5 / 35
STAY GOLD(黄金旅程)
STAY GOLD(黄金旅程) 5
しおりを挟む
センパイと僕が通りの交差点を渡ってWINSのビルに向かって歩いていると次第に僕らは同じ方向を目指して歩いている新聞を手に持ったりポケットに差し込んだりした大人達に囲まれる様になった。
WINSビルの入口にいた緑色の制服を着た警備員は僕らを見て少し怪訝な表情を浮かべた様に見えたけど杏子センパイと僕は何食わぬ顔でビルの中に入って行った。
何と無く独特な空気を醸し出している大人の人達に混じってエスカレーターに乗って階上に登り僕らは馬券を発売しているフロアに出た。
人でごった返した広いフロアには至る所にモニターが設置され、競馬場のパドックや本馬場入りした出走馬の様子とか出馬表や出走馬の馬体重、現在のオッズ等がモニターに表示されていた。
フロア内の人々はモニターの下に群がって画面を真剣な表情で見入っていたり、少し離れた場所でマークシート式の投票用紙に記入していたりズラリと並んだ発券機に並んで馬券を購入していたり、それぞれの場所に移動したりしていた。
僕は生まれて初めて実際に目にする光景に少し呑まれていたけれど、杏子センパイは目を見開いて興味深そうに周囲を眺めていた。
その内に競馬場を映し出したモニターからファンファーレが流れ出し、何処かの競馬場の第9レースの開始が告げられるとモニターの周りに人々が群がって来た。
ゲート入りが終わって係員がゲートから離れると号令と共にゲートが開いて各馬が一斉に飛び出す。
モニターに群がった大人達の多くは固唾を飲んでレースの成り行きを見守っていたがやがて各馬が最終コーナーを回って最後の直線コースに差し掛かる頃になると次第にヒートアップし始めた。
モニターの下は「差せ!差せ!」とか「そのまま!そのまま!」とかいった怒号に近い声援やら「よし!よし!」とか言った歓声や「あー、駄目だ!」と言う嘆きで騒然となる。
その中にチューハイを手に真っ赤な顔をして一際大声を張り上げているあまりにも熱過ぎるおじさんがいて僕とセンパイは思わず顔を見合わせた。
レースが終わるとレース中継のモニターから次第に大人達は離れて行った。
いずれにしても、たぶん誰が見ても未成年だとわかる僕とセンパイはこの場所では明らかに場違いな存在だった。
余り長居をしていると警備員か或いは他の誰かに見咎められる様な気がした。
僕と杏子センパイはマークシートの投票用紙を記入ミスの無い様、注意深く記入して
それを持って発券機に行って馬券を購入すると逃げ去る様にして足早にWINSビルの外に出た。
ビルの前の道の人混みの中に混じって歩き出すと僕とセンパイは誰かに咎められる事も無く、無事馬券を買う事が出来た安心感から互いに顔を見合わせて笑顔になった。
「それにしても、さっきのおじさんスゴかったね」
杏子センパイはそう言ってクスクスと思い出し笑いした。
「そうですね」
僕も同意した。
WINSビルの入口にいた緑色の制服を着た警備員は僕らを見て少し怪訝な表情を浮かべた様に見えたけど杏子センパイと僕は何食わぬ顔でビルの中に入って行った。
何と無く独特な空気を醸し出している大人の人達に混じってエスカレーターに乗って階上に登り僕らは馬券を発売しているフロアに出た。
人でごった返した広いフロアには至る所にモニターが設置され、競馬場のパドックや本馬場入りした出走馬の様子とか出馬表や出走馬の馬体重、現在のオッズ等がモニターに表示されていた。
フロア内の人々はモニターの下に群がって画面を真剣な表情で見入っていたり、少し離れた場所でマークシート式の投票用紙に記入していたりズラリと並んだ発券機に並んで馬券を購入していたり、それぞれの場所に移動したりしていた。
僕は生まれて初めて実際に目にする光景に少し呑まれていたけれど、杏子センパイは目を見開いて興味深そうに周囲を眺めていた。
その内に競馬場を映し出したモニターからファンファーレが流れ出し、何処かの競馬場の第9レースの開始が告げられるとモニターの周りに人々が群がって来た。
ゲート入りが終わって係員がゲートから離れると号令と共にゲートが開いて各馬が一斉に飛び出す。
モニターに群がった大人達の多くは固唾を飲んでレースの成り行きを見守っていたがやがて各馬が最終コーナーを回って最後の直線コースに差し掛かる頃になると次第にヒートアップし始めた。
モニターの下は「差せ!差せ!」とか「そのまま!そのまま!」とかいった怒号に近い声援やら「よし!よし!」とか言った歓声や「あー、駄目だ!」と言う嘆きで騒然となる。
その中にチューハイを手に真っ赤な顔をして一際大声を張り上げているあまりにも熱過ぎるおじさんがいて僕とセンパイは思わず顔を見合わせた。
レースが終わるとレース中継のモニターから次第に大人達は離れて行った。
いずれにしても、たぶん誰が見ても未成年だとわかる僕とセンパイはこの場所では明らかに場違いな存在だった。
余り長居をしていると警備員か或いは他の誰かに見咎められる様な気がした。
僕と杏子センパイはマークシートの投票用紙を記入ミスの無い様、注意深く記入して
それを持って発券機に行って馬券を購入すると逃げ去る様にして足早にWINSビルの外に出た。
ビルの前の道の人混みの中に混じって歩き出すと僕とセンパイは誰かに咎められる事も無く、無事馬券を買う事が出来た安心感から互いに顔を見合わせて笑顔になった。
「それにしても、さっきのおじさんスゴかったね」
杏子センパイはそう言ってクスクスと思い出し笑いした。
「そうですね」
僕も同意した。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる