部長に連絡を入れるとしようかのぅ。何処で何をしていても問題ない。第三者に悟られず、盗聴されないように伝えるからのぅ」
 気圧されて、肯くことしかできない桜井に追い打ちをかける。
「それでは条件を教えようかのぅ」
 そうだ。
 私は交渉にきているのだ。如何に有利な条件で契約するかをジン様より託されたのだ。
「ええ、拝聴しましょう」
 さあ、何を要求する?
 私の裁量範囲内で抑えることができれば、ジン様に実力を示せる。
「この街の何処かに拠点を用意することじゃ。通信用中継拠点が必要となるからのぅ」
 それだけか? いいや、そんな事はないだろう。
 どんな特殊拠点なのか? 防弾防音に24時間の警護体制、最新コンピューターといったところか? ヒメシロの最高級ホテル最上階のワンフロアでも貸切れば良いだけといったところか? それなら安いものだが・・・。
「場所の希望と必要な機材は、何でしょうかな?」
 老師の要求の本質は何か? 私の知らない何かが、情報屋には必要なのかもしれない。ここは慎重に、じっくりと聞き出し交渉しよう。
「ふむ・・・。とりあえず、この街に5拠点じゃな。それぞれ1人暮らし用の部屋であれば良いかのぅ。ただし、明日中に用意してもおうか」
「とりあえず、ということは最終的には何拠点が必要ですか? それに機材はどうしましょうか?」
「1年以上活動するようならば、その時点で5拠点追加じゃな。機材は特に必要ないのぅ」
 それだけ・・・か?
 驚愕の表情を浮かべていた。桂木能面老師との交渉は、完全に桜井支部長の空回りで終了した。
 子供の使いレベルとなってしまった。しかし、ジン様から受けた最低限の依頼だけは、果たせたようだった。

 ユキヒョウの戦略戦術コンピューターに搭載されている人工知能が、防御システム”舞姫”を稼働させる。舞姫の100以上の手打鉦(ちょうちがね)がユキヒョウの周囲に舞い踊るかのように展開した。
 宇宙船の正面など、どの方面を手厚くし、どの方面を最小限にするのかは、船長の指示に従い舞姫を操作するオペレーターが設定する。
 精確で緻密、そして素早い動作はコンピューターの得意とするところ。人工知能が射線を予測し、手打鉦を適切な位置へと配置する。
 その後、防御までを戦略戦術コンピューターに任せることも可能となる。
 レーダーで捉えられないダークマターからユキヒョウを防御する。
 それすら、ユキヒョウの人工知能搭載の戦略戦術コンピューターと、質量・重力波検出計測システムで充分なのだ。
 しかし舞姫のオペレーターは、反射させるか、受け流すか、弾くか。艦隊の攻撃や防御、そして運用も考慮して、創造的な舞姫の操作が求められる。
 ユキヒョウ一隻では、あまり考慮する必要ないはずなのだが・・・ジンから1個艦隊100隻の先陣を努めているという状況設定を押し付けられた。
 しかもアキトは、たった2時間の訓練で舞姫を稼働させ、手打鉦でダークマターの進行をくい止めねばならない。人間業では不可能といえるだろう。
 ユキヒョウの命運すら託されたアキトは、憶するのではなく開き直っていた。
「アキト、危ないぞ」
 アキトの目の前にある3次元ホログラムに、ジンは防御網を通り抜けて迫りくるダークマターに赤い矢印でマークする。
 危険なら、余裕綽々にノンビリとした口調で注意を促すより、手伝って欲しいのだが・・・。
「・・・ぐっ」
 ダークマターの衝突で、ユキヒョウが激しく揺さぶられる。すでに3次元ホログラム以外に神経を割く余裕なぞなくなった。
 アキトの背後で、お茶している風姫と史帆はコーヒーを零す・・・事などなかった。
 ドレス姿の風姫は優雅な仕草で風・・・というか空気を操っていたのだ。
 風姫は陶器のコーヒーカップに、圧縮空気の蓋をして衝撃に備えていたのだった。同様にドレス姿になっている史帆のコーヒーカップにも蓋をしていた。それは、衝撃のタイミングが事前に分かっていたからこその芸当だった。
 アキトは段々と舞姫の手打鉦操作に慣れてきていた。それでも余裕はない。
 なぜ余裕ができないのか? それを考える余裕もない・・・というより、どうやったらこの空間を無事に抜け出せるかを、アキトは全力で対応している。
「ジン!」
 集中力を維持したまま、仕方なく軍事教官に声をかける。無論、泣き言や助力を乞う訳ではない。
「ユキヒョウの操縦権限を委譲してくれ」
「ほう。できるのか?」
 ユキヒョウと舞姫の手打鉦の同時操作という曲芸・・・というより無理難題。
 お宝屋の翔太のようなマルチアジャストという才能があれば無理でも難題でもないのだろうが・・・。しかしオレの考えが正しければ、負担は倍増だがリスクは減るはずだ。
「やれなきゃ衝突実験の開始になるだけだ。絶対にやりきってみせるぜ!」
 集中しろ。集中しろ。集中しろ。
 ルーラーリングでは無理でも、5倍以上の適合範囲を持つロイヤルリングなら操作可能なはずだぜ。
 オリハルコン合金のみのロイヤルリングの性能を存分に発揮できれば・・・。
 オレの頭脳が、能力が、精神が舞姫とユキヒョウにアジャストできれば・・・。
「良かろう。汝の最善を尽くすが良い」
 次の瞬間、情報量が増大した。
 正解だったぜ。
 ジンはユキヒョウを操縦していなかった。それはジンだけでなく、誰も操縦していなかった。ユキヒョウは、ひたすら真っ直ぐに加速していたのだった。
 アキトがユキヒョウの操縦まですることで、ダークマターを回避するバリエーションが増えた。
 3時間を超え、ユキヒョウの操縦と舞姫の手打鉦を自在に操り、有機的な運用ができるようになった自覚がある。それなのに負担は減らない。むしろ増加している気がするぜ。ダークマターハローの濃い空間へと進んでいるのか?
 これ以上、集中力を増加させる方法はない。それなら、何か他の手を考えるしかない。
「ジン! 索敵システムとのリンク優先権を寄越せ」
「うむ、くれてやろう」
 索敵システムのリンク優先権とは、全方位展開している索敵ではなく、指向性索敵のことである。全方位展開索敵は、文字通り宇宙船を中心に全方位を索敵していてる。しかし指向性索敵は、任意の方向を索敵することで、全方位展開索敵では不可能な詳細データを採取する。
「さて、どこまで出来るかな?」
 ジンのように理詰めで、敵の布陣を推測できる経験とスキルがあれば、非常に有効な索敵システムだ。しかしアキトには経験もスキルも圧倒的に足りない。普通に考えれば操作負荷が増えるだけで、マイナスにしか作用しない。
「こんな所で躓いてたまるかぁあああーーー。ぜっっったいに、乗り越えてやるぜ!」
 アキトの処理能力は見事、操作負荷に耐えきってみせたのだった。

 風姫は愉しんでいた。
 アキトに命を託しているにもかかわらず・・・という訳ではない。
 荒事上等で、トラブルは全力で受け入れる気があるが、これは荒事でもトラブルでもない。
 ジンがアキト以外、全員のコネクトに連絡を入れてくれていた。
 半分以上のダークマターは、戦略戦術コンピューターの訓練用シミュレーションが生み出していると・・・。
 そしてアキトの能力向上にあわせて、徐々に難易度をあげていくと・・・。
 人を騙す為の苦労をジンは厭わない。むしろ、その準備の過程すら喜んで作業する。
 自分の命だけでなく、他人の命も懸かったシチュエーションを創り出した。
 アキトは集中力を最大限に高めて、挑まなければならない。人を成長させるための最高のシチュエーションだった
 妖精姫の二つ名に相応しくない黒い笑顔で、風姫は史帆に話しかける。
「安心していいわよ。ジンが真剣に検討した訓練内容だから危険はないわ」
 風姫が身に纏っているドレスは、鮮やかで上品だった。それが、彼女の可憐さとの相乗効果により、史帆は見惚れ、ルリタテハ王国の姫の前にいると実感していた。
「風姫さんが、ルリタテハ王国のお姫様なの納得できたけど・・・」
「風姫でいいわ。同い年の同性で、同じ船の仲間なのよ」
 知りたかった疑問を口にする。
「本当なんですか? 風姫さんがルリタテハの破壊魔って」
「・・・ダークマターだけで作られた手打鉦をジンが操っているわ」
「ジンさんと風姫さんで、ルリタテハの踊る巨大爆薬庫?」
「・・・ユキヒョウにダークマターが当たることは、絶対にあり得ないわ」
 怪訝な表情を浮かべ史帆は訊く。
「ワザと?」
「何が、かしら?」
 風姫は史帆の尋ねたいことを完璧に理解できていて、それで惚ける選択をしている。
「質問に答えないこと」
「そんな事はないわ」
 私との会話を楽しもうとするより、疑問への答えの方が優先なのかしら?
「その金髪と碧眼は本物?」
 訊きにくいことを直球で・・・。
 女の子脳じゃなくて、エンジニア脳なのね。仕方ないわ。
「本物だわ」
「えっと・・・ルリタテハ王家では珍しいね」
 ここからは覚悟して訊いてもらうわ。
 軽い口調で重たい内容を、風姫は話し始める。
「黒髪黒目以外の王族には、王位継承権を放棄する人が多いわ。ルリタテハ王家へのテロとして絶好の標的になるからよ。映像映えするからかしら・・・。それと王は、黒髪黒目であるべきという、良くわからないこだわりを持っている自称”王家守護職”の人たち・・・。私はルリタテハ王位継承順位第八位、一条風姫だわ・・・。だから私、狙われやすいのよねぇ。それに非公式で色々なメディアで取り上げられたりして・・・」
 史帆の顔色が優れない。
「標的になった?・・・」
 声が少し震えているようね。
 でも、もう遅いわ。
「自分自身が強くなり、自分の力で生き残れるようにならないと、周囲の大切な人が死んでいくわ。ジンだって、全ての事象を見通せる訳ではないから、私を護るだけで精一杯になることもある。ルリタテハの唯一神なのにね」
 起きたトラブルは即座に叩き潰すわ。そして、即断即行でムリヤリにでも抑えつける。その為には、全力でトラブルの渦中に飛び込むしかないわ。
 圧倒的な力がないと周囲が巻き込まれ傷つくわ。だから、私は力を求めた。
 大切な人の心臓が停止した時に私は誓ったわ。ルリタテハ国王になりたいは思わない。だけど、死ぬまで王位継承権は返上しないと・・・。テロになんて屈しない。
 それが、風の妖精姫”ルリタテハの破壊魔”が誕生した理由だった。
「だから私は強くなった。トラブルは、全てジンと一緒に返り討ちにしたわ・・・。でも、ちょーっと悪目立ちし過ぎたから、ほとぼりが冷めた頃に戻ることに決まったのよ・・・お祖父様の、ルリタテハ王国国王の命令でね」
 椅子から立ち上がる妖精姫の姿は、美しさと気品、高貴のオーラを漂わせている。両手でドレスのスカートの裾をつまみあげ、彼女は腰を折り優雅に一礼して名を告げた。
「私は一条風姫。二つ名は、風の妖精姫だわ」
 だから、アキトも史帆も護ってみせるわ。死なせはしない。どんなことがあっても・・・。
 ジンが教えてくれた。
 敵から逃げてもいい。敵なら騙してもいい。敵なら容赦しなくてもいい。大切な人と一緒に生き残ることが勝利だと・・・。
 だから、惑星コムラサキで大型オリビーから自分の全力でもって、身を挺してアキトを救ったのだ。
「・・・・・・カッコイイ」
 その溢れださんばかりの決意に史帆は感銘を受け、思わず呟いた。
「・・・そこは、綺麗って言って欲しかったわ」
 風姫をみる史帆は、尊敬の眼差しと共に言葉を続けた。
「生き方が、姿勢が・・・カッコイイ」
 なっ、なにっ? 何か変なスイッチが入っちゃった? 話題の転換の必要性を感じるわ。
 そんな風姫に救いの手・・・声が彩香から届く。
「・・・終わりです。無事に」
 史帆にも立ち上がるよう促し、アキトに言葉をかける。
「どう? まずは史帆に、何か言ってあげるべきだわ」
「ああ・・・えーっとさ。なんでドレスなんか着てんだ?」
 ・・・アキトって相変わらずだわ。デリカシーがなさすぎだし、お世辞の一つも言えないなんて・・・。家でどんな教育を受けてきたのかしら?
 誉め言葉なんて沢山あるのに、一つも口から出てこないなんて・・・。褒め言葉のボキャブラリーが頭の中に入っているのか疑わしいわね。
「何でって・・・彩香さんに・・・」
 頬をほんのりと朱に染め、言葉にならないようだった。
「あー・・・もう言わなくていいぜ。どうせ、トレジャーハンターのジンクスってのを教えられたんだろ?」
 史帆は、不思議そうな表情を浮かべていた。
「そうじゃないわ」
 風姫は、不満の表情を浮かべていた。
「何がだよ」
 アキトは、呆れた表情を浮かべていた。
 トレジャーハンターって人種はデリカシーはないのかしら? 他人の心の機微とか分からないのかしら? お宝屋とかいったトレジャーハンティングユニットも、アホの集団だったし・・・。
「オシャレをしている少女に向かって、言うことがあるんじゃないかしら?」
 風姫は目を細めた。
 ほぼ碧い瞳のみになった目から鋭い視線を突き刺しつつ、アキトを非難した。
 史帆のドレスを指さして、アキトが教える。
「あー・・・彩香に騙されたんだぜ。それ」
 即座に風姫がツッコむ。
「そうじゃないでしょ!」
 表情を固めたまま史帆は、状況を理解する為にも言葉に出して、自分がドレスになった理由をアキトと自分に説明を始める。
「漸くワープ航路が確立された新星系。そこに恋人同士のトレジャーハンターが開拓に向かった。ほとんど未知といっていい星系では何があるかわからない。ワープアウトした位置は、彗星群と衝突コースだった・・・」
 壮大なストーリーが史帆の平坦な口調から紡ぎ出された。
 私も信じてしまいそうになる隙のないストーリー。さすがはユキヒョウ影の支配者の創作した物語だわ。
「・・・それからというもの。トレジャーハンターは宇宙で危機に陥った際、女性は着飾りクルーを信じているというアピールをするって・・・」
 話が終わった瞬間、3人の間に微妙な空気が漂っている。
「そうか、彩香さんからの情報か・・・それなら間違いはない」
 少しホッとした表情に変わった史帆に、アキトは無慈悲に宣告をする。
「そう。それは、間違いなく間違いだ。オレがトレジャーハンターになってから1年以上経つけど、聞いたこともない」
 史帆は茫然自失の様子だった。
「なあ・・・。危機の際には、女性クルーも一緒に立ち向かうべきじゃねーか? 命懸けなんだぜ」
「・・・そうかも。だけど、風姫さんもドレス着てる」
「別に、ちょこちょこ着てんぜ」
 朱に染まった頬と共に、史帆は風姫に顔を向ける。
「ルリタテハ王位継承者がドレスを身に着けたパーティーの時、立ち居振る舞いがなっていない、と思われる訳にいかないわ」
 史帆は顔を耳まで真っ赤にして、俯いたまま動かなくなった。
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