STAY GOLD(黄金旅程)/その他の短編

河内ひつじ

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STAY GOLD(黄金旅程)

STAY GOLD(黄金旅程) 2

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ゴールデンウィークの連休中僕は特にする事も無く、何処かに出掛けたところで何処も人が一杯な気がしたので何処にも行かずに家でゆっくり過ごそうと考えていた。

しかし昨日の土曜日の夜に、演芸研究会の杏子センパイからスマホでは無く、家電に電話がかかって来た。

僕と杏子センパイの家は20m程距離の離れた隣同士で、2階にあるお互いの部屋の窓が見える程に家が近い。

家が近かったので僕は子供の時から一つ年上のセンパイと一緒にいる事が多かった。

センパイは子供の頃から気が強く攻撃的な性格で僕の子供時代のあまり思い出したくない苦い思い出や辛かった思い出の多くの場面には彼女の姿があった。

高校で演芸研究会に入ったのもセンパイにかなり強引に誘われたからで、最近は2人でコントをやってみないかと度々誘われている。

「ワタシ明日生まれて初めて競馬をやってみる事に決めたのよ」

電話の向こうでセンパイが出し抜けに言った。

「競馬ですか?」

僕は少し驚いて聞き返した。

「そう。でもあんな所にワタシみたいなか弱い女の子が一人で出掛けて行くのはいくら何でも心細いでしょう?だから仁クンも一緒に行ってくれないかなあと思って電話したのよ」

「でも高校生が馬券なんて買っていいんですか?」

「何で高校生が馬券を買ってはイケないの?」

「だって禁じられているし、やっぱり健全な高校生としては問題があるんじゃ無いですか?」

「健全な高校生?あのね仁クンワタシは思うんだけど今の世の中に(不健全なオトナが多過ぎる原因の一つは若い頃の社会勉強が不足しているせいだとワタシは思うんだよ。大体ワタシは一緒に覚〇剤やろうよって言ってる訳じゃ無し」

杏子センパイが凄まじい持論を展開し始めた。

センパイは性格が少し吹っ飛んでいるけれど学校でのテストでは常に学年10位以内には入っている。

その彼女の理論武装の凄まじさと退く事を知らない性格を知っている僕は少しでも早く電話を切る事が出来る様、早々に彼女の要求を呑む事にした。

僕はその夜9時を過ぎてから、取り合えずネット検索でJRA(日本中央競馬会)の公式ホームページというのを見付けた。

そこからセンパイが電話で言っていたレースの出馬表というのを開く事が出来た。

京都11R第149回天皇賞(春)G1芝3200M

その下にある出馬表にはレースに出走する18頭の馬の名前が8つの枠に馬番順に出ていてその下に様々なデータが表示されていたけれど、始めの内は表示がごちゃごちゃし過ぎていて何が何だかよくわからなかったt。

暫く眺め続けている内に何とか大体の意味はわかる様にはなったけれども、これ等のデータをどう参考にしてレースの予想をすればいいのかはさっぱり見当がつかなかった。

でも確かビギナーズラックとか言って初心者が素人予想で買った馬券とかが案外良く当たるとかどこかで聞いた事がある。

(第149回)なんだから1番と4番と9番などと適当に考えてみて出馬表でその3頭の組合せでオッズ表というのを見てみる。

1番アスカクリチャン(18頭中15番人気)

4番サイレントメロディー(18頭中18頭人気)

9番タニノエポレット(18頭中13番人気)

3連単1ー4ー91553、3倍

この組合せの3連単馬券だと、もし的中したとしたら100円が155万5330円になる計算になる。

いくら何でも生まれて初めて買った馬券でそんな冗談みたいな大当りは有りそうにない。

あんまり考えても仕方がないので、一応明日のレースで買ってみる馬券だけを決めてその日は寝る事にした。

その晩は部屋を暗くしてベッドに入った後、頭の中に倉橋由美子の事が浮かんで来てしまい中々眠りに着けなかった。
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