美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた魔王様と一緒に田舎でのんびりスローライフ

さら

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第1話 美人同僚のおまけとして異世界召喚された私

 会議室の天井は安い蛍光灯だったはずだと私は思う。白くて、ちょっとチラついていて、上司の禿げかけの頭皮をいやでも照らし出す、あの現実的な光。それが今は、目の前いちめんに金色で、ゆらゆらと揺れる魔法陣みたいな紋様に置き換わっていた。床が抜けたような感覚と同時に、耳がキィンと鳴って、視界に星が散る。私は反射的に隣の高城さん――会社のアイドルで、ハイヒールで歩くたびに営業の男たちが振り返る、あの美人――の腕をつかむ。彼女の外回り用の白いジャケットが指先に触れたのをちゃんと覚えている。覚えているということは、これは夢じゃない、かもしれない。

「ちょ、ちょっと待って今なにこれえええええええっ!」

 高城さんが、すごく素直な声で悲鳴を上げた。普段の営業スマイルとはぜんぜん違う、普通の二十代女子の声。私は「あ、わりと普通に怖がるんだ」と思う。私はそれどころじゃなくて、膝が笑ってるから立ってるのが精一杯だった。眩しさがふっと引いて、代わりに冷たい空気が頬を撫でる。ひやりとした石畳の匂い、鼻の奥にかすかに草と土のにおい。湿気は少なくて、たぶん空調じゃない、本物の外気。目を開けると、そこは白い壁と高い柱に囲まれた、どこかの大広間だった。天井が高すぎて、首が痛い。

「……え?」

 まず最初に目に入ったのは、信じられないくらい大きな旗だった。赤と金で刺繍されたライオンの紋章が、壁一面にこれでもかと垂れ下がっている。その下に、鎧。鎧、鎧、鎧。銀色のフルプレートみたいなものを着た男たちが、槍みたいなものを構えてずらっと並んで、こっちを見ている。なんだろうこれコスプレ撮影会? いやにしては本気すぎる。いや、それ以前にその槍の先、光ってるんだけど。ピカっていうより、じりじり熱そうな色で光ってる。発熱してる兵器をこっちに向けないでほしい。怖い。

「聖女様……! ついにおいでくださったのですね!」

 甲冑の列の向こうから、豪華な絨毯を踏んで一人の男性が駆け寄ってきた。年のころは四十代くらい、青いマントを引きずって、胸には宝石みたいなブローチ。髪も髭もやたら整ってて、なんというか、めっちゃ「王様です」って自己紹介してる感じの人だった。私は思わず目をそらす。こういう尊い感じの人間を直視すると、うっかり目を合わせて「お疲れさまです」って言いそうで怖い。営業部の癖が抜けない。

「……えっと」

 王様っぽい人は、まっすぐ高城さんを見た。私じゃない。高城さんを。彼は両手を広げ、恍惚とした顔になり、ついでに目にうっすら涙まで浮かべて、劇的に宣言した。

「我が国を救う“光の聖女”よ! 遠き異界よりの到来、感謝いたします!」

「え、あの、はい?」

 高城さんは営業スマイルを発動した。すごい。異世界っぽい状況でも反射的に笑顔を作れるのは、トップ営業のスキルなんだろうか。私だったらもうちょっと混乱というものを表に出したいところである。いや出してる。私は口をぱくぱくさせながら、目だけ忙しく動かした。状況整理。たぶんここは異世界。たぶんこの人は王様。たぶん高城さんは“聖女”。そして。

「も、もう一人いらっしゃるな……?」

 王様の視線が、ようやく私に向いた。それはもう、はっきりと「ついでに見とくか」みたいな順番で。私はちょっと笑ってしまいそうになったけど、その笑いは乾いていて、喉の奥で石ころみたいに転がって止まった。

「そちらは、なにか……その……護衛か?」

「いえ、彼女はただの同僚で……」

 高城さんは正直に言った。正直すぎるほど正直だった。私の胸に刺さったのは、言葉そのものより、彼女のほうの声色だ。気まずそうに、申し訳なさそうに、でも否定はしない声。そう、私はただの“ついで”だ。仕事もそうだった。彼女が大型契約をとってくる横で、私は資料をまとめたり、手続きの不備がないかをチェックしたり、打ち合わせのスケジュールを取りまとめたり、地味で誰も見ていない仕事をしていた。褒められるのはいつも彼女。私は「助かったよ、サエキちゃん」の一言で終わる。

「ふむ」

 王様は、私を上から下まで眺めた。ヒールは履いていない。仕事終わりの事務処理中だったから、ぺたんこの黒パンプス。スーツはアイロンしてあるけれど地味なグレー。髪はひとつ結び。メイクはナチュラルという名のほぼ最低限。私は、もう知っている。この手の視線が何を探して、何を見つけられないか。

「まあ良い。聖女殿、こちらへ。まずは祝福の儀を――」

「あの、すみません、私……」

 私は意を決して、一歩前に出た。膝がまだ震えているけど、声はなんとか出る。こういうとき、ちゃんと聞かなきゃいけないことを聞くのは、庶務の務めだ。知らないまま書類を回すと後で修正地獄になる。私はそういう地獄を何度も見てきた。

「ここは、どこなんでしょうか。私たちは、どうしてここに?」

 王様は、ちょっとだけめんどくさそうな顔をした。見た目は丁寧なんだけど、目の奥の「説明か……」っていう感じが正直だ。思わず「あ、すみません業務増やしてしまって」と言いそうになる。

「ここはエルディア王国王城、謁見の間である。かつてより伝わる召喚の秘術により、異界より勇者と聖女を呼ぶ。それが今、成されたのだ」

「勇者……?」

 私は自分を指さした。

「いや、聖女はこちらだ」

 ぴしゃりと、何のためらいもなく、王様は言った。私は指を下ろした。心臓のあたりがちくっとした。期待していたわけじゃない。期待なんてしてないつもりだったのに、期待してないふりをしてただけだったんだな、と今気づいた。私はちょっと笑う。笑わないと泣きそうだった。

「では後ほど“鑑定”を行う。力なき者は……」

 王様は言い淀んだ。そこだけは、少し言葉を選んだように見えた。でも、その先に続くものは私には簡単に想像できた。会社でもそうだった。数字につながらない部署は、削られる。プロジェクトに貢献していないと思われた人間は、外される。やんわりした言い方をされても、意味は変わらない。

「余計な口出しをして、申し訳ありませんでした」

 私は頭を下げた。自分でもびっくりするくらい、スムーズにお辞儀できた。ある意味で安心した。社会人礼儀反射は異世界でも通用するらしい。安心してる場合じゃないけど。

「……サエキちゃん」

 小声で呼ばれて顔を上げると、高城さんがこちらを見ていた。心配そうに眉を寄せている。私は微笑んだ。だいじょうぶ。だいじょうぶ。口パクでそう伝える。大丈夫じゃないけど。

 そのあと私は、兵士に案内されて別室に連れていかれた。そこは白い石の小部屋で、真ん中に円い台があって、台の上に、青い水晶玉が置かれていた。いかにもファンタジーな見た目だが、近づくと空気がひんやりして、微かに髪が逆立つような静電気の気配がある。理屈はわからないけど、たぶん本当に何かが起こるんだろうなと理解できるくらいには、空気が違っていた。私は喉をゴクリと鳴らした。

「手を置け」

 兵士の一人が言った。口調は冷たいというより、事務的だった。何度も何度も同じ案内をして、もう感情がすり減っている人の声だった。私はこくんとうなずいて、水晶の上に両手をそっと置く。冷たい。氷水のなかに指を沈めたみたいにじんと冷えて、同時に、頭の奥に何かが流れ込んでくるような感覚がした。目の前に、淡い文字がふわっと浮かぶ。空中にホログラムみたいに現れたそれは、私でも読める日本語だった。

 ――佐伯由香
 ――二十六歳
 ――固有スキル:なし
 ――加護:なし
 ――適性:生活補助・事務管理(低)

「……………………」

 やばい、笑いそう、と思った。よりによって“事務管理(低)”ってなに。なにその、地味さにさらに追い打ちみたいな評価。せめて“中”にしてくれても良くない? “低”ってわざわざ書く必要ある? いやあるんだろうな、たぶん。この世界にとっては。私は、胸のなかでふつふつと、会社で「サポート助かってるよ~」って言われ続けたあの日々を思い出し、あの空っぽの褒め言葉が、急にリアルだったように思えてきた。

「ふむ。うむ。そうか」

 兵士のひとりが、あからさまに困った顔をした。彼は私を見て、言いづらそうに口を開いた。

「……残念だが、あなたには戦力的価値はない、と出た」

「なるほど。はい」

「王都での滞在設備は、基本的に“召喚対象”に限られる。つまり、その……」

「つまり私は対象じゃなかった、ということですよね」

「……うむ」

 彼は正直だった。正直でいて、ちゃんと申し訳なさそうだった。それが逆にきつい。冷たく切り捨ててくれたほうが、感情の行き場所があるのに、これはなんだろう。ただの事務連絡みたいに「すまない、そういう規定なんだ」と言われると、ああ私は手当の対象外なんだな、っていう現実だけがつるんと残る。

「わかりました。あの、その場合って、どうなるんでしょう」

「城外への退去となる。城壁の外に、いくつか……貧民街のような……いや、簡易宿が……」

 彼は言葉をにごした。私は、にごされた言葉の先にあるものを想像して、喉がからからになった。知らない世界。知らない言語。知らない通貨。身一つ。クレカもスマホも役に立たない。私がここで本当に一人にされたら、私は、たぶん今日中に泣いて、明日にはどうなってるかわからない。いや、今日の夜の時点でどうしていいかわからない。

 なんで私はこんなところにいるんだろう。私はただ、残業してただけなのに。請求書のファイル名を揃えなきゃいけないから、二人で残ってただけなのに。私じゃなくても良かったはずなのに。どうして。

「……はあ」

 私は小さくため息をついた。泣きそうなのを、ごまかすためのため息。呼吸を整えるための間。深呼吸、三秒吸って、三秒止めて、三秒吐く。会社でメンタルヘルス講習を受けたときに教えてもらったやつ。まさか異世界でも役に立つとは思わなかった。

「手続きとか、なにか必要ですか」

「てつづ……?」

「私が出ていくっていうことを、どこかに申請するとか、退去証明とか、身分証明書の代わりになるものは発行されますか。ないと外で困りますよね?」

「あ、ああ、そのような証は出せる」

「お願いします。それと、通貨がないので、外に出される前に少額でいいので貸与は可能でしょうか。すぐには返せないかもしれませんが、返すつもりはあります」

 兵士は目をぱちぱちさせた。たぶんそこまで具体的に言ってくる人間はいなかったんだろう。私は自分がちょっと引くぐらい冷静にしゃべっているのを、どこか他人事みたいに観察していた。怖いからこそ、段取りを確認しているだけだ。段取りを確定させれば、少なくとも“いま”の不安は先送りできる。私はそういうふうに生きてきた。

「き、君は……ずいぶん落ち着いているな」

「落ち着いてないです。めちゃくちゃ怖いです。叫びたいくらいです。でも叫んでもお金は出ないので」

「……そ、そうだな」

 兵士は苦笑した。ちょっとだけ場がゆるむ。その一瞬のゆるみに、私は救われた気がした。

 廊下に戻るときだった。白い石壁の角を曲がった瞬間、そこに、ひとりの男が立っていた。さっきまでいなかったのに、まるで最初からそこにいたみたいに自然に、壁にもたれかかって、退屈そうに宙を眺めていた。黒い。第一印象はそれだった。黒い外套、黒い手袋、黒い髪。なのに重たくない。黒っていうより、夜の色。よく磨いた黒曜石みたいに、光を吸って、ところどころだけ鋭く跳ね返す、そんな色合い。

「やあ」

 男は軽い声で言った。低いけど、柔らかい。眠たそう、と言ってもいい。

「きみが、聖女じゃないほう?」

 私は思わず「はい」と答えてしまった。条件反射で返事してから、ちょっとだけむっとした。なんだその言い方。

「“聖女じゃないほう”ってなんですか」

「ごめん、呼び方に困ってさ。君の名前を教えてもらってないから」

 あ、そういえば。誰も、私の名前をちゃんと呼ばなかったな、と気づいた瞬間、胸の奥がきゅっとした。兵士でさえ“君”止まりだった。私は口を開く。名乗ろうとしたのに、なんだか喉がつっかえて、すぐに声が出なかった。

「……さ、えき……」

 情けない、って思った。自分の名前くらい、ちゃんと普通に言いなよ。泣くなよここで、って自分に命令する。

「佐伯由香です」

「由香」

 男は私の名前を、やさしく反芻した。聞き慣れた自分の名前なのに、初めて誰かに正しく見つけてもらえたみたいな感じがして、危うくそこで本気で泣きそうになった。あぶない。泣いたら負け。泣いたら、たぶんもう立てなくなる。

「俺はルゼル」

 男は、軽く胸に手を当ててみせる。芝居がかった所作じゃないのに、やたらサマになっていた。細い指、白い肌。近くで見ると、彼の目は赤みを帯びた茶色で、光の加減で琥珀みたいにきらっと揺れる。きれい、って思ってしまって、慌ててその感想を心の奥に押し込んだ。いまはそういう場面じゃない。

「ルゼル……さん?」

「呼び捨てでいいよ。俺はそういう立場だから」

「そういう立場?」

「まあ、いろいろあってね」

 彼は笑った。少しだけ唇の端を上げるだけの笑いなのに、どこか人を安心させる笑い方だった。ふっと肩の力が抜ける。

「聞こえたよ、さっきの」

「さっきの?」

「“退去”とか“貸与”とか、兵士くんと交渉してたろ」

「あ、えっと、聞いてました?」

「聞いてた」

 ルゼルは悪びれなかった。堂々と盗み聞き宣言をされて、私はちょっとだけ口をとがらせる。けど同時に、少しだけ心強くもあった。だって“聞いていた”ということは、誰かが見てくれていたってことだから。私がここで、完全なひとりじゃなかったってことだから。

「きみ、このまま放り出されたら死ぬよ?」

「わかってます」

「じゃあ、こない?」

 言葉の意味が、一瞬でわからなかった。私は目をぱちくりさせる。

「え?」

「俺のところに。仕事はある。住む場所もある。メシもある。あと安全も、まあ大体ある」

「安全“大体”ってなんですか“大体”って」

「正直でしょ?」

「正直すぎでは」

「でも、城下のスラムに比べたら天国だと思うよ。少なくとも、夜中に泣かずに寝られるくらいには」

 その一言が、胸にすとんと落ちた。夜中に泣かずに寝られる場所。想像してみる。柔らかい布団。屋根。鍵がかかる部屋。誰にも手を出されない安心。スマホもないこの世界で、暗闇の中ひとりで震えなくていい場所。私はそれを、今この瞬間、なによりも欲していると気づく。

「……それって、つまり、住み込みの仕事ってことですか?」

「うん。家事ができると助かる。あと、書き物とか整理とかも」

「家事と事務ですか」

「そう」

「それ、私の適性“低”って出たんですけど」

「はは。じゃあ“低”でいいよ」

 ルゼルはおかしそうに笑った。からかいじゃない。楽しそう、に近い。私はむっとしながらも、なんだかちょっとだけ救われる。“低”っていう、さっきは胸に刺さった言葉が、彼の口調だと、ただの記号みたいに軽くなる。

「俺としては、けっこう本気のスカウトなんだよ。どうかな、由香」

 由香、と彼はもう一度、私の名前を呼んだ。私の中で、何かがほどける音がした。会社では「サエキちゃん」か「そっちさ、まとめといて」で済まされていた。王様は、私を見ていなかった。兵士は“君”だった。この異世界で、最初にちゃんと「由香」と呼んでくれた人が、いま私に手を差しのべている。

 私は、息を吸って、吐いた。心臓はまだ早いけど、さっきよりもずっとましだ。震えてはいるけど、立てる。選べる。だったら。

「……行きます」

 自分でも驚くくらい、はっきり言えた。声は震えてなかった。ルゼルの赤茶の瞳が、ほんの少しだけ細くなって、満足そうに笑う。大人の、安心させる笑み。

「いい返事」

 彼はくるりと踵を返した。黒い外套がひらりと舞って、空気に夜の香りがふわっと混ざる。甘い匂いじゃないのに、不思議と落ち着く匂いだった。

「じゃあ由香、ここを出よう。王様たちがややこしい話を始める前に、ね」

「ちょ、ちょっと待ってください。そんなに堂々と出ていっていいんですか?」

「大丈夫、大丈夫。俺、顔が広いから」

「それフラグっぽい言い方やめてもらえます?」

「だいじょうぶ。本当に大丈夫。俺、こう見えて“元”だから」

「元?」

「元・魔王だよ」

「…………は?」

 足が止まった。頭も止まった。何もかもが「はい?」で止まった。ルゼルは当然のように振り向いて、片目をいたずらっぽくつむる。冗談みたいに軽い仕草なのに、彼の瞳の奥はまったく笑っていなかった。夜の色をしたまま、静かに私を見ていた。

「安心して。いまは平和主義者だよ?」

「平和主義って、元・魔王が言っても安心材料にならないんですけど」

「じゃあ、こう言い換えようか」

 ルゼルは少しだけ身を寄せてきた。距離が近い。彼の声はささやきみたいに低く落ちる。廊下の石壁と天井の高いアーチが、音をやわらかく反響させて、二人だけの空間みたいに感じる。

「君を泣かせるやつからは、俺が全部守る」

 頭の奥がじんと熱くなった。喉の奥がきゅっと締まった。そんなこと、正面から言われたの、いつぶりだろう。いや、言われたことなんてそもそもなかったんじゃないかって気がする。私は目をぎゅっと閉じて、開いた。涙は、ぎりぎり、こぼれない。

「……わかりました。お願いします、ルゼル」

「うん」

 彼は満足そうにうなずき、軽い足取りで歩き出す。私も、その背中を追いかけて歩き出す。黒い外套の裾が、私の目の前で揺れる。その揺れは、不思議と安心できるリズムだった。たぶん私はいま、人生でいちばん無謀な決断をしている。でも、いまこの瞬間だけは、間違っていない気がした。

「では、参ろうか。我らが静かな田舎へ」

「田舎?」

「そう。湖のそばの、小さな村。空気がうまいよ。あと、パンがうまい」

「パンがうまいのは重要ですね」

「でしょ?」

 私たちは、白い石造りの長い廊下を進む。遠くで、王の怒鳴り声と、誰かの歓声が聞こえた。たぶん“聖女”に向けたものだ。そこには私の名前は、ない。私はもうそこにいない。胸の奥が、するりと軽くなる。

 足音が、二人分、ぴたりと揃った気がした。



 白い石の廊下を抜けると、冷たい外気が一気に頬を撫でた。さっきまでの城の中の匂い――磨かれた石と油の匂い――が薄れて、代わりに草と土と、馬の微かな匂いが混じった空気が、肺の奥まで流れ込んでくる。私は思わず大きく息を吸った。肺が驚いたみたいに少し痛い。でも、気持ちいい痛さだった。ビル街の排気ガスじゃない空気って、こういう味がするんだ、と変なところで感動する。

「こっち」

 ルゼルが私の手首を、軽くつまむようにして引いた。乱暴じゃない。むしろ、落としものを拾い上げるみたいな丁寧さで、その指先は冷たくも熱くもなく、ただ落ち着いた温度だった。私はその手に引かれて、石段を降りる。見上げると、城壁は白ではなく、外側は薄い灰色で、ところどころに苔がついていた。高い。やたら高い。観光地の城跡みたいな生やさしい高さじゃない。これ落ちたら死ぬなって高さだ。

「門を正面から出るのはやめよう。面倒だから」

「正面は、たぶん見張りとかがいるからですか?」

「うん。あと書類」

「あー」

 私は気持ちのいいぐらい即座に納得した。書類という単語だけで胃がきゅっとなるのは庶務のサガだ。逆に言えば、書類から逃げられるなら逃げたいのも庶務のサガだ。

「じゃあ、どうやって?」

「ここ」

 ルゼルは城壁の影、木箱が重ねられている細い通路にするりと入った。私はスーツの裾を押さえながらついていく。ヒールじゃなくて本当に良かったと心から思う。あの五センチヒールのパンプスだったら、たぶんここで足をくじいて泣いてる。木箱はどれも古くて、角がすり減っていて、表面には見慣れない文字が雑に焼き印されている。たぶん物資管理用のマークなんだろうけど、私には読めない。通路の先は、ごく普通の城壁の石壁にしか見えなかった。なのに、ルゼルはそこに手をかざすと、石がゆらりと水面みたいに歪んだ。

「ちょっ……」

「静かに。大丈夫、痛くないから」

「いや、そういう問題では」

 言い切る前に、彼は私の背中をそっと押した。押された、というよりも、軽く誘導された感じで、私は自分の身体がふわっと軽くなるのを感じた。水のなかに潜るときの、あの一瞬の抵抗みたいなものが肌をなでて、次の瞬間、私はまったく別の場所に立っていた。

 目の前に広がるのは、石畳の細い路地だった。高い石壁に挟まれていて、上を見上げると細長い空の帯が見える。空は青くて、ところどころに白い雲がちぎれたレースみたいに浮いている。静かだ。さっきまでの緊張感のある兵士の気配が、ここにはない。かわりに、生活音があった。どこかの窓から、鍋をかき回す金属音と、女性の笑い声。遠くから聞こえる馬のいななき。子どもが走る足音。ああ、“街”だ、と実感が押し寄せる。

「ほらね」

 ルゼルは、なにげなく両手をポケットに突っ込んだ。外套の裾が揺れる。彼は本当に自然体だった。まるでこの路地が、自分の庭みたいだ。

「……今の、なんですか」

「ちょっとした抜け道」

「城壁に“ちょっとした”抜け道があるの、セキュリティとして致命的では?」

「大丈夫。普通の人には見えないようになってるから」

「それ普通の人以外には見えるってことですよね」

「そうだよ」

「それはそれで怖いんですけど」

「まあ安心して。君を売る趣味のあるやつは、俺の前では長生きできないから」

「サラッと怖いこと言いましたね今」

「褒め言葉なんだけどなあ」

 私は半分呆れながらも、半分ほっとしていた。さっき“守る”と言ったときの、彼の目の色を私は覚えている。その目は、冗談を言う人間の目じゃなかった。だからいまのさらっとした台詞のほうを、私はむしろ冗談として受け止められた。変な話だけど、妙に安心した。

「さてと」

 ルゼルは歩き出す。路地の先、太陽の光が差し込んでいる大きな通りのほうへ向かって。私は慌ててその背中を追いかける。人混みが見えた。露店みたいな屋台が並んでいて、焼いたパンみたいな匂い、香草の匂い、甘い果物みたいな匂いが風に混じってくる。通りに出ると、私は思わず目を丸くした。

「……わぁ……」

 そこは市場だった。石畳の道の両側に、木の台がずらっと並んで、色とりどりの野菜と果物が山みたいに積まれている。赤い実、緑の葉っぱ、紫の根っこ。形はちょっと見慣れないけど、トマトっぽいものとか、にんじんっぽいものとか、ところどころに既視感があって、それが逆に面白い。肉屋らしき店の前には、大きな骨付きの肉が吊るされていて、陽光に照らされて脂がきらりと光っていた。布屋らしき店では、色とりどりの布が風になびいて、パステルカラーや深い藍色が目に心地いい。人々の声が飛び交っている。値段の交渉らしい早口。笑い声。元気な子どものはしゃぎ声。全部が、知らないはずなのに懐かしい感じがした。

「わ、わ、すごい……」

「初めて見る顔だね、由香」

「めっちゃ観光客みたいな反応してます?」

「してる」

「恥ずかしい」

「いいじゃない。かわいいよ」

「かわいいとか言わないでください、混乱するから」

「正直な感想なんだけどなあ」

 ルゼルは肩をすくめ、露店の一つに近づくと、店主と手早く言葉を交わした。彼が使っているのは、この世界の言葉だ。私はまだちゃんとわからない。さっきからなんとなく意味を拾えているのは、たぶん召喚とかの影響で、ざっくり意思疎通だけできるようになってるんだろう。でも、ネイティブ同士の早口はまだ厳しい。焦る必要はない、と自分に言い聞かせるしかない。語学って急には身につかないし。

「ほい」

 いつの間にかルゼルが、紙袋みたいなものを私の手に押し付けてきた。あたたかい。袋の底から、ふんわりといい匂いが立ちのぼる。

「なにこれ」

「パン。ここのが市場でいちばんうまいんだ。さっき言ったろ、パンがうまいって」

「本当にうまいかどうか、確認する権利はありますよね」

「もちろん」

 私は袋の口をそっと開けた。中には、丸いパンが入っていた。手のひらサイズで、表面がこんがり焼けていて、ところどころハーブらしき緑の欠片が見える。指でつまむと、外はカリッとしていて、中はふわっとしているのがわかった。私はひとくち、かじった。口のなかに、やさしい塩気と、小麦の甘さと、ハーブの爽やかさが一気に広がった。噛むたびに、表面の香ばしいところがほろりと崩れて、内側のふかふかが舌に乗る。

「……おいしい……」

「でしょ?」

「なにこれおいしい……」

「でしょ?」

「なんですかこれ、コンビニのパンコーナーに全部勝ってません?」

「コンビニってなに?」

「すみません地球用語です」

 ルゼルはおもしろそうに笑った。私は夢中でもぐもぐしながら、ふと現実に引き戻される。あ、そうだ、私、いま財布ないんだよね? ということは、これは――。

「あの、これお金……」

「気にしないで。俺のおごり」

「タダ飯やばいでしょ。借り作りたくないんですけど」

「じゃあ働いて返して」

「は、はい」

 素直に返事してしまった自分にちょっと笑う。さっきまで“退去”とか“スラム”とか“死ぬ”とか現実的に考えてたくせに、パン一個でこんなに心がゆるむのもどうなんだろう。でも、ゆるんだ。しょうがない。おいしいものは正義だ。

「それにしても」

 パンをもぐもぐしながら、私はルゼルを見上げる。市場のざわめきのなか、彼は人混みに埋もれない。黒い外套のせいもあるけれど、それだけじゃない。立っているだけで目立つ。絵みたいに整った顔立ち、長い指、ゆったりした所作。モデルですって言われても信じる。いやモデルって概念がこの世界にあるのかわからないけど、でもそんな感じ。

「ルゼルって、何者なんですか」

「さっき言ったろ。“元・魔王”」

「それ、どのくらい“元”なんです?」

「んー……」

 ルゼルは少しだけ考えるように目を細めた。市場の喧騒のなかで、ふと、彼だけ音が遠のいたみたいに静かに見えた。その横顔は、さっきまでの飄々とした印象とは違って、少しだけ年上に見える。影が落ちるというか、夜の静けさが戻ってくる感じ。

「もう、けっこう前。人間と魔族が派手にやり合ってた時代は終わった。いまは休戦のあと、だいたい平和だよ。表向きはね」

「表向きは」

「うん」

「裏向きは?」

「それは……まあ、おいおい話すよ」

「おいおいって言い方は信用ならないって社会で学んだんですけど」

「俺も人間社会を学んだほうがいいのかな」

「あなた、見た目は人間っぽいですけど、実はぜんぜん人間じゃないですよね」

「うん。ぜんぜん人間じゃないよ」

「ですよね」

「怖い?」

 唐突にそう聞かれて、私は一瞬言葉に詰まった。怖くないと言えば嘘になる。彼はさっき、守るよって言ったとき、目が本当に冷たかった。その冷たさは、簡単に人を傷つけられる種類の冷たさだって、本能がちゃんと理解している。でも。

「……いまのところ、私に対してはやさしいので」

「つまり?」

「とりあえずいまは怖がらないでおこうかなって思ってます」

「合理的だ」

 ルゼルは満足そうにうなずき、また歩き出す。市場の喧騒から少し離れた、細い道に入っていく。私はパンを食べ終わって、紙袋をくしゃっと丸め、スーツのポケットに突っ込んだ。ゴミ箱がどこにあるかわからないから、持ち歩くことにする。そういうところ、体に染みついてる自分がちょっとおもしろい。

「ところで」

 少し人気がなくなった路地で、私はふと、自分の格好に意識が向いた。グレーのスーツ、白いブラウス。ビジネス用の地味なトートバッグ。あまりにもこの街並みに浮いている。周りの人は、麻っぽいワンピースとか、革のベストとか、ふわっとしたシャツとか、どこか牧歌的で、でも動きやすそうな服を着ていた。私は完全に、異物だ。

「この格好って目立ちません? 大丈夫ですか?」

「うん、めちゃくちゃ目立ってる」

「それ大丈夫じゃないやつですよね」

「大丈夫。“王城から追い出された召喚の外れ枠”って噂はすぐ広まるから、すぐに誰も気にしなくなるよ」

「いやそれはそれで複雑なんですけど」

「それに、すぐ着替えさせるつもりだったし」

「着替え“させる”?」

「うん」

「なんかちょっと今、いやな予感がしたんですけど」

「安心して。変な趣味の服は着せないから」

「基準がわからないんですけど」

「由香に似合う、素朴で動きやすいやつ。村暮らし用」

「村暮らし」

「そう。これから向かう場所は、王都からかなり離れた、湖のそばの小さい村なんだ。静かで、のんびりしてて、空が広い。俺、いまはそこで暮らしてる。村の子どもたちは元気で、パンはうまくて、井戸の水も悪くない。ああ、でも最近ちょっと井戸が不調なんだよな……」

 ルゼルは少しだけ眉をひそめ、独り言みたいにぶつぶつ言いはじめた。井戸の水位がどうとか、どこが軋んでるとか、木桶の縁が割れてるとか。私はその細かさに、ちょっとだけ胸があたたかくなった。魔王とか言ってるのに、なんか生活感がすごい。この人、本当に“暮らしてる”んだ、この世界で、ちゃんと。

「……いいですね」

「なにが?」

「そういうの、いいなって思って」

「そういうの?」

「空が広いとか、パンがおいしいとか、井戸が壊れてるとか、そういう話。すごく、ちゃんと“生活”って感じで」

 言いながら、自分でもちょっと驚いた。私、こんなふうに“生活”って言葉を好きだと思ったこと、あったかな。会社では、生活はただ延命のためのものだった。朝起きて会社に行って、夜になって帰って、コンビニで何か買って、シャワー浴びて寝る。土日は寝る。たまに友だちと会う。そういう繰り返し。そこには“好き”って言えるものが、いくつあったっけ。

「由香」

 ルゼルが、私の名を呼んだ。柔らかい声。私は顔を上げる。彼は少しだけ立ち止まって、こちらを振り返っていた。市場の喧騒が遠くなって、路地には二人の足音しかない。高い石壁が、外の世界を切り取って、ここだけを静かにしている。

「君の“生活”、これから、俺のところで始めない?」

 その言葉は、プロポーズみたいに聞こえて、私は一瞬で顔が熱くなった。ちがう、これはただの仕事の話。わかってる。わかってるけど、でも。

「……それ、ちゃんとお給料出ます?」

「出す」

「休みあります?」

「ある」

「残業代は?」

「出す」

「社会保険は?」

「それに近いものは整えてる」

「有能……」

「元・魔王をなめないでほしいなあ」

「いや元・魔王の福利厚生が整ってるって、新しいなあ……」

 私はふっと笑った。声にちゃんとした笑いが混じったのは、異世界に来てから初めてだった。肩の力が抜けて、背筋にこわばっていた緊張が少し溶けていくのがわかる。ルゼルも、満足そうに目を細めた。

「決まりだね」

「まだ入社届書いてないんですけど」

「書類仕事はあとでいいよ。今は、まずは街を抜けよう。さすがにこの格好のまま長居すると、役人に目をつけられる」

「役人って、うるさいんですか」

「うるさいよ。“召喚された人間”は基本的に王国管理下にあるからね。本来は勝手に連れ出しちゃいけないんだ」

「それさらっと犯罪予告では?」

「安心して。俺、顔が広いから」

「それ二回目!」

「二回言えば説得力が増すかなと思って」

「増えません!」

 私たちはまた歩き出す。路地はいつの間にか石畳から土道に変わって、周囲の建物も、石造りの背の高い家から、木と土壁の低い家に変わっていく。人の数も少なくなって、代わりに、鶏の鳴き声や、どこかで薪を割る音が聞こえる。街の外れに近づいているのだと直感的にわかった。

「由香」

「はい」

「ひとつだけ、ちゃんと言っとく」

 ルゼルの声色が、少しだけ真面目になった。私はそれに合わせて、背筋を伸ばす。なんとなく、重要事項説明タイムの匂いがする。入社前オリエンテーション的なやつ。

「な、なんでしょう」

「俺のところに行くってことは、王国から見たら“行方不明”になるってことだ」

「…………」

「さっきの鑑定結果だと、君には“価値がない”って判断されてるから、騎士団が総力をあげて追ってくる、なんてことはまあないだろう。でも、完全にノータッチってわけでもない。形だけの書類とか、体裁とか、そういうのがあるからね。だから、君が王都に戻りたいと思っても、すぐには戻れない可能性が高い」

「戻る予定はないので大丈夫です」

「早いね即答」

「会社、正直そこまで未練ないので」

「そっか」

「あと、あの王城に置いておかれるくらいなら、どこでもいいので」

「うん」

「それに、私、さっきもう、はっきり言っちゃいましたから」

「なにを?」

「“行きます”って」

 私はルゼルを見る。ルゼルも、私を見た。彼の赤茶色の瞳が、ふっとやわらぐ。ああ、この人、いまちょっと嬉しそうなんだ、ってわかるくらいには、もう目の変化が読めるようになっている自分に、少しだけ驚く。

「そっか」

「はい」

「ありがとう」

「えっ」

「来てくれるって言ってくれて。正直、すごく嬉しい」

 さらっと言われて、私はまた顔が熱くなる。やめてほしい。心臓に悪い。こっちは朝からいろいろありすぎてライフポイントが残り少ないのだ。

「べ、別に。私、住む場所とお金が必要なだけで」

「それでいいよ。そういうの、正直に言えるの、好きだな」

「好きとか言わないでください」

「なんで?」

「混乱するから」

「うん、正直でいいね」

「うるさいです」

 でも、口ではそう言いながら、私は内心で少しほっとしていた。こういう軽口を叩けること自体が、私には救いだった。ついさっきまで、“存在しないもの”みたいな扱いを受けていたのに、いまはちゃんと会話ができてる。ちゃんと、名前で呼ばれてる。それだけで、身体の中心に火が灯ったみたいにあたたかい。

「さて、と」

 ルゼルは立ち止まった。目の前には、街外れの小さな馬小屋があった。藁の匂い、獣の匂い。木の柵のむこうで、栗色の毛並みの大きな馬がこちらをじっと見ている。つぶらな目がつやつやしていて、まつげが長い。なんかかわいい。

「この子は?」

「移動手段」

「馬?」

「馬」

「私、馬に乗ったことないんですけど」

「大丈夫。乗れるよ」

「根拠薄くないですか?」

「由香、俺を信じて」

 ルゼルは笑い、馬の首をやさしく撫でた。馬は気持ちよさそうに目を細めて、ぶるると鼻を鳴らす。私はその光景を見ながら、深呼吸をひとつした。ここから先は、もう本当に引き返せないんだろうな、という予感があった。王都という“人間の世界”から離れて、ルゼルの言う“田舎”へ。知らない場所へ。知らない暮らしへ。だけど、不思議と怖くはなかった。怖くないのは、たぶん、私が壊れてるからじゃない。隣に、ルゼルがいるからだ。

「……じゃあ、お願いします」

「うん。任せて」

 ルゼルは私に手を差し出した。その手は、あたたかかった。
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