パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。

さら

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第54話 総力戦の前夜

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 黒い球体が裂け散り、神罰兵器が崩れ落ちた翌朝。谷には疲労と歓声と涙が入り混じった空気が漂っていた。
 子どもたちは互いに抱き合い、リナが炊いたスープをすすりながら「生きてる」と何度も繰り返していた。
 グレンとガンツは全身傷だらけで笑い合い、フィオは燃え残った杖を見つめながら小さく呟いた。
「暴発じゃなく……ちゃんと、役に立てたんだ」

 皆の顔は泥と血で汚れていたが、その瞳には確かな光が宿っていた。



 だが、その頃――王都。

「神罰兵器が……破壊されたと申すか!」
 玉座の間に響いた報告に、王は顔を蒼白にし、すぐに憤怒で真紅に染めた。

「黒鉄の騎士、勇者、飛竜、巨人、神罰までも……! 何一つ勝てぬとは何事だ!」

 将軍たちは頭を垂れ、口を閉ざした。

「追放者どもに……王国の威光を汚され続けるなど、断じて許さん!」

 聖職者が進み出て声を張る。
「ならば、最後の手段を。王国のすべてを投じ、聖戦を完遂するしかありません」

 王は玉座を叩き、叫んだ。
「よい! 余が全軍を率いる! 五万では足りぬ。十万、二十万を集めよ! 国中の兵を招集せよ!」

 こうして、王国は最後の総力戦を決意した。



 その報が谷に届いたのは数日後。

「カイルさん……!」斥候が息を切らして走り込んできた。
「王都が、十万を超える兵を集めて……王自らが出陣するそうです!」

 広場が静まり返った。誰もが言葉を失い、ただ互いの顔を見合った。

「十万……」リナが震える声で呟いた。
「そんな数、どうやって……」

「正面からぶつかれば勝ち目はない」セリウスが冷静に言った。
「だが、戦は数だけで決まらない」

「その通りだ」俺は頷いた。
「俺たちは追放者だ。段取りを重ね、知恵と工夫でここまで来た。最後も同じだ」



 夜。焚き火を囲み、皆が旗の下に集まった。

「勇者に勝った。飛竜と巨人に勝った。神罰兵器にすら勝った。……次は王都そのものだ」

 俺は声を張り、仲間の顔を一人ひとり見渡した。

「ここが最終戦だ。だが、段取りを間違えなければ必ず勝てる。俺たちは物語の脇役でも無能でもない――追放者こそが、この国を守る!」

 リナが涙を拭いながら頷く。
「一緒に勝とう!」
 グレンが大剣を掲げて笑う。
「最後の斬り合いだ! 燃えるぜ!」
 フィオが杖を握りしめる。
「もう怖くない。炎で全部焼き払う!」
 ロディとマリアが声を合わせる。
「歌で士気を高める!」
「最後まで生き残る!」



 その声は広場全体に広がり、村人も追放者も一斉に叫んだ。
「「ここが俺たちの国だ!」」

 旗が夜空に翻り、火の粉が舞った。



 ――そして、決戦の日は近づいていた。
 王が率いる十万の軍勢と、追放者連合。
 最終戦争の幕が、今まさに上がろうとしていた。
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