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第1話 三重追放くらって俺は悟った
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「カイル、お前は今日限りでパーティーから追放だ!」
王都の酒場の奥、丸太の柱と古い依頼書に囲まれたテーブルで、リーダーのランツが拳を叩きつけた。ジョッキのエールが波打ち、泡が俺の鼻先に飛んでくる。いや、そんな真剣に言わんでも伝わるだろ。
「ちょっと待て、理由をはっきりしてくれ。俺、今日の作戦も昨日の下見も段取り完璧だっただろ。荷運び、補給、馬の準備、帰りの食事、全部整えたぞ」
「それが問題なんだ!」ランツは机を蹴って椅子を鳴らす。「お前のせいで冒険に盛り上がりがないんだ! 全部安全に済んで、俺たちに見せ場がねぇ!」
「……は?」
いや、何を言ってるんだこいつは。俺が段取りして罠を全部回避したから、全員生きて帰ってきたんじゃないのか?
「冒険は命懸けだから輝くんだ。だが、お前がいると危険が全部なくなる! 物語にならん!」
「命があるから物語になるんだろ」
「うるさい! もういい、出ていけ!」
……こうして俺はパーティーから追放された。
◇
次の日、冒険者ギルド本部。大広間でギルドマスターが腕を組んでいた。
「カイル。残念だが、お前はギルドからも追放だ」
「はぁ!? 今度は何だよ」
「各地から苦情が来てな。『安全すぎて盛り上がらない』、『罠を先に潰すから俺の見せ場が奪われる』、『依頼が拍子抜けする』……」
「感謝の声は?」
「それも山ほど届いているが……掲示すると“盛り上がらない”と叩かれる」
「盛り上がり至上主義すぎるだろ、この国」
ギルドマスターは申し訳なさそうにカードに除籍の印を押した。二日連続で職を失った俺は、街の片隅でパンの耳をかじりながら頭を抱えた。
◇
三日目。俺は玉座の間に立っていた。
「カイル。余は汝を――この国から追放する!」
王が杖を鳴らし、貴族たちがどよめく。
「理由は三つ。一つ、余の狩りの見せ場を奪った。二つ、英雄譚がつまらなくなった。三つ、民が『危なくなくていいからカイルに頼みたい』と言い出した」
「三つ目は褒め言葉じゃないのかよ」
「国家にとっては損失だ。物語は税収に直結する。だからお前は不要」
……マジかよ。俺は三日連続で追放を食らった。パーティー、ギルド、国。トリプルコンボで人生終了。
◇
国境の外。荒れ果てた集落に流れ着いた俺に、老人ノームが言った。
「ここは“追放者の谷”じゃ。国からもギルドからも弾かれた者ばかりが暮らしておる」
「お仲間ですね。俺も三連続で追放された男です」
畑は荒れ、害獣がはびこり、若者は覇気を失っていた。俺は地図を描き、罠を仕掛け、役割分担を決め、夜の見張りを整えた。たった一晩で、村に兎と猪の肉が並び、皆が泣き笑いした。
「カイルよ、ここに残ってくれぬか」
「残りますよ。ただし一つ条件がある」
俺は納屋の板に大きく文字を刻んだ。
――追放者ギルド。
「ここは、追放された者が安心して生きられる場所だ。依頼がなくても、物語にならなくても、俺たちは生き延びる。英雄譚じゃなくても、“生活”を守るギルドを作る」
そこへ、荷物を背負った小柄な女が駆け込んできた。
「ここ、“追放者ギルド”って書いてあるけど……ほんとに受け入れてくれるの!? 私はリナ、料理人! 味が安定しすぎて追放されたの!」
おい、またそれか。
「歓迎するよ、リナ。ここじゃ“安定”は最高の誉め言葉だ」
こうして、追放者ギルドの物語が始まった。
王都の酒場の奥、丸太の柱と古い依頼書に囲まれたテーブルで、リーダーのランツが拳を叩きつけた。ジョッキのエールが波打ち、泡が俺の鼻先に飛んでくる。いや、そんな真剣に言わんでも伝わるだろ。
「ちょっと待て、理由をはっきりしてくれ。俺、今日の作戦も昨日の下見も段取り完璧だっただろ。荷運び、補給、馬の準備、帰りの食事、全部整えたぞ」
「それが問題なんだ!」ランツは机を蹴って椅子を鳴らす。「お前のせいで冒険に盛り上がりがないんだ! 全部安全に済んで、俺たちに見せ場がねぇ!」
「……は?」
いや、何を言ってるんだこいつは。俺が段取りして罠を全部回避したから、全員生きて帰ってきたんじゃないのか?
「冒険は命懸けだから輝くんだ。だが、お前がいると危険が全部なくなる! 物語にならん!」
「命があるから物語になるんだろ」
「うるさい! もういい、出ていけ!」
……こうして俺はパーティーから追放された。
◇
次の日、冒険者ギルド本部。大広間でギルドマスターが腕を組んでいた。
「カイル。残念だが、お前はギルドからも追放だ」
「はぁ!? 今度は何だよ」
「各地から苦情が来てな。『安全すぎて盛り上がらない』、『罠を先に潰すから俺の見せ場が奪われる』、『依頼が拍子抜けする』……」
「感謝の声は?」
「それも山ほど届いているが……掲示すると“盛り上がらない”と叩かれる」
「盛り上がり至上主義すぎるだろ、この国」
ギルドマスターは申し訳なさそうにカードに除籍の印を押した。二日連続で職を失った俺は、街の片隅でパンの耳をかじりながら頭を抱えた。
◇
三日目。俺は玉座の間に立っていた。
「カイル。余は汝を――この国から追放する!」
王が杖を鳴らし、貴族たちがどよめく。
「理由は三つ。一つ、余の狩りの見せ場を奪った。二つ、英雄譚がつまらなくなった。三つ、民が『危なくなくていいからカイルに頼みたい』と言い出した」
「三つ目は褒め言葉じゃないのかよ」
「国家にとっては損失だ。物語は税収に直結する。だからお前は不要」
……マジかよ。俺は三日連続で追放を食らった。パーティー、ギルド、国。トリプルコンボで人生終了。
◇
国境の外。荒れ果てた集落に流れ着いた俺に、老人ノームが言った。
「ここは“追放者の谷”じゃ。国からもギルドからも弾かれた者ばかりが暮らしておる」
「お仲間ですね。俺も三連続で追放された男です」
畑は荒れ、害獣がはびこり、若者は覇気を失っていた。俺は地図を描き、罠を仕掛け、役割分担を決め、夜の見張りを整えた。たった一晩で、村に兎と猪の肉が並び、皆が泣き笑いした。
「カイルよ、ここに残ってくれぬか」
「残りますよ。ただし一つ条件がある」
俺は納屋の板に大きく文字を刻んだ。
――追放者ギルド。
「ここは、追放された者が安心して生きられる場所だ。依頼がなくても、物語にならなくても、俺たちは生き延びる。英雄譚じゃなくても、“生活”を守るギルドを作る」
そこへ、荷物を背負った小柄な女が駆け込んできた。
「ここ、“追放者ギルド”って書いてあるけど……ほんとに受け入れてくれるの!? 私はリナ、料理人! 味が安定しすぎて追放されたの!」
おい、またそれか。
「歓迎するよ、リナ。ここじゃ“安定”は最高の誉め言葉だ」
こうして、追放者ギルドの物語が始まった。
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