美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた魔王様と一緒に田舎でのんびりスローライフ

さら

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 それからしばらく、夕暮れの村は「いつもの夕方」と「ぜんぜんいつもじゃない夕方」の、ちょうど真ん中くらいの空気で進んだ。みんな少しずついつもの場所に散っていくんだけど、さっきまでのことがなかった顔にはならない。でも逆に、さっきの緊張をそのまま背負ってガチガチにもならない。肩にまだ残ってる怖さの重さを、笑いや声かけでちょっとずつならしていく感じ。怖さって、急にゼロにはならないけど、分け合えば軽くできるんだって、見てるだけでわかった。そういう空気の真ん中に、私はいた。泣いたあとの顔で、目を赤くして、息を深くして、それでもちゃんと立ってる私を、みんなが「見ないふり」と「見る」を使い分けながらそばに置いてくれていた。

 井戸のところにはまだ、“なおす”“つかう”“すてる”の山が三つ、ちゃんと残ってた。もちろん、倒さないように縄で少し留められてる。子どもが近づきすぎると、すぐ大人の手が伸びて肩をつまんで戻す。その動きに怒鳴り声はない。ただ「ほい」って感じの、日常の手の動き。そういうのを見るたびに、胸の奥がじんわりする。さっきまで“この村、燃えるかも”みたいな話をしてた場所と、目の前のこの“ほい”っていう優しい手が、同じ世界に同時にあるっていうのが、なんだか信じられない。けど、あるんだ。両方あるんだ。怖いのと優しいのが、ちゃんと同じ場所に。世界ってそういうふうにできてるのかもしれない。

「由香」

「は、はい」

 名前を呼ばれて顔を上げると、ルゼルが私の前にしゃがんでいた。夕日の光で髪がオレンジに縁取られてる。さっきまで“魔王”の目をしてたのに、今はまたやわらかい。ちょっと困ったような、ちょっと嬉しそうな、たぶん“どう声をかけたらいいのかわからないけど黙るのもいやだからなにか言いたい”って顔。そういう迷ってるやさしさの顔って、反則だと思う。

「顔、洗おうか」

「……はい……」

「うん。水は“つかっていい”側から少しだけね」

「はい……がんばって つかっていい ほうを ちゃんと つかいます……」

「それすごくえらい」

「だからそれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 叫んだら、その叫びに反応して、近くの大人たちがまたちょっと笑った。わかってる、わかってるんだよ、笑わせてくれてること。わざと半分わちゃっとさせて、さっきまでの“こわい”を薄めてくれてること。ちゃんとわかってる。だから私はあえて全力で叫ぶ。そうやって私も、この薄める作業の一員になれるなら、なりたい。守られるだけじゃなくて、混ざりたい。混ざれたのが嬉しくて、心臓があったかくて、また泣きそうになって、でもそれはセーフで、なんならむしろ義務だからオッケーで、忙しい。

「ミラ」

「なぁにー?」

 ミラちゃんがぴょんって寄ってくる。泣いたあとの顔で、でももう目はきらきらしてて、さっきの恐怖より「おなかすいた」が主役に座りなおしている。子どもの回復力、恐るべし。というか未来の人類、強い。たぶんこの子どもたちが世界を救う。

「ミラちゃんも、顔あらう? いっしょに」

「うん! みずのむとこじゃないほうからね!」

「そうそう、みずのむとこじゃないほうからだよね、えらい~……」

「それぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「それあなたが言うの!?!? いつのまにインストールしたのその使い方!?」

 私とミラちゃんのやり取りでさらに笑いが広がって、張りつめてた空気がもう一段ゆるんでいく。その様子を、ルゼルはちょっと目を細めて見ていて、それから私と目が合うと、小さく肩をすくめた。なんだろう、この“たすかった”っていう肩のすくめ方は。たすかったのは私のほうなんだけど。いや、たすかってるのはルゼルもか。たぶんこの人だって怖かったんだもんね、あの兵士たちとのやり取り。なのに、ずっと、私の前に立ってくれてた。さっき「こわかった。よくがんばったね」って言ったけど、たぶんあれ、自分にも言ってたんだ。そう思ったら胸があったかくて、また視界がにじんだ。

 私とミラちゃんは、桶に入った“洗っていい水”のほうへ連れていかれた。夕日でほんのり赤くなった水面をのぞきこむと、泣きはらした私の顔がうつってて、びっくりした。目が赤い。鼻も赤い。まぶたがちょっと腫れてる。涙と鼻水で頬がてかてかしてる。すごい。こんな顔でも生きてるんだな私。ちゃんと生きてる。生きてて、村の真ん中にいて、これから“仕事”するんだ。水をちょんってすくって、そっと目のまわりをぬぐう。冷たくて気持ちいい。しみるけど、それが逆に落ち着く。ミラちゃんもまねして、ぺちぺちって頬に水をつける。ぺちぺちが強すぎて水がびしゃって飛んで、私の腕にかかって、ふたりで「あはは」って笑う。それだけで、胃の奥のきゅうってなってたものがちょっとほどける気がした。

「よし」

 顔をぬぐい終わると、私は指先で涙と鼻水のあとをもう一回ふきとってから、くるっと振り返った。さっき私が立ってた場所──村の真ん中、井戸のそば。そこにまだ、さっき兵士がくしゃくしゃの紙を出したときの、ざわざわした空気の残り香がある。あそこはさっきまで「こわい場所」だった。けど今は、板と炭と、私の仕事の場所だ。だったら、私の場所にする。

「かんばん、つくります」

 言うと、近くにいた村の人たちが「よっしゃ」とか「おー」とか、声を上げた。なにそれ。なにその職人を励ますみたいなノリ。嬉しすぎるんだけど。私、こんなふうに「仕事します」って言って「おー!」って言ってもらえたの、生まれて初めてだよ? 会社では「それ君の範囲じゃないから」「それは別チームがやるから」って言われて、手出すと逆に怒られたのに。ここでは、私が「やる」って言ったら、「やろ!」って返ってくる。胸の奥がまた熱くなる。これずっと熱いな今日。私の胸の中の温度計ずっと赤ラインだけど大丈夫? オーバーヒートしない?

 イェルさんが「ほい」と言って、さっきの板を持ってきてくれた。木の板、まだちょっと湿ってて、角のところがささくれてるやつ。あと、炭。炭はアイラさんが袋から出して私に渡してくれる。炭っていってもキャンプで見るやつじゃなくて、もっと細い。握りやすい。指が黒くなる。でもそれがなんか誇らしい。黒くなる指は、“やってる人の手”に見える。

「はい、ゆかおねえちゃんどうぞ」

「ありがとう、ミラちゃん」

「えっへん」

 ミラちゃんが胸をはる。かわいい。かわいすぎる。なんかもう、この子の胸をはる仕草だけでご飯三杯いける。やばい。やばいけど、たぶん私いま本当にご飯三杯食べられるくらいお腹すいてるから余計にやばい。

「なにから書く?」

 ルゼルが、すぐ横に腰を下ろして聞いてくる。膝を立てて、腕をのせて、のんびりしてるように見えて、でも視線はちゃんと私の手元に向いてる。“一緒にやるよ”っていう姿勢。気づいたら、後ろには子どもたちが円をつくって座っていて、大人たちも少し離れたところに腕を組んで見ている。みんな、さっきまでの兵士とのやり取りを経験したばかりなのに、今は“学ぶモード”の顔をしてる。すごい切り替えだな本当に。プロの村。

「まず、“ここは のんでいい よ”と“のんじゃ だめ”をはっきりさせたいです」

「うん」

「いまは、口で言ってるだけだから、よそから来た人にはわかんないかもで。だから、ぱっと見てわかるようにしたいです」

「うん」

「色使えたらよかったんですけど、いま色ないので、かわりに、かたちを変えます。“〇”と“×”を大きくして、子どもでも読めるようにします」

「うん」

「それから、“おなかいたい やだよね”も書きます。“だから おねがい”っていう書き方にします。“命令”じゃなくて“お願い”にします」

「うん」

「うん、じゃないのよあなたは……なんでそんなに肯定しかしないのよ……」

「由香が正しいから」

「そういうのも反則なんだよなぁぁぁぁぁ!!!!」

 また私が叫ぶと、また笑いが起きた。たぶんこの村、三日後までに“それぇぇぇぇぇぇ!”と“反則なんだよなぁぁぁぁぁ!”が口癖として広まる。文化ってこうやって生まれるんだ。やばい。私の口癖で村の文化が生まれはじめてるんだけど。責任重大じゃない? 大丈夫? 変なこと言えないじゃん。いや、もう言ってるけど。

 私は深呼吸をして、板の表面に炭をあてる。さっきもやったから、少し慣れてる。すべらせる力加減も、筆圧も、なんとなくわかってきた。指先が、ちょっとだけ自信を持って動く。その感じが嬉しい。嬉しくて、胸の中にぽっと灯りがつく感じがする。「役に立てる」っていう灯りだ。これはあったかい。あったかいから、怖さを少し溶かしてくれる。

「“この みず のめる よ”……」

 ひらがなで、ゆっくり、大きく。読みやすいように、丸っこい字で書く。小さい子でも読めるように、文字と文字の間をちょっと広げる。炭の粉がかすかに指につく。こすれる音が、カリカリって耳に入る。板の木目が、すこしガタつくところで引っかかって、線がぷるっと震える。その震えすら、いまの私にはたのしい。これ、ぜんぶ“生きてる音”だ。

「“おなか いたい の やだよね”」

 次に別の板に書き始めると、ミラちゃんが、となりで真剣な顔をして私の手元をのぞきこんでいる。眉がきゅって寄ってて、ふだんのおしゃべり顔とは全然ちがう。これは、“大事なこと”を見る目だ。ああ、この村の子どもたち、この顔で見てくれるんだ。“大事なこと”に。この顔で見てもらえるなら、私ぜんぶやるよって気持ちになる。無限にやるよ。徹夜でやるよ。いや徹夜はだめってあとでルゼルに怒られる気がするから徹夜はやめとくけど、気持ちとしては徹夜でやるよ。

「“だから おねがい”」

 そこまで書いて、いったん手を止める。ここからが今日いちばん悩むところだ。私は炭を持ったまま、少しだけ首をかしげる。言い方を、考える。きつくしすぎず、でも伝わるように。命令じゃない。お願い。でも、軽くもない。ちゃんと重さは伝わってほしい。どうすればいいんだろうって、頭の中でことばがぐるぐるする。

「“この むら では みずを わけて つかって います”……」

 ゆっくり書く。ひらがなの列が板の上にふえていく。私の字はそんなにきれいじゃない。まっすぐでもない。ところどころ丸がいびつになる。それでも、ひらがなってすごい。読める。ちゃんと読める。意味が伝わる。世界最強の表音文字か? ありがとうひらがな。私いま世界レベルでひらがなに感謝してる。

「“みずで あそばないで ください”……」

 書きながら、ふっと胸がちくっとした。あ、これ、そのままだと子どもは“おこられた”って感じちゃうかも。そうなると、逆に「やりたくなる」ってやつ。わかる。私もそういうタイプだった。だめって言われるとやりたくなる。だから、“ダメ”じゃなくて、“こわい”にしよう。“ダメだからやめろ”じゃなくて“こわいからやめようね”。それなら、子どもたちは、“いっしょに守ろう”って顔になる。今日の昼見た。あの顔。あの顔をもう一回見たい。

「……まってください。いまの やめます」

 私はいったん手を止めて、板の上の“あそばないで”のあたりを指でこすった。ちょっとぼやけた。大丈夫。まだ書き直せる。

「“みずで あそぶと おなか いたいの くるかも しれないよ”」

 ゆっくり、声に出しながら書く。これなら、“いっしょに守ろう”の言葉になる。こっちのほうがいい。私、この言い方のほうが好きだ。

「“いっしょに きをつけようね”」

 最後にそう書いて、小さくハート……は、どうしよう。ハート。ハートは、こども向けにはたぶんいい。でも、大人のなかには「はぁ?」ってなる人もいるかもしれない。いや、でもこの村の大人たちは、さっき一緒になって「それぇぇぇぇぇぇぇ!!」って叫んでたんだよな。いけるなこれ。ハートいけるなこの村。よし、ハート小さく入れよう。控えめなやつ。主張しすぎないやつ。炭でちょんちょんって、丸ふたつ描いて、ちょいってつなげる。うん。ちょっといびつだけど、かわいい。かわいければ勝ち。かわいいは正義、これは異世界でも同じ。真理。

「──よし」

 板を持ち上げると、ミラちゃんが「よし!」って同じトーンで真似する。ミラちゃんの「よし!」はやけに元気で、ちょっと胸をはった。そのあと、振り返って「みてーーー!」って叫ぶ。村の人たちが一斉にこっちを見る。うわ。見られる。緊張する。やばい。プレゼンの時間だ。いやだ、プレゼンいやだ。心臓がばくばくする。でも、ここでちゃんと説明しないと意味がない。私は、ごくって唾を飲んで、板を両手で持ちなおした。

「えーと……」

 声が少し上ずる。ちょっと深呼吸する。夕日の光が、板の上の炭の文字をオレンジに照らして、炭の黒がくっきり浮かぶ。そのコントラストが、きれいだなって一瞬だけ思って、それに少し助けられる。きれいって思えると、ちょっと落ち着く。

「“この みず のめる よ”っていうほうは、ここ──」

 私は井戸の、ちゃんと底がきれいで、さっき水くみしたときに“つかっていい”って言われてた桶のほうを指さす。

「こっちに下げます。だれが見ても、ここならだいじょうぶってなるように。で、“おなか いたいの やだよね”のほうは、井戸のべつのところと、村の入口に。よそから来た人にも見えるようにします。“ここは みずを わけて つかってる村です”って、ちゃんと伝わるようにします」

 私は、板の裏側に書いた小さな一文を、指で示した。そこには、炭でちょっとだけ小さく、「“よその ひとへ”」って書いてある。恥ずかしいけど、必要だと思ったから書いた。村の人に向けた言葉と、村の外から来た人に向けた言葉は、ちょっとちがう。どっちも大事。どっちもいる。だからわけた。

「その、“よその ひとへ”っての、なんだ?」

 イェルさんが腕を組んだまま聞いてくる。顔はこわいけど、声はやさしい。

「よその人への“けいぞくメッセージ”だと思ってください」

「けいぞく……?」

「“一回で忘れないでくださいね”っていうしるしです。明日、あさって、その次の日に来る人にも伝わるように。声って、その場にいない人には届かないけど、紙はぶら下げておけばあとから来た人も読めるので。だから、その、ええと……」

 言いながら、恥ずかしくて耳があつくなる。でも言う。ちゃんと言う。

「これ、わたしのしごとに したいです」

 村の空気が、ふっと静かになった。さっきの“兵士が来た”ときの静けさとはぜんぜん違う。これは、あったかい静けさ。息を止めて、聴こうとしてくれてる静けさ。私は、両手で板を抱えたまま、ぎゅっと唇をかんで、それからもう一度深呼吸して、言葉を探して、胸の奥から持ち上げた。

「わたし、戦ったりできないし、なんにも強くないし、魔法もわかんないです。……ほんとに、なにもできないって言われて、いらないって言われて、おしのけられて、追い出されて。そういうふうに、されてきました」

 喉がちょっと震えた。さっきみたいに涙にはならない。涙はさっきぜんぶ使った。今は、涙のかわりに熱だけが喉の奥にいる。その熱が、逆に言葉を押し上げてくれる感じがした。

「でも、“みんなに わかるように する”のなら、わたし、できます。たぶん、できます。板に書いて、貼って、『これは こういう いみです』っていうのを、だれにでも わかるように するの、できます」

 手の中の板が、ずしっと重い。その重さは、怖い重さじゃない。ちゃんとした重さ。責任の重さっていうより、“居場所の重さ”。私はこの板を持ってるから、ここに立っていられる。そういう種類の重みだ。指先に、それがずっしり伝わってきて、胸の奥にまで入ってくる。

「だから……その……」

 ほんの一瞬だけ、視線が床に落ちた。けど、すぐにまた顔を上げる。逃げたくない。逃げたら、せっかくもらった場所がすり抜けちゃう気がするから。

「“かんばんのひと”、させてください」

 村のあちこちから、息の吸いこむ音がいっせいに重なった。ほんの一瞬の静寂。そのあとで。

「───いいわねぇ!!!!」

 一番最初に大きな声を出したのは、エナさんだった。パン屋の声量、すごい。ぱんって手を叩いて、笑いながら、でも目がうるっとしてる。

「“かんばんのひと”! 最高じゃない! 聞いた!? みんな聞いた!? “かんばんのひと”だってよ!」

「いいなそれ!」

「覚えやすいじゃねぇか!」

「“いどのひと”と“かんばんのひと”と、“なおすひと”と“みるひと”で、だいたいこの村まわってんじゃねぇ?」

「“まおーさま”は?」

「“ずるいひと”!」

「だれがずるいひとだって?」

「おまえだよ!!」

 ルゼルまでつっこまれて、みんなが笑って、村の真ん中にまたあったかい空気がぶわっと広がる。笑い声の中で、私の胸に“どん”って何かが入った。嬉しさが物理になって飛んできて、そのまま胸の真ん中に定着した感じ。あ、いま、名前もらった。そう思った瞬間、目の奥がまた熱くなる。ああ、また泣きそう。今日泣きすぎ。ちょっと誰か私の涙腺にガムテープして。あ、でもそれだとちゃんと息できなくなるからやめよ。生きたいのでやめよ。

「よし、“かんばんのひと”決定」

 アイラさんが、いつもの落ち着いた声で、でもどこか誇らしそうに宣言した。その声は、議長の声っぽかった。村の母であり議長であり、今“村の子”って言った人の声。私の肩の上に、そっと手が置かれる。アイラさんの指が、やさしく私の肩をぽんぽんと叩く。そのたった二回の“ぽんぽん”で、心臓があったかくなる。なんだろう。これ、魔法? この村、魔法あるの? いや、ある意味あるな。ある意味、めちゃくちゃ強い魔法がある。

「“かんばんのひと”のしごとは、みずのこと、わかりやすくすること」

「はい……!」

「よその人にも、こどもにも、だれにでも、わかるようにすること」

「はい……っ!」

「それから──」

 アイラさんは、少しだけ真剣な目になって、私を見た。

「“こわいことがあっても、にげないで だいじって 言うこと”。それ、できる?」

 胸が、ぎゅうってなった。その言葉は、さっきの兵士の前での私を、まっすぐ見てくれてる言葉だ。私は、“いやです”って言った。震えながら言った。でも言った。たぶん、それを“仕事の一部”としてちゃんと数えてくれてる。生き延びるために必要な勇気を、“ありがとう”っていうだけじゃなくて“能力”として認めてくれてる。そんなこと、今まで誰にもされたことなかった。私、たぶんそこで、ちょっとだけ壊れてた自分の中のなにかが、元に戻る音を聞いた気がした。カチって、はまる音。

「……っ、はい……っ……やります……っ……」

「いい子」

「でたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「うるさい!」

「うるさくないもん!」

「うるさいって言われたらうるさいの!」

「それは いま の じょうきょうに そぐわない ていぎ です~~~!!」

「なにその言い方!」

 私とアイラさんのやり取りに、また笑いが起きて、子どもたちがまねして「それは いま の じょうきょうに そぐわない~~!!」って言い出して、村の真ん中がカオスになった。カオスだけど、あったかいカオス。混ざってる。私、ちゃんと混ざってる。混ざって名前を呼ばれて、“かんばんのひと”って呼ばれてる。すごい。こんな夜がこの世にあるんだ。生きててよかった。ほんとにそう思って、胸がぎゅうってなって、息がひゅってなって、でもそれは“こわい”じゃなくて、“うれしい”だからセーフ。

「じゃあ、“かんばんのひと”、明日から忙しいわよ?」

「はい!」

「三日のあいだに、“みず”だけじゃなくて、“あぶないところ”も、しるしをつけないといけないわ。森のほうとか、古い井戸とか。あそこ、子どもが足をすべらせたら危ないから、“ここ は あぶない よ”って必要ね。そういうのも、お願いできる?」

 “お願いできる?”の言い方が、なんか胸にしみた。命令じゃなくて、お願い。お願いだからこそ、断ってもいい自由がある。でも、自由があるほうが、逆にやりたくなる。いや、なんならすでにやりたい。私は、炭を握りしめたまま、力いっぱいうなずいた。

「やります! “ここ あぶない よ”も、わかりやすくします!」

「よし。頼もしいわね、“かんばんのひと”」

「はい、“かんばんのひと”です!」

 言って、ちょっと背筋を伸ばした瞬間、村の中からぱちぱちぱちって拍手が起きた。昼間より少し静かな拍手。夕方の光の中で、手と手が優しく鳴る音。ああ、これ、好き。めちゃくちゃ好き。やばい。拍手って、こんなに身体の奥にくる音だったっけ。じんわじんわって心臓にしみる音だったっけ。今までの拍手って、誰かのプレゼン成功とか、上司の“すばらしいプレゼンでしたねぇ~(でも実際の資料は部下が作ってるんだよねぇ~でもそれは言わないけどねぇ~)パチパチ”みたいなやつで、なんか空っぽで乾いてたのに。今の拍手は、ちゃんと湿ってる。あったかい。生きてる。心臓の鼓動と混ざって、私の中で、ひとつの音になっていく。

「……ありがと、ございます」

 頭を下げると、ルゼルが横から「うん」って、いつもの声で言った。「うん」って言っただけなのに、なんか「おつかれさま」って言われた気がして、肩の力がすこし抜けた。ずるい。ほんとずるい。だからずるいひとなんだよあなたは。村公認の肩書きになったからね? “魔王(ずるいひと)”だからね? ちゃんと名刺に書いてくださいね?

「じゃあ、今日はこれでいったん終わりにしよっか」

 アイラさんが、そう言って立ち上がる。周りの大人たちも、それに合わせて腰を伸ばしたり、道具を片づけはじめたりする。夕日は、もうほとんど山の向こうに沈みかけていて、空はオレンジから紫に変わりつつある。村の家の窓に、ぽつぽつと明かりがともりはじめてる。ランプの黄色い光がこぼれて、土の道に柔らかい色の輪っかを作る。ああ、きれい。あったかい。ランプの光ってこんなにやさしいんだ。街灯の冷たい白い光とぜんぜん違う。心臓が、ほっとする光。

「由香は、うちに来なさい。今日はまだ“仮”だけど、三日間はそこがあなたの家。いいわね?」

「えっ……」

 心臓が、くいって跳ねた。家。うち。ちゃんと言われた。「あなたの家」。その音が胸の中にずしって落ちて、目が一瞬で熱くなる。いや、ちょっと待って、私、今日、何回泣けばいいの? この世界涙税とかある? この村の条例で「泣きすぎたら税がかかる」とか言われない? 大丈夫? 私いま多分一日分の涙量を七年分くらい先払いしてるんだけど。

「いいわね?」

「……はい……っ……はい……っ……!」

「よろしい」

「よろしい~!」

 ミラちゃんがまた復唱して、ぴょんって私の手をとる。小さい手。あったかい。ぎゅって握ってくる。指がちょっと汗ばんでる。子どもの手の汗って、なんでこんなに安心するんだろう。たぶん“生きてる”って音がするからだ。生きてる手だって、掌で感じられるからだ。あったかくて、やわらかくて、ちゃんと力がある。ああ、ほんとに、生きてるんだ、私。

「ルゼル」

 アイラさんが、ルゼルのほうを見る。その声には、さっきまでとは少し違う、現実的な響きがあった。生活の声だ。家計簿と夕飯と明日の天気の声。

「あなたは?」

「え?」

「夜どこにいる気? “魔王(ずるいひと)”さん」

「ずるいひとはいらない修飾だと思うんだけどな……」

「いらなくない~!」

 子どもたちの声がそろって飛ぶ。ルゼルが「うーん」と困った顔をして、それから苦笑した。

「いつもどおり、小屋で寝るよ。ほら、南の畑のそばの」

「あんたあそこ、鍵かからないでしょう」

「かける鍵はあるよ。こないだちゃんと直した」

「それ、板を打ち付けるやつのこと言ってない?」

「板は鍵だよ」

「鍵ってそういう意味じゃないのよ……もう」

 アイラさんは、こめかみを押さえて、深く息を吐いた。たぶん“はぁ~~~”っていう疲労の息なんだけど、その吐息の中に、ちょっとだけ笑いが混ざってる。なんだろうこの村。怒ってても笑いが混ざる。強いなほんと。

「いい? 三日間は、とくに、あなたも勝手に出歩かないで。兵士がまたふらっと来たら困るから。向こうだって“約束守る”って言った手前、すぐには来ないでしょうけど、夜はわからないし」

「うん。わかった」

「うん、じゃないの。ちゃんと“わかった”って言いなさい」

「わかった」

「よろしい」

「よろしい~!」

 あ、これ、今のやり取りだけで“よろしい~!”が文化になった。村ってほんとに文化の生成が速い。三日後には、たぶん村の子どもたちみんなが「それぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」と「よろしい~!」と「それは いま の じょうきょうに そぐわない~~!!」を使い分ける。会話がカオスすぎる未来が見える。うれしい。すごいうれしい。なんかもう、その未来を想像できること自体がしあわせすぎて、胸がじんわりする。

「あと、三日間、火は、ちゃんと見張ること」

 アイラさんの声が、少しだけ低くなった。周りの大人たちの表情も、それに合わせて引き締まる。さっきの兵士が軽く口に出した言葉。“燃やす”。その単語の重さを、誰も忘れてない。

「台所の火、寝る前にぜったい消す。ランプの油も、夜中に倒れないように気をつける。子どもだけで火のそばにいさせない。わかったわね?」

「わかったー!」

 村中から返事が返る。声が重なる。うん。すごい。これだけで、村がひとつの生きものみたいに聞こえる。みんな同じ方向を見てる。ちゃんと「守るぞ」って声がそろってる。それを聞いて、私の背筋が自然に伸びた。この村は、ただ“やさしい”だけじゃない。“守る気がある優しさ”だ。だから強いんだ。だから、さっきみたいな兵士とのやり取りのあとでも、みんな笑えるんだ。私、ここにいられてよかった。本当にそう思った。

「由香」

「は、はい」

「今日は、ごはん食べたら、すぐ寝るのよ」

「……はい」

「“夜ふかししてかんばんつくります”とか、言わない」

「……はい……」

 図星を刺されすぎて、私はしょんぼりした。ルゼルが横で「うん、それはダメ」とすぐに乗っかってくる。なんだこの連携。ずるい。ずるいひとすぎる。

「明日の朝、明るくなったらまたやればいいの。三日あるんだから。ね?」

「……はい。わかりました」

「うん、いい子」

「それぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 また笑い声の波。笑い声の波に押されながら、私は内心で、“三日”って単語をもう一度なぞった。三日。三日で、“魔王の庇護下”っていう紙を用意する。ルゼルがサインする。兵士がそれを持って帰る。そしたら、きっと村は“魔王の村”になる。王国の紙に、“ここは魔王の縄張り”って書かれる。村が“名前”を持つ。村に線が引かれる。境界が生まれる。そこに私は、“かんばんのひと”として立ってる。……それって、どういうことなんだろう。どういう重さなんだろう。今はまだ、ぜんぶはわからない。わからないけど、胸の奥がちょっとだけ高鳴る。こわさと、あたたかさが、同じ場所にいっしょにいる。さっきからずっとそうだ。こわいとあたたかいが、同じ場所に座ってる。もしかして、それが“生きる”ってことなんだろうか。そんな気がした。

「さ、行きましょ」

 アイラさんが、私の腕をそっととる。ミラちゃんが、反対側の手をぎゅっと握る。ルゼルは、そのすぐ後ろを歩く位置に立つ。まるで、私を真ん中にして囲むみたいに。歩き出すと、地面は土と小石で、足の裏にじわじわ感触が伝わってくる。夕方の土はまだ少しあたたかい。風がやわらかい。空はもうすぐ夜になる。村の家々には、ランプの灯りがぽつぽつ灯って、まるで地面に星が降りたみたいに見える。きれい。きれいだなぁ。

 歩きながら、私はふっと思い出した。兵士の最後の声。「三日後、逃げんなよ!」ってあれ。あのときの声、脅し半分、心配半分だった。あの人は兵士で、王国の命令を持ってきて、私を連れていくはずだった。それでも、ちゃんと“逃げんな”って言ってくれた。なんだろう。あの人も、この村の空気に少しだけ巻き込まれてたのかなって、ちょっとだけ思った。もしそうなら、なんか、いいな。それ、ちょっといいな。世界は、“やさしい側”に人を引きずってくる力も持ってるのかもしれない。

「……あの」

 家に向かう途中、私はぽつっと口を開いた。隣を歩くアイラさんが「なに?」って顔を向ける。ミラちゃんは、私の手をぶんぶん振りながら歩いてる。ルゼルは、後ろで静かにこっちを見てる。

「その……」

 胸の中にある言葉が、なかなか形にならない。だけど、言いたい。いま言いたい。いま言わないと、ちゃんと伝わらない気がするから。

「“ただいま”って、言ってもいいですか……?」

 自分で言って、自分でびっくりした。声が震えた。喉がきゅって詰まった。目がまたじわってした。なにこれ。私、いま、自分から“ただいま”って言っていいか聞いたの? やば。重い。重い女か? いや、重くていいよ今夜くらい重くていいよ。今日だけは許してよ。

 アイラさんは、一瞬だけ目を丸くした。それから、ふっと口元をゆるめた。すごく、やわらかい笑い方。母親の笑い方。ああ、これ、ずるい。ずるい笑い方だ。村ぜんたいがずるい。この村、ずるいひとしかいないの? そうなの?

「もちろん」

 アイラさんは、ためらいもなく言った。

「言ってちょうだい。毎日、何度でも」

「…………っ」

「“ただいま”って言ったら、“おかえり”って言うわよ」

「……っ……っ、はい……っ……!」

「それで、あとはごはん食べて、おふろ入って、寝るの。いいわね?」

「……はいっ……!」

「よろしい」

「よろしい~~~!」

 ミラちゃんの「よろしい~~~!」に、私の膝が一瞬ふにゃってなった。なんだろう。体が勝手に幸せでふにゃる。危ない。転ぶ。転びそう。でも、両側で手を握ってくれてるから転ばない。両側でちゃんと支えてくれる。ああ、こういうのを、“帰り道”って言うんだ。胸がぎゅうってなって、息があつくなる。世界が、やわらかい。

「ただいま、って、言うの、練習しとく?」

 ルゼルが、後ろから少しだけおどけた声で言った。なんでそうやって、さりげなくハードルを下げてくれるの。ずるい。ずるいひと。ほんと、ずるいひと。

「いま、ちょっと言ってもいいよ?」

「い、いま……?」

「いま」

「いま~!」

 ミラちゃんがぴょこぴょこはねながら「いま~!」って言う。いや、ハードルが急にきたな!? 待って心の準備が! 心の準備が! 心臓がまた走りだしてる! 今日だけで心臓フルマラソン四回目なんですけど!? 過労死しない? 大丈夫??

 でも、言いたい。言いたいって気持ちが、怖さよりちょっとだけ勝ってる。胸の中心に、ぽっとランプがともってるみたいな感じ。それに押される。背中を押される。よし。言う。言う、私。

「……っ」

 喉が、きゅってなる。息をいったん止めて、吸い直して、こわいけど、こわいからこそ、ちゃんと。

「……ただいま、です……」

 声は小さかった。でも、はっきり出た。はっきり、この空気の中に落ちた。私の耳にも、ちゃんと聞こえた。たぶん、アイラさんにも、ミラちゃんにも、ルゼルにも、聞こえた。

 ほんの一瞬、世界が静かになった。そのすぐあと。

「おかえり、由香」

 アイラさんの声は、あったかかった。やさしくて、甘くて、やわらかくて、でも、甘いだけじゃない。ちゃんと、実際の手ざわりのある“居場所”の声だった。私をちゃんと迎える声だった。飾りじゃない。“いていいよ”っていう許可じゃない。“いるのが前提”っていう声だった。

「おかえり~~~!」

 ミラちゃんは、元気いっぱいに言った。飛びはねながら、私の腕をぶんぶん振って、「おかえり~~~!!」って何回も繰り返した。世界でいちばんかわいい“おかえり”。もうほんとに、なんなの。反則。反則の見本市。

「おかえり」

 ルゼルの声は、静かだった。静かで、低くて、でも、胸の奥に届く声だった。その声が、背中から私を包む。まるで、大きなあったかい毛布をそっとかけられたみたいに、肩から腰に、安心がゆっくり乗ってくる。ああ、そうか。これが、“帰る”なんだ。

「……っ……っ、あ、あの、あの、ちょっといいですか、セーフでお願いします……っ……これはセーフで……っ……っ」

「セーフでーす!」

「セーフ判定入りました~!」

「セーフ! セーフ! セーフ~!」

 村に響いた“セーフ~!”の声に、私は限界を迎えた。涙がまたぶわっと出た。もう止まらない。止める気もない。だって今泣くのがいちばん正しい気がするから。泣きながら笑って、笑いながら泣いて、鼻をぐずぐずいわせながら、私はそのまま、アイラさんの家──今夜からの“私の家”──に連れていかれた。

 土の道を歩いて、小さな木の戸口に近づく。窓からは黄色い灯りがもれていて、パンとハーブとスープの匂いがふわって流れてくる。ああ、スープの匂い。あったかい匂い。やさしい匂い。空腹が一気に目を覚ます。胃がきゅるるるって鳴る。ミラちゃんが「いまおなかがなった!」って嬉しそうに報告する。うるさい。恥ずかしい。かわいいから許す。

 戸口の前で、私たちはいったん立ち止まった。アイラさんが、私のほうを見る。目が、やさしくて、でもちょっとだけ意地悪そうにきらっとしてる。わざと、私にもう一回チャンスをくれる顔。あ、そういうことね。うん。うん、わかった。ちゃんとやる。

 私は、涙でぐしょぐしょの顔のまま、小さく息をすって、そしてもう一度、言った。

「……ただいま、帰りました」

「おかえりなさい」

 その瞬間、胸の奥で、なにかが静かに、でもはっきりと、落ち着いた。ストン、って音がした。そこにずっと空いてた穴が、ちゃんと埋まって、ぴたりとはまって、もうぐらぐらしない、っていう感じ。からっぽで寒かった場所に、あったかいものが座って、もうそこは空きスペースじゃありませんって札が立った感じ。ああ、これだ。これが、“帰る”ってことだ。これが、私の居場所なんだ。

 戸がきぃって音を立てて開く。あったかい空気が、ふわって流れ出てくる。それは、スープの匂いと、焼きたてのパンの匂いと、少し焦げかけの香ばしい匂いと、木の壁の匂いと、誰かがさっきまでここで笑っていた気配が混ざった、やさしい空気だった。その空気に包まれながら、私は、初めて“自分の足で”一歩、中に入った。

 ──こうして、第2話の夜が始まる。

 ──明日、私は“かんばんのひと”として、村じゅうに小さな札と大きな札をつけて歩くことになる。

 ──それが、村に“名前”を与えることになるなんて、このときの私はまだ知らない。

 でも、今は、それでいい。

 今はただ、“おかえり”って言ってもらえたことが、胸いっぱいで、どうしようもないくらい、うれしかった。
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