パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。

さら

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第53話 神罰との最終決戦

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 黒い球体に取り込まれた指揮役の聖職者は、もはや人の姿をしていなかった。
 肉体は黒雷と炎の渦に覆われ、虚ろな眼窩からは神の光とも魔の光ともつかぬ閃光が放たれている。
「我は神罰……秩序を乱す追放者どもよ、灰となれ」

 その声は大地そのものを震わせ、谷の空気を切り裂いた。



 次の瞬間、黒雷が大地を貫いた。
「うわああっ!」
 森の奥に築いた柵や砦が一撃で吹き飛び、爆炎と煙が立ち上る。

「カイル!」リナが叫ぶ。
「大丈夫だ……まだ死んでない!」俺は剣を支え、必死に踏みとどまった。

「だが……正面からは勝てません!」セリウスが叫ぶ。
「段取りを組み替えろ!」



「じゃあ、私が……!」フィオが杖を握りしめ、炎を練り上げた。
「暴発で追放された私だからこそ、あいつの力とぶつかれる!」

「待て、死ぬぞ!」
「死ぬのは嫌! でも……みんなを守りたい!」

 彼女の炎が放たれ、黒雷と正面から激突した。
 轟音と共に衝撃波が走り、周囲の木々が吹き飛ぶ。



 巨人戦で傷だらけのグレンが大剣を振り上げた。
「なら俺は横からぶった斬ってやる!」

 彼が突っ込むと、ガンツも鉄槌を構えて並んだ。
「俺の槌で叩き潰す!」

 二人の武力が黒球の外殻を叩き、ひびを走らせる。



 リナは大鍋を抱え、熱湯を黒い鎖に浴びせた。
「これで……弱まって!」

 ミーナとエレナは倒れた追放者たちを必死に救い、薬と包帯で繋ぎ止めていた。
「お願い……生きて!」
「みんながいないと、この戦いに勝てない!」



 ロディとマリアの歌声が広場を満たした。
「生きろ! 抗え!」
「追放者は無駄じゃない!」

 その歌は、恐怖で震える仲間の足を再び前へと動かした。



「カイル!」セリウスが叫ぶ。
「今だ! 全員の力を束ねろ!」

 俺は剣を掲げ、仲間たちに叫んだ。
「ここにいる全員の力が無駄じゃないことを証明する! 剣も、炎も、歌も、薬も、布も、料理も――全部だ!」

 旗が炎と雷の渦に揺れ、全員が声を上げた。
「「うおおおおお!」」



 俺の剣に、フィオの炎が宿る。
 グレンとガンツの力が重なり、リナの熱とエレナの布が絡み、セリウスの知略が軌道を導く。
 ミーナの薬が刃を輝かせ、ロディとマリアの歌がその剣を支えた。

「これが……追放者ギルドの力だ!」



 黒球が咆哮し、神罰が最後の光を放とうとする。
 虚ろな声が響いた。
「無駄な者どもに未来はない……!」

「無駄なんかじゃない!」俺は叫んだ。
「俺たちは追放されて初めて、本当の居場所を得たんだ!」



 全員の力を束ねた一撃を振り下ろす。

「――斬り裂けぇぇぇ!」

 剣が閃き、黒球を真っ二つに割った。
 轟音と共に雷と炎の渦が四散し、夜空に光が走る。



 爆風が収まり、静寂が訪れた。
 瓦礫の中に崩れ落ちたのは、人の姿を失った指揮役の骸だった。

「勝った……のか……」リナが涙を流す。
「やった……!」グレンが大剣を支え、笑った。

 俺は剣を地に突き、荒い息を吐きながら呟いた。
「段取り通り、だな……」



 旗が夜空に揺れ、仲間たちが歓声を上げる。
 ――神罰兵器との決戦は、追放者連合の勝利で幕を閉じた。

 だがまだ戦争は終わらない。王都そのものが、最後の敵として立ち塞がっている。
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