70 / 70
第70話 追放者の国
しおりを挟む
王を失い、残党を討ち払い、隣国の干渉を退けてからさらに一年。
谷はもう「谷」と呼ばれるだけの場所ではなかった。
街道は整備され、市場には人があふれ、子どもたちの笑い声が朝から響いていた。
追放者と王都の民が共に働き、暮らし、支え合っていた。
誰も切り捨てられない。誰も追放されない。
それが新しい国の形となっていた。
◇
リナは相変わらず大鍋を振り回していた。
「今日はシチューだよ! ほら、早く並んで!」
子どもたちが歓声を上げ、兵士も農夫も一緒に列を作る。
「リナさんの料理があるから、この国は大丈夫だな」
そんな声に、リナは得意げに鼻を鳴らした。
◇
グレンとガンツは大工仕事に精を出していた。
「この橋ができれば、交易がもっと楽になる!」
「おうよ! 剣より斧のほうが役立つとはな!」
かつて戦場を駆けた二人が、今は笑いながら木材を組んでいる。
◇
フィオは街の灯火を管理し、炎の魔導士として尊敬を集めていた。
「暴発なんてもう言わせない。私の火は、みんなを照らす火だから」
その言葉に子どもたちが「フィオ先生!」と駆け寄ってくる。
◇
ロディとマリアの歌は街の広場を満たしていた。
「この国に居場所がある限り!」
「誰も無駄じゃない!」
民は手を叩き、笑いながら声を合わせる。歌は法律よりも力強く人々を繋げていた。
◇
エレナとミーナは大きな診療所を開いていた。
「誰でも来て。薬も治療も、ここでは平等よ」
「追放者も王都の人も関係ないわ」
その姿に人々は感謝し、涙を流して頭を下げた。
◇
セリウスは机に向かい、文官たちと議論を続けていた。
「交易路の安全は確保した。次は学校の整備だ」
彼の冷静な言葉は国の柱となっていた。
◇
そして俺は、高台から国を見下ろしていた。
旗はもう破れていない。新しく織られた布に描かれたのは――「追放者ギルド」の紋章。
風に力強く翻り、人々の笑顔を照らしていた。
「……段取りを間違えなければ、ここまで来られる」
静かに呟くと、隣でリナが笑った。
「これからも、私が味見してあげるから」
その言葉に思わず笑い、剣を腰に収めた。
◇
――追放者ギルドは国となった。
誰も切り捨てられず、誰も追放されない国。
血と涙と笑いで築いた新しい秩序の中で、人々はようやくスローライフを送れるようになった。
かつて追放された者たちの旗は、今や新しい国の旗となり、風に高く翻っていた。
◇
物語は終わる。
だが、追放者たちのスローライフは、これからも続いていく。
谷はもう「谷」と呼ばれるだけの場所ではなかった。
街道は整備され、市場には人があふれ、子どもたちの笑い声が朝から響いていた。
追放者と王都の民が共に働き、暮らし、支え合っていた。
誰も切り捨てられない。誰も追放されない。
それが新しい国の形となっていた。
◇
リナは相変わらず大鍋を振り回していた。
「今日はシチューだよ! ほら、早く並んで!」
子どもたちが歓声を上げ、兵士も農夫も一緒に列を作る。
「リナさんの料理があるから、この国は大丈夫だな」
そんな声に、リナは得意げに鼻を鳴らした。
◇
グレンとガンツは大工仕事に精を出していた。
「この橋ができれば、交易がもっと楽になる!」
「おうよ! 剣より斧のほうが役立つとはな!」
かつて戦場を駆けた二人が、今は笑いながら木材を組んでいる。
◇
フィオは街の灯火を管理し、炎の魔導士として尊敬を集めていた。
「暴発なんてもう言わせない。私の火は、みんなを照らす火だから」
その言葉に子どもたちが「フィオ先生!」と駆け寄ってくる。
◇
ロディとマリアの歌は街の広場を満たしていた。
「この国に居場所がある限り!」
「誰も無駄じゃない!」
民は手を叩き、笑いながら声を合わせる。歌は法律よりも力強く人々を繋げていた。
◇
エレナとミーナは大きな診療所を開いていた。
「誰でも来て。薬も治療も、ここでは平等よ」
「追放者も王都の人も関係ないわ」
その姿に人々は感謝し、涙を流して頭を下げた。
◇
セリウスは机に向かい、文官たちと議論を続けていた。
「交易路の安全は確保した。次は学校の整備だ」
彼の冷静な言葉は国の柱となっていた。
◇
そして俺は、高台から国を見下ろしていた。
旗はもう破れていない。新しく織られた布に描かれたのは――「追放者ギルド」の紋章。
風に力強く翻り、人々の笑顔を照らしていた。
「……段取りを間違えなければ、ここまで来られる」
静かに呟くと、隣でリナが笑った。
「これからも、私が味見してあげるから」
その言葉に思わず笑い、剣を腰に収めた。
◇
――追放者ギルドは国となった。
誰も切り捨てられず、誰も追放されない国。
血と涙と笑いで築いた新しい秩序の中で、人々はようやくスローライフを送れるようになった。
かつて追放された者たちの旗は、今や新しい国の旗となり、風に高く翻っていた。
◇
物語は終わる。
だが、追放者たちのスローライフは、これからも続いていく。
14
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
無能扱いされ、教会から追放された聖女候補生、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。王子様とゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
無能扱いされ、教会から追放された聖女候補――リディア。
居場所を失い、絶望の淵に立たされた彼女は、辺境の地で「光を繋ぐ」という唯一無二の力に目覚める。
だが、彼女を追放した教会の闇は、なお人々を蝕んでいた。
黒紋章、影の獣、そして狂気に染まった司祭たち。
幾度も絶望が迫る中、リディアは仲間と共に剣を取り、祈りを重ね、決して命を投げ捨てることなく光を繋ぎ続ける。
「私はもう、一人で闇に抗わない。皆と共に生きるために、光を灯す」
かつては「無能」と嘲られた少女は、辺境を救う“真の聖女”として人々の希望となっていく――。
スローライフと激闘の果てに紡がれる、聖女の再生と愛の物語。
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~
名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」
「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」
「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」
「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」
「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」
「くっ……」
問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。
彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。
さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。
「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」
「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」
「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」
拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。
これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
第5話
『盛り上がらない成功』は、主人公の得意技だろ!
うーん、『かっこいい物語より』?かな?