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第17話 広がる評判と忍び寄る影
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城下での出来事から数日。老婆を癒やした噂は瞬く間に広まり、兵士や侍女たちだけでなく、街の人々からも「聖女様が救った」と囁かれるようになった。廊下を歩けば以前の冷ややかな視線が和らぎ、頭を下げる者すら現れる。胸の奥に小さな安堵が灯った。
だが、その光が増すほど、影も濃くなる。宮廷内での敵意は消えていなかった。
◇
ある午後、回廊を歩いていると、重たい声が響いた。
「やはり彼女を城に置くべきではない」
振り返ると、数人の貴族が集まっていた。彼らは私に気づくと一瞬黙り、すぐに冷たい視線を向けた。
「聖女の力は確かに役立つかもしれぬ。しかし追放された身だ。そのような者が殿下の傍らにいるのは国の恥ではないか」
胸が締めつけられる。言い返したい思いが喉に詰まり、声が出なかった。彼らの言葉は鋭く、背中を押し潰すようだった。
その時、背後から低く響く声。
「恥? 俺の国にとっての恥は、人を救った者を貶める心だ」
アレクが姿を現した。冷ややかな眼差しで貴族たちを見据え、一歩前に出る。
「セリーナはこの城で誰よりも人を助けている。それを否定するなら、まず君たちが彼女以上に人を救ってみせろ」
言葉は鋭く突き刺さり、貴族たちは顔を強張らせて退いた。私は俯きながら唇を噛んだ。庇われる嬉しさと、自分の無力さが胸の中でせめぎ合う。
◇
夜、部屋で机に向かって薬草を刻んでいると、扉がノックされた。入ってきたのはアレクだった。彼は椅子を引き寄せ、私の正面に座った。
「今日のこと、気にしているな」
図星を突かれ、言葉を失う。彼はため息をつき、優しい声で続けた。
「君は強い。だがまだ自分でそう思えていないだけだ」
「……私は、殿下に守られてばかりです」
絞り出すように言うと、彼は首を振った。
「守られることが弱さではない。君は今日も人を救った。俺にはできないことをしている。だから互いに支え合えばいい」
その言葉に胸が熱くなる。私は俯いたまま、震える声で尋ねた。
「本当に……私が隣にいてもいいのですか?」
彼は迷わず手を伸ばし、私の指を包んだ。
「俺が望んでいる。君が隣にいることを」
真っ直ぐな瞳に、涙がこぼれた。守られるだけではない。互いに支え合う――その未来を信じたいと思った。
◇
夜が更け、窓の外に月が昇る。彼は立ち上がり、扉の前で振り返った。
「セリーナ。君は俺の国にとっての光だ。忘れるな」
その言葉を胸に刻み、私はベッドに身を横たえた。涙はもう不安ではなく、温かな希望に変わっていた。
だが、その光が増すほど、影も濃くなる。宮廷内での敵意は消えていなかった。
◇
ある午後、回廊を歩いていると、重たい声が響いた。
「やはり彼女を城に置くべきではない」
振り返ると、数人の貴族が集まっていた。彼らは私に気づくと一瞬黙り、すぐに冷たい視線を向けた。
「聖女の力は確かに役立つかもしれぬ。しかし追放された身だ。そのような者が殿下の傍らにいるのは国の恥ではないか」
胸が締めつけられる。言い返したい思いが喉に詰まり、声が出なかった。彼らの言葉は鋭く、背中を押し潰すようだった。
その時、背後から低く響く声。
「恥? 俺の国にとっての恥は、人を救った者を貶める心だ」
アレクが姿を現した。冷ややかな眼差しで貴族たちを見据え、一歩前に出る。
「セリーナはこの城で誰よりも人を助けている。それを否定するなら、まず君たちが彼女以上に人を救ってみせろ」
言葉は鋭く突き刺さり、貴族たちは顔を強張らせて退いた。私は俯きながら唇を噛んだ。庇われる嬉しさと、自分の無力さが胸の中でせめぎ合う。
◇
夜、部屋で机に向かって薬草を刻んでいると、扉がノックされた。入ってきたのはアレクだった。彼は椅子を引き寄せ、私の正面に座った。
「今日のこと、気にしているな」
図星を突かれ、言葉を失う。彼はため息をつき、優しい声で続けた。
「君は強い。だがまだ自分でそう思えていないだけだ」
「……私は、殿下に守られてばかりです」
絞り出すように言うと、彼は首を振った。
「守られることが弱さではない。君は今日も人を救った。俺にはできないことをしている。だから互いに支え合えばいい」
その言葉に胸が熱くなる。私は俯いたまま、震える声で尋ねた。
「本当に……私が隣にいてもいいのですか?」
彼は迷わず手を伸ばし、私の指を包んだ。
「俺が望んでいる。君が隣にいることを」
真っ直ぐな瞳に、涙がこぼれた。守られるだけではない。互いに支え合う――その未来を信じたいと思った。
◇
夜が更け、窓の外に月が昇る。彼は立ち上がり、扉の前で振り返った。
「セリーナ。君は俺の国にとっての光だ。忘れるな」
その言葉を胸に刻み、私はベッドに身を横たえた。涙はもう不安ではなく、温かな希望に変わっていた。
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