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序章
1話 日記
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「ジリリリリリ…‥」
目覚まし時計のベルが鳴る。俺はそれを止め、しばらくボーッとする。いつもの俺ならそのあとすぐにカーテンを開け、窓を開けるんだけど、今日の俺はそうはいかなかった。何故だろうか?…‥いや、そんなことは分かりきっている。今日は俺の人生の分かれ道ともいえる日だったからなんだ。
俺は15年前、東京都八王子に生まれた。その頃の八王子は母さん曰く、とても栄えており美しい都市だったそうだ。…‥が、今やそんなものは見る影すらない。いや、なにもそれは八王子だけに限ったことでもないか。日本中、世界中の都市の異常といえる荒廃化が進んでいるんだから。
俺が生まれた数年後━俺が5歳位のときかな━にとても非科学的な災害が起こったんだ。…‥いや非科学的というと少し語弊があるかもしれない。科学的だが、非科学的。そういうんだろうか?
面倒だから、先に答えを書こう。
災害
それは科学者の暴走だった。
一応断っておくけれど、別に全ての科学者が暴走したわけではないぞ?暴走したのは、極々一部の人外的かつ狂信的な思考の持ち主だった。しかしまぁその災害のせいで、無関係の科学者たちも被害を受けていたな…‥最低でも非難、最悪の場合殺されてしまっていたか‥
少し話がそれたな。
とにかく、そんな科学者たちが起こした災害について書いておこう。
それは、血液混合実験の中で発生した。血液型で言えば、人間は4種類に分けられる。勿論皆が知っている通り、A型・B型・AB型・O型というものだ。もし、手術なんかの時に間違った血液型の血を輸血するとその人は最悪死んでしまう。…‥…‥が、4種類全ての血液を同時に輸血した場合はどうなるのか?そんな、半分答えの解りきった疑問を持った科学者がいた。
当然
「そんなことをしても何にもならない」
「人が死ぬだけだ」
という意見が世論の9割以上を占めていた。しかも、日本では人体実験を認めていないのだから、直接的に人体への影響を確認することは出来なかった。
そこで、その科学者は体外での血液混合実験を開始した。
その数ヵ月後のことだ…‥
驚くべき血液の反応が起きたのだ。それぞれの血液型に含まれる赤血球・血漿・白血球等、様々な物質がまるで磁石のS極とN極のように結合していった。そして血液中の成分は1つに統合されたのだ。
それだけなら何も評価されることはなかったのだが、その血液には明らかな特異点があった。
ウイルス耐性である。それもかなり強力なものだった。
分かりやすく表すなら、この世界の薬すべてが無くなっても世界の誰一人として影響しない。そんなかんじだな。
そこから先は早かった。実際に人間に輸血しその反応を診るという研究が、海外で始まった。世界初の人体実験は、当然のことながら死刑囚を利用して行われた。
だが、それがそもそもの災いの原因だったんだ。
人体実験は、全くもって安定して成功へと導かれた。だが、科学者の知らない間でその死刑囚には、別の影響が出始めていた。
まず、血液中の成分が活性化されたことにより、酸素・栄養素全ての内臓への配給スピードが向上した。その結果として、身体能力が4倍になっていた。
さらにだ、酸素の配給が上がったことにより脳の活動率が約三〇パーセントから七五パーセントへと向上したんだ。その結果として、あり得ないことが起きた。
特殊能力の誕生だ。
笑えるだろ?人間の血液をいじっただけで現実世界は、漫画やSFの世界、あるいはそれ以上のものとなっちまったんだ。
これは蛇足なんだけど、その特殊能力は後にこう名付けられた。
『希少的身体能力』…‥と
この名前にも意味はあるのだけれど今回は省略させてもらおう。当然の如く死刑囚はその力を使って脱獄してしまった。
だが、その数週間後のことだ…‥
その死刑囚の遺体が森の中で発見された。まぁ、おそらくは人目のつかない場所を求めた結果として一時的に森にこもったのだろう。
まぁ、この際そんなことはどうでもいいんだ。
ここから先が本当の災害の話だ。
まず、そいつの死因はプラチナバイタリティーを使用した際の後遺症だった。つまりは体がまだ完全に適合していた訳ではないのにも関わらず、その能力を酷使してしまったせいということだ。
この時に初めて確認された事象がある。
血液混合者は死ぬ際に異常なまでの体汗を伴うということだ。
しかもその汗には、血液の成分がわずかに含まれていた。そして汗はいつか蒸発し、空気の一部となる。その空気を吸う動物も存在するわけだ。その結果、その空気を吸い込んだ動物は豹変してしまった。
しかし不幸中の幸いとして、空気中の成分がわずかだったためか、体の大きな動物━熊やら猿とかだな━に影響はなかった。そしてそれは人間にも言えることだったのがまた幸運と言えるかもしれない。
影響があったのは体の小さい、リス・小鳥・アリ・トカゲなんかのやつだ。そいつらは後に
『特定指定亜種動物』
と名付けられた。
俺が最初に
「世界中の都市の異常といえる荒廃化」
と書いたのは覚えているか?この原因は他でもない、そんなバンスファルトたちの暴走だ。
だが俺は先に
「災害は科学者の暴走により発生した」
とも書いただろ?確かに直接的に都市を攻撃したのは豹変した小動物だったが、それを仕向けたのは科学者だ。
なぜ仕向けたと思う?
国からの研究費用支給額について不平を持っていたからだ。
そこで一部の科学者は、デモ行動として人為的にバンスファルトを造り出したのだ。全く愚かだとは思わないか?抗議する国が無くなっちまったら元も子もねぇってのに…‥
当然それに加担していた科学者は、処罰された。
これですべてが解決。
…‥ともいかなかった。バンスファルトたちとて子孫を残していくからだ。バンスファルトは、繁殖を続けてしまった。殺処分してしまえばいいと思うかもしれないけど、普通の人間じゃ到底太刀打ちできない。バンスファルトの猛攻は今でも続いている。
だが、世界は面白いもんだよ。
今の世界を救いの方向にもっていけている組織がある。
科学者が発足した組織だ。
まるで科学者が起こした問題は、科学者が解決するみたいだな。
そして何を隠そう、そこには俺の父もいるんだ。
そして今日、俺はプラチナバイタリティーの適正試験を受ける日だ。試験でさえも命懸け。俺が寝起きにボーッとしてしまうのも無理はないだろう?
つまりこれは、人生最後の日記になるのかもしれねぇな。
まったく…‥久しぶりに長文の日記を書いたから疲れちまったよ。
目覚まし時計のベルが鳴る。俺はそれを止め、しばらくボーッとする。いつもの俺ならそのあとすぐにカーテンを開け、窓を開けるんだけど、今日の俺はそうはいかなかった。何故だろうか?…‥いや、そんなことは分かりきっている。今日は俺の人生の分かれ道ともいえる日だったからなんだ。
俺は15年前、東京都八王子に生まれた。その頃の八王子は母さん曰く、とても栄えており美しい都市だったそうだ。…‥が、今やそんなものは見る影すらない。いや、なにもそれは八王子だけに限ったことでもないか。日本中、世界中の都市の異常といえる荒廃化が進んでいるんだから。
俺が生まれた数年後━俺が5歳位のときかな━にとても非科学的な災害が起こったんだ。…‥いや非科学的というと少し語弊があるかもしれない。科学的だが、非科学的。そういうんだろうか?
面倒だから、先に答えを書こう。
災害
それは科学者の暴走だった。
一応断っておくけれど、別に全ての科学者が暴走したわけではないぞ?暴走したのは、極々一部の人外的かつ狂信的な思考の持ち主だった。しかしまぁその災害のせいで、無関係の科学者たちも被害を受けていたな…‥最低でも非難、最悪の場合殺されてしまっていたか‥
少し話がそれたな。
とにかく、そんな科学者たちが起こした災害について書いておこう。
それは、血液混合実験の中で発生した。血液型で言えば、人間は4種類に分けられる。勿論皆が知っている通り、A型・B型・AB型・O型というものだ。もし、手術なんかの時に間違った血液型の血を輸血するとその人は最悪死んでしまう。…‥…‥が、4種類全ての血液を同時に輸血した場合はどうなるのか?そんな、半分答えの解りきった疑問を持った科学者がいた。
当然
「そんなことをしても何にもならない」
「人が死ぬだけだ」
という意見が世論の9割以上を占めていた。しかも、日本では人体実験を認めていないのだから、直接的に人体への影響を確認することは出来なかった。
そこで、その科学者は体外での血液混合実験を開始した。
その数ヵ月後のことだ…‥
驚くべき血液の反応が起きたのだ。それぞれの血液型に含まれる赤血球・血漿・白血球等、様々な物質がまるで磁石のS極とN極のように結合していった。そして血液中の成分は1つに統合されたのだ。
それだけなら何も評価されることはなかったのだが、その血液には明らかな特異点があった。
ウイルス耐性である。それもかなり強力なものだった。
分かりやすく表すなら、この世界の薬すべてが無くなっても世界の誰一人として影響しない。そんなかんじだな。
そこから先は早かった。実際に人間に輸血しその反応を診るという研究が、海外で始まった。世界初の人体実験は、当然のことながら死刑囚を利用して行われた。
だが、それがそもそもの災いの原因だったんだ。
人体実験は、全くもって安定して成功へと導かれた。だが、科学者の知らない間でその死刑囚には、別の影響が出始めていた。
まず、血液中の成分が活性化されたことにより、酸素・栄養素全ての内臓への配給スピードが向上した。その結果として、身体能力が4倍になっていた。
さらにだ、酸素の配給が上がったことにより脳の活動率が約三〇パーセントから七五パーセントへと向上したんだ。その結果として、あり得ないことが起きた。
特殊能力の誕生だ。
笑えるだろ?人間の血液をいじっただけで現実世界は、漫画やSFの世界、あるいはそれ以上のものとなっちまったんだ。
これは蛇足なんだけど、その特殊能力は後にこう名付けられた。
『希少的身体能力』…‥と
この名前にも意味はあるのだけれど今回は省略させてもらおう。当然の如く死刑囚はその力を使って脱獄してしまった。
だが、その数週間後のことだ…‥
その死刑囚の遺体が森の中で発見された。まぁ、おそらくは人目のつかない場所を求めた結果として一時的に森にこもったのだろう。
まぁ、この際そんなことはどうでもいいんだ。
ここから先が本当の災害の話だ。
まず、そいつの死因はプラチナバイタリティーを使用した際の後遺症だった。つまりは体がまだ完全に適合していた訳ではないのにも関わらず、その能力を酷使してしまったせいということだ。
この時に初めて確認された事象がある。
血液混合者は死ぬ際に異常なまでの体汗を伴うということだ。
しかもその汗には、血液の成分がわずかに含まれていた。そして汗はいつか蒸発し、空気の一部となる。その空気を吸う動物も存在するわけだ。その結果、その空気を吸い込んだ動物は豹変してしまった。
しかし不幸中の幸いとして、空気中の成分がわずかだったためか、体の大きな動物━熊やら猿とかだな━に影響はなかった。そしてそれは人間にも言えることだったのがまた幸運と言えるかもしれない。
影響があったのは体の小さい、リス・小鳥・アリ・トカゲなんかのやつだ。そいつらは後に
『特定指定亜種動物』
と名付けられた。
俺が最初に
「世界中の都市の異常といえる荒廃化」
と書いたのは覚えているか?この原因は他でもない、そんなバンスファルトたちの暴走だ。
だが俺は先に
「災害は科学者の暴走により発生した」
とも書いただろ?確かに直接的に都市を攻撃したのは豹変した小動物だったが、それを仕向けたのは科学者だ。
なぜ仕向けたと思う?
国からの研究費用支給額について不平を持っていたからだ。
そこで一部の科学者は、デモ行動として人為的にバンスファルトを造り出したのだ。全く愚かだとは思わないか?抗議する国が無くなっちまったら元も子もねぇってのに…‥
当然それに加担していた科学者は、処罰された。
これですべてが解決。
…‥ともいかなかった。バンスファルトたちとて子孫を残していくからだ。バンスファルトは、繁殖を続けてしまった。殺処分してしまえばいいと思うかもしれないけど、普通の人間じゃ到底太刀打ちできない。バンスファルトの猛攻は今でも続いている。
だが、世界は面白いもんだよ。
今の世界を救いの方向にもっていけている組織がある。
科学者が発足した組織だ。
まるで科学者が起こした問題は、科学者が解決するみたいだな。
そして何を隠そう、そこには俺の父もいるんだ。
そして今日、俺はプラチナバイタリティーの適正試験を受ける日だ。試験でさえも命懸け。俺が寝起きにボーッとしてしまうのも無理はないだろう?
つまりこれは、人生最後の日記になるのかもしれねぇな。
まったく…‥久しぶりに長文の日記を書いたから疲れちまったよ。
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なるほど…‥
アドバイスありがとです(≧▽≦)