現人神の花嫁

静木

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執着※

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「私は昔から君のことが好きだ」
「えっ、でも、私なんて」
「早く手に入らないかと願って止まなかった。それでも今まで君が迷い込まなかったのはまだ花嫁として幼かったからだろう」



 他にどこが不安だ、と言葉を促される。



「私の身体、別に大人っぽくもないですし、幼いといえばそうです。まだまだ他の人のようにはいきません」
「ああ、なるほど」



 目を覆っていた手が離れたと思えば、がちゃり、とガラスの蓋が床に転げ落ちる音がした。しゃらしゃらと零れ落ちるいくつもの金平糖。その器の中に残ったいくつかを掴み取りアヤの唇に押し付けた。



「そばに置いておいてよかった。目隠しはもう許してあげよう。でも、不安を解消するまで離さないからね」
「それって、うっ……」
「ほら、口を開けて。食べさせてあげよう」



 ふるふると首を振れば仕方ないとばかりに指先が口の中に差し込まれる。



「噛まないでね。良い子だからこれを食べて。もっともっと気持ち良くなれるよ」
「だって、それっ……んぐっ」
「残念だけれども君はもう三つも食べてしまったね。ほら、次もあるよ」
「ううっ……!?」
「舌で舐めて、飲み込むんだ」



 有無を言わさない声に支配されて甘味を舌で転がす。
 じゅくじゅくと煮立ち始めた腹の奥。恐ろしくなっても身体に広がり始めた薬の効果は増すばかり。どろりと溢れ出す粘液が太ももを濡らした。



「あ、ああっ……ああああっ……」
「効き目は抜群に良い。私はね、君のことが大好きでたまらないんだ。こんな体質で酷いことをしても心配してくれる優しさ。そこにつけこんでも懐いてくれるんだから可愛くてたまらないよ。ねえ、素直に口を開けて」



 これ以上食べたら、と思っても小さな粒を複数押し込まれる。



「ゆっくり舐めて、飲み込んで。君は身体のことも気にしていたね。私は君の全てに口付けたいと思っているよ。小さな身体で懸命に受け入れようとしてくれている。それだけで手放したくなくなるくらいだ。むしろ、私に気を付けた方がいい。このままだと監禁されてしまうかもしれないよ」



 太ももを撫でるその手は休むことなく、ひたすらにアヤを愛で続けている。



「ひっ……、あっ……」
「大丈夫。まだ動かないから大きく息を吸って」
「ふ、あっ……ああっ!?」



 手足が痺れるような感覚に呼吸もままならない。例え都が動かなくとも圧迫された内壁が苦しい。
 それでも身体は何度も痙攣し、快楽を享受する。



「み、みやこさん、もう……私……」
「ごめんね。これは外そうか」



 手首の戒めが解かれて仰向けに転がされた。



「横になったまま後ろからはやはり苦しいか」
「はい、少し息がしづらくて……んっ……ひあっ……」



 中から引き抜かれた空虚さに眦からぽたりと雫が零れ落ちた。
 わざと怖くしていたのだろう。普段の生活から見える都の性格からして発情していても非情になり切れなかったのだ。



「一度君の中に入ったら少しだけ落ち着いたよ。身動きが取れなくなるなんて怖いだろう」



 低い声に欲が混じる吐息。ここで終わりにされたくない。そう思ってしまった。金平糖の甘さでどろどろにされた思考は都を求めて止まないのだ。



「アヤ、無理しなくていいんだよ。このまま寝れば、今日のことも忘れられるだろう」
「いや、です。最後までしてください」
「さっきまでの私を見ただろう。止まらなくなってはどうしようもない。抱き潰されても構わないなんて言うのか」



 でも、と泣いて縋る私はまるで子供のようだ。



「朝にはまだ時間があるからね。君がいいと言うのなら」




 そう言った都に再び組み敷かれた。
 まだ熱を保った秘所にゆっくりと挿入される。



「痛かったら言って欲しい。出来るだけ傷つけないよう動くよ」
「は、い……」



 やっとの思いで返事をし、アヤは息を吸う。先程奥まで飲み込んでいたおかげで始めより苦しさは軽減されていた。



「動かないで君にこのまま触れてみてもいいかい」
「……それは、でもっ」
「苦しいよりは気持ち良くなって欲しいからね」
「み、みやこさんっ」



 都は乱れていたアヤの寝巻に手を伸ばす。紐を緩め、隠れていた胸をさらけ出した。



「触れるね。私が力の加減を間違えていたら教えてくれ」



 絶対にそんなことはありえない、と心の中で思ったが彼なりの気遣いが感じられた。
 ふわりとくすぐるように胸のまわりを撫でていく。少し物足りないという顔をしていたのだろうか。都が優しく笑った。



「君は敏感だけれどもされたいことを私に教えてくれてもいいんだよ」



 そんな恥ずかしいことは出来ないとアヤは首を振った。



「そうやって私に身をゆだねてくれるのも嬉しいけれどもね」



 つつ、と肌を滑り落ちる指先は既に主張し始めた天頂に辿り着く。



「あ、あっ、そこ、は……っ」
「硬くなってるね。触るよ」



 真綿で首を絞められているかのような遅々とした快楽を与えられる。都は自身を挿入したままいまだ動かすこともない。
 じくじくと腹の奥が疼く感覚にとらわれて無意識に身体がずり上がる。



「はっ……、あっ……」
「気持ちいいみたいだね」
「これ以上は、もう……っ」



 動いて欲しい。けど、動かれたらどうなってしまうのか。
 優しく触れられているが故に恐ろしくてたまらない。どこまでも堕とされて帰ってこれないのではないか。そんな考えがぼんやりと頭を巡っていた。



「だいぶ馴染んできたみたいだ。前のように痛みが走ることもないようだね」



 アヤは静かに頷いた。



「少しずつ動かすよ」
「あうっ……!?」



 ぐちゅり、と奥に押し込められた感覚に思わず声を上げる。そのまま最奥にしばらく居座り、下腹を撫でている。



「もう一回」
「ああっ、ふ、あっ……!?」



 ず、と丁寧に引き抜かれて再び押し込められる。内壁を押し割るその動作をされるたびに声が止まらない。



「アヤ、お腹は熱いかい」
「はい、とっても……」
「これなら動いても良さそうだね」
「ああっ……みやこ、さんっ、ひあ、ああっ――!」



 繰り返し繰り返しアヤの意識が落ちるまで。都は本能のまま求め続け、夜が白むまで手放すことはなかった。
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