異世界転生でチートでもないのに全てから愛される件

セイカ

文字の大きさ
8 / 16
1章 貴族の息子編

第5話 ボランティアの結果

しおりを挟む



庶民の人々から話を聞いて、屋敷の自分の部屋で、メモを眺めながら考えてみたが、あっさりと問題は解決出来る。
一体貴族はどれだけ利益を独占しているのやらと呆れる。

まあ、これで少しは物語の舞台がまた一つ増えたぞ!
ぐへへへへ…

(はっ!また趣味に全速力になってしまっていた!……いやもう今更か)

と心の中で盛り上がったり、下がったりしていると、ドアからノックが聞こえてきた。

「はい」

と私が声をかけると、ドアが開き、入って来たのはリオン兄様だった。

「どうだい?フターミ、もう嫌になっただろう?あまり慣れないことはしない方がいいぞ?」

リオン兄様も少し庶民のイメージが悪いみたいだ。前のフターミがどうしてようと、元からのイメージはあるようだ。

「いいえ、むしろ楽しいです!大変なこともありますが、誰かのために頑張るのは良いことだと思います。」

リオン兄様は呆れているようだが、何も言わず、ただ

「無理だけはしないでくれよ?いざとなれば魔法を使えばなんでも出来るのだから。」

リオン兄様の言っていることも分かる。私達貴族には魔法がある。うちはその中でも結構強い力を有している。だから、したいことは大抵なんでも出来る。
だが、こういうのは魔法を使っても何も得にもならないし、何も残らない。
それだと物語がなくなってしまう。

まっ、出来ないことがあれば使うけどね!

私はそんなことを考えながら作業を続けた。作業をしている途中、あるメモに目が止まる。
番号は24番、20歳の男性。相談内容は新しいパートナーを探しているとの事。前は、同じ年の女性と付き合っていたが、女性は事故で亡くなってしまう。その後、色んな男性や女性と付き合って見たが、なかなか亡くなった彼女を忘れることが出来ないらしい。
ちなみに、この世界では、異性だけでなく同性が恋人になり、結婚するのは普通のことらしい。

ワァオ、こっちの世界の方が進んでるな~

竜輝時代の日本は同性婚は認められていなかった。今はどうかは分からないが、進んでると良いなと思う。

そして、次の日とその次の日も、庶民全員の相談を受けて、メモを取り、屋敷で考えるという作業を繰り返した。
さすがに疲れたが、もうやることは決まっているため、明日それをやるだけだ。

そして、翌日に考えたことを行動に移す。
まずは1番初めの男性の悩みだった仕事の相談は、まず、彼の得意なことを聞いて、それに合った工場を探し、暴力を振るわないように釘をさしておく、もし何か不満があるのなら貴族までに声を届けるようにとも伝えておく。
工場を見ていくと、暴力を振るうところは沢山あったので、ついでに暴力を振るわないように教育をし直させる。
いわゆる貴族による訓練だ。信頼出来るもの達にお願いをしておく。

その後、沢山の悩みの対策をとっていき、行動に移していった。仕事や家庭や資金全ての悩みを。
最後のひとつ以外は全て終わった。
終わった時にはもう1週間は経っていた。
しかし、私自身もっと手間取ると思っていた。
後日沢山動いてくれた方には感謝をし、しっかりと報酬を渡す。特に頑張ってくれた方にはお菓子などをおまけであげる。前もってそのことを伝えると、案外皆テキパキと動き、協力してくれた。
これだけしても、うちは経済的に全然余裕だった。

どれだけ利益を持っているのやら…

そして最後の悩みが、24番の男性の恋の悩みだった。
これは私自身が彼に直接話をすることにした。竜輝時代に見たアニメや本、ゲームの知識を使って、色々アドバイスをする。
例えば、亡くなった彼女のものがあるなら、彼女の両親に返すか、あるいは、辛いが処分するかなどだ。
勿論彼女の両親に1度相談はしなければいけない。
何より、亡くなった彼女から離れなければ次に進めるものも進めない。
結果、彼女のものを処分する選択になった。
持っているとどうしても辛いだけだかららしい。
処分と言っても、使えそうなものは、こちらで再利用することにした。

そして、結果、私達の土地は、庶民も楽しく笑っていられるところになり、働きやすくなり、色々と余裕が出来たのか、庶民がしっかり働いてくれているおかげでこちらにも利益が大量に流れてくる。
更には、庶民の働きにより他の土地とも仲良く出来たらしく、うちの土地はとても裕福になっていった。

働けなかった者は楽しく働き、前に進めなかった者は前に進み幸せになった。他にも沢山の幸せが私達の土地に溢れている。

私の努力は実ったようだ。


これでさらに心置き無く沢山の物語が見れる!

イーヤッホーーーー!!

と私は心の中で舞い上がった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...