STAY GOLD(黄金旅程)/その他の短編

河内ひつじ

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いちご白書を一度

その2 いちご白書を一度 4

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電車は海と町を眼下に眺めながら半島の山あいをゆっくりと走り続けた。

「展望台に登るんは次の駅で降りるんよ」

僕の隣に座っている市原が言った。

やがて電車は半島の先端に近い高台の駅に到着した。

僕と市原は運転席の近くにある料金箱に小銭を入れて運賃を払い電車を降りてホームに出た。

僕らがホームに降り立った時には陽はもうだいぶ西に傾いていたけれども駅は高台の視界が開けた場所にあったので、ここからでも柵の向こう側に海や島々が良く見渡せた。

「もう何年かしたらすぐ目の前には大きな橋が架かっとるんじゃなあ」

海を眺めながら市原が呟く様に言った。

海と島々をよく見てみるとこの半島から幾つかの島を経て対岸に見える四国へ渡る橋を建設する為の準備が所々で進められているのが見える。

「完成するんは4年後の春や言うとったから、その頃にはもう僕ら高校3年になっとるな」

僕はそう言いながら4年後この場所から見る完成した四国までずっと長く延びた大きな橋の姿とそれを眺めている高校3年生になった自分を想像してみる。

それからその時同じく高校3年になった市原の姿を想像し、その時には僕と市原の間柄はどういうものになっているのだろうと思わず思ってみたりしてしまった。

「一体どんな橋が出来るんじゃろうなあ。橋が完成した時にはウチもこの目で実際に見てみたいわあ」

海のずっと沖の方、少し霞んで見える四国の辺りを遠目に眺めながら市原が呟いた。

僕はその時、彼女の言葉を聞いて僕達は橋が架けられるこの場所からすぐ近くの町に住んでいるのにと何だか少し不思議な感じがした。

僕らは駅から階段で下の道路まで降りて行き少し歩いて展望台登り口まで辿り着くとそこから展望台迄の道路の端を歩いて行った。

展望台に着く迄の間、僕は市原といろんな話をした。

僕は今でもそうだけど、前の中学校でもあまり目立たない生徒でクラスの女子と親しく話をした事なんて殆ど無かった。

時々、女子と話をする様な機会があった時もいつも一体何を話せばいいのかわからなくて不必要に緊張してしまい上手く話せない事が多かった。

しかし今の学校に転校して来て、何故か市原とだけはとてもリラックスしてごく普通に話をする事が出来た。

僕が女の子に対してそんな風に接する事が出来たのは彼女が初めてで、僕は彼女のおかげで学校での時間ををそれまでとは全く違った気分で過ごす事が出来る様になった。
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