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第六十三話 旅路の罠
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視察の旅は続いた。
王都を離れて二週間、わたしたちは次々と村や町を巡り、人々の声を直接聞いていった。市場では商人が頭を下げ、教会では老いた司祭が涙を流して感謝を述べ、広場では子どもたちが「自由の令嬢」と声を合わせて歌った。
「クラリッサ。君が俯かなかったからだ。人々は希望を思い出した」
レオンハルトの言葉に微笑む。
「いいえ。わたしは檻を拒んだだけですわ」
「それが何よりも難しいことなんだ」
◇
だが、旅路には影も潜んでいた。
ある村で、歓迎の宴の最中に火が上がった。
「火事だ!」
人々が騒然とする中、裏路地から黒装束の者たちが現れた。
「クラリッサ嬢を捕らえろ!」
刹那、刃が閃く。
「危ない!」
レオンハルトが身を挺して庇い、剣を抜いた。鋭い音が響き、兵士たちが応戦する。
「……王太子派の残党!」
◇
混乱の中、わたしは白いハンカチを胸に押し当て、声を張り上げた。
「皆さま、恐れないで! 檻に戻れという鎖に従ってはいけません!」
群衆のざわめきが次第に収まり、残党たちは人々の抵抗に押し返されていった。やがて火も鎮火し、村は再び静けさを取り戻す。
◇
「クラリッサ……」
夜、宿でレオンハルトがわたしの手を取り、静かに言った。
「君を狙う刃は消えないかもしれない。だが、君が俯かない限り、民は必ず君を守る」
「……ええ。わたしは檻には戻りません」
彼の瞳は力強く、誇らしげに輝いていた。
◇
視察の旅は困難を伴いながらも続く。
民は確かに自由を望んでいた。だが、檻の鎖を手放せぬ者たちが最後の足掻きを見せている。
――悪役令嬢クラリッサは、罠に晒されながらも俯かず。
――愛する夫と共に、自由の旅路を歩み続けていた。
王都を離れて二週間、わたしたちは次々と村や町を巡り、人々の声を直接聞いていった。市場では商人が頭を下げ、教会では老いた司祭が涙を流して感謝を述べ、広場では子どもたちが「自由の令嬢」と声を合わせて歌った。
「クラリッサ。君が俯かなかったからだ。人々は希望を思い出した」
レオンハルトの言葉に微笑む。
「いいえ。わたしは檻を拒んだだけですわ」
「それが何よりも難しいことなんだ」
◇
だが、旅路には影も潜んでいた。
ある村で、歓迎の宴の最中に火が上がった。
「火事だ!」
人々が騒然とする中、裏路地から黒装束の者たちが現れた。
「クラリッサ嬢を捕らえろ!」
刹那、刃が閃く。
「危ない!」
レオンハルトが身を挺して庇い、剣を抜いた。鋭い音が響き、兵士たちが応戦する。
「……王太子派の残党!」
◇
混乱の中、わたしは白いハンカチを胸に押し当て、声を張り上げた。
「皆さま、恐れないで! 檻に戻れという鎖に従ってはいけません!」
群衆のざわめきが次第に収まり、残党たちは人々の抵抗に押し返されていった。やがて火も鎮火し、村は再び静けさを取り戻す。
◇
「クラリッサ……」
夜、宿でレオンハルトがわたしの手を取り、静かに言った。
「君を狙う刃は消えないかもしれない。だが、君が俯かない限り、民は必ず君を守る」
「……ええ。わたしは檻には戻りません」
彼の瞳は力強く、誇らしげに輝いていた。
◇
視察の旅は困難を伴いながらも続く。
民は確かに自由を望んでいた。だが、檻の鎖を手放せぬ者たちが最後の足掻きを見せている。
――悪役令嬢クラリッサは、罠に晒されながらも俯かず。
――愛する夫と共に、自由の旅路を歩み続けていた。
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