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第二十四話 決定の影
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社交界での孤立が深まる中、ついに王宮から正式な召喚状が届いた。
――「王家に関わる重大な決定を告げるため、公爵令嬢クラリッサは登城せよ」
父は手紙を読み上げ、苦渋に満ちた表情を浮かべた。
「クラリッサ……王家はついに結論を下そうとしている。恐らくは婚約解消の宣言だ」
母は顔色を失い、メアリは小さく声を呑んだ。
胸の奥に冷たいものが広がる。けれど、怯えではなかった。長い間待ち望んだ瞬間――檻の鎖が断ち切られるときが来たのだ。
◇
謁見の間に足を踏み入れると、王太子殿下が玉座の前に立っていた。硝子の微笑は相変わらず完璧だが、その奥には怒りの炎が見える。彼の隣にはエミリアが控え、純白のドレスに身を包んで可憐に微笑んでいた。
「クラリッサ」
殿下の声が響く。
「お前はこれまで王太子妃としての責務を果たさなかった。噂にまみれ、弟と軽率な振る舞いをした。その結果、王家の威信は傷ついた」
人々がざわめく。重臣たちが並ぶ中、父と母も沈痛な顔で控えている。
「ゆえにここに告げる。王太子殿下の婚約者は解消とし、新たにエミリアを推挙する」
◇
ついに来た。断罪の宣告。物語に定められた筋書き。だが――わたしは俯かなかった。
「殿下」
声は驚くほど静かで、はっきりと響いた。
「わたしは王太子妃の座を望んでおりません。ですから、婚約解消を甘んじて受け入れます」
広間がざわめきに包まれる。殿下の微笑が初めて大きく揺らいだ。彼は勝ち誇るつもりだったのだろう。わたしが縋り、涙を流す姿を望んでいたはずだ。けれど、わたしはそれを拒んだ。
「……何だと」
「檻に閉じ込められる未来は、もう選びません。わたしはわたしの意思で幸せを掴みます」
◇
その時、重々しい声が広間を貫いた。
「ならば、私も告げよう」
扉が開き、堂々と現れたのはレオンハルトだった。会場が一斉に息を呑む。
「兄上がクラリッサ嬢との婚約を解消するというのなら、私はここで宣言します」
彼は迷いなく歩み出て、わたしの隣に立った。
「――クラリッサ嬢を、私の婚約者とする」
広間が震えるほどのざわめきに包まれる。重臣たちが動揺し、父と母が目を見開いた。
殿下の笑みが完全に砕け、怒りの炎が露わになる。
「レオンハルト……貴様!」
「兄上。あなたが檻に閉じ込めようとした彼女を、私は自由へ導く。……それが私の選択です」
◇
わたしは白いハンカチを胸に抱きしめ、静かに目を閉じた。
――断罪の舞台は、殿下が用意したもの。けれどそこで示されたのは、わたしの破滅ではなく新しい誓いだった。
「……ありがとう、レオン」
囁いた声は、王宮の冷たい空気に溶け、確かな誓いとなった。
――悪役令嬢クラリッサは、もはや檻の鳥ではない。
――自由を選び、愛を掴む娘となったのだ。
――「王家に関わる重大な決定を告げるため、公爵令嬢クラリッサは登城せよ」
父は手紙を読み上げ、苦渋に満ちた表情を浮かべた。
「クラリッサ……王家はついに結論を下そうとしている。恐らくは婚約解消の宣言だ」
母は顔色を失い、メアリは小さく声を呑んだ。
胸の奥に冷たいものが広がる。けれど、怯えではなかった。長い間待ち望んだ瞬間――檻の鎖が断ち切られるときが来たのだ。
◇
謁見の間に足を踏み入れると、王太子殿下が玉座の前に立っていた。硝子の微笑は相変わらず完璧だが、その奥には怒りの炎が見える。彼の隣にはエミリアが控え、純白のドレスに身を包んで可憐に微笑んでいた。
「クラリッサ」
殿下の声が響く。
「お前はこれまで王太子妃としての責務を果たさなかった。噂にまみれ、弟と軽率な振る舞いをした。その結果、王家の威信は傷ついた」
人々がざわめく。重臣たちが並ぶ中、父と母も沈痛な顔で控えている。
「ゆえにここに告げる。王太子殿下の婚約者は解消とし、新たにエミリアを推挙する」
◇
ついに来た。断罪の宣告。物語に定められた筋書き。だが――わたしは俯かなかった。
「殿下」
声は驚くほど静かで、はっきりと響いた。
「わたしは王太子妃の座を望んでおりません。ですから、婚約解消を甘んじて受け入れます」
広間がざわめきに包まれる。殿下の微笑が初めて大きく揺らいだ。彼は勝ち誇るつもりだったのだろう。わたしが縋り、涙を流す姿を望んでいたはずだ。けれど、わたしはそれを拒んだ。
「……何だと」
「檻に閉じ込められる未来は、もう選びません。わたしはわたしの意思で幸せを掴みます」
◇
その時、重々しい声が広間を貫いた。
「ならば、私も告げよう」
扉が開き、堂々と現れたのはレオンハルトだった。会場が一斉に息を呑む。
「兄上がクラリッサ嬢との婚約を解消するというのなら、私はここで宣言します」
彼は迷いなく歩み出て、わたしの隣に立った。
「――クラリッサ嬢を、私の婚約者とする」
広間が震えるほどのざわめきに包まれる。重臣たちが動揺し、父と母が目を見開いた。
殿下の笑みが完全に砕け、怒りの炎が露わになる。
「レオンハルト……貴様!」
「兄上。あなたが檻に閉じ込めようとした彼女を、私は自由へ導く。……それが私の選択です」
◇
わたしは白いハンカチを胸に抱きしめ、静かに目を閉じた。
――断罪の舞台は、殿下が用意したもの。けれどそこで示されたのは、わたしの破滅ではなく新しい誓いだった。
「……ありがとう、レオン」
囁いた声は、王宮の冷たい空気に溶け、確かな誓いとなった。
――悪役令嬢クラリッサは、もはや檻の鳥ではない。
――自由を選び、愛を掴む娘となったのだ。
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