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8話 わからない
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「さあさぁ!渾身のカレーができましたよぉ‼早く食べましょ!」
こいつの小さな手には、二皿のカレーがあった。正直なところ俺は、小学生が作るカレーにあまり期待はしていなかったのだが、それには小学生が作ったものとは思わせぬ良い香りと、色合いがあった。
「ごくん…。」
思わず俺はツバを飲む。
もしかしたら、ここ最近まともな飯を何も食べていなかったことも影響しているのかもしれない。
「ほらほらぁ。冷めちゃう前に食べましょうよ?」
「ああ。そうだな。」
そう返してから、俺はカレーを口に運んだ。
俺が返してからカレーを口に運ぶのにかかった時間は、2秒もなかったと思う。
「どうですかぁ?美味しい?…」
直ぐに食べ出した俺に少し不安そうな顔をしながらも、感想を求めてきた。
「…‥…‥美味いよ。」
ニパーーッ!そんな嬉しそうな笑顔が返ってきた。
その後はこいつも黙々とカレーを口に運んでいた。
どうして俺が…………心が荒んでいた俺がこんな穏やかに感想を述べられたのかはわからない。
何故なら正直なところ、このカレーは
中々にしょっぱかったのだ。
普段の俺ならただ、『しょっぱい』と一言無愛想に述べていたであろうことは単純明快。そう。相手が誰であろうともだ。
…‥…‥俺はそういう人間だったから。…
だけどわからない。俺がこんな感想を述べた理由が俺にはわからなかった。━━
「ふぅ。ごちそうさま。」
俺は久しぶりに満足している腹をさすりながら、こいつに尋ねた。
「そろそろ、自分家に帰んないとまずいんじゃねぇか?」
「大丈夫です。」
「大丈夫じゃねえよ⁉」
即答されたんで思わず突っ込んでしまった。なんせもう夜の8時になろうとしていたからだ。
「お前、名前はなんてーの?」
苗字が分かれば家を探すこともできそうだ。
「それ。ブーメランですよ?貴方こそ名前言ってないでしょ?」
このタイミングでブーメラン要らねぇよ…
そんなことを心中で並べつつ、
「世海だ。村主世海。ほら?お前の名前は?」
「私の名前は、…‥…‥…‥…‥明日亜です。」
明日亜…‥何か俺の中で引っ掛かるような、不思議な感じがしたが、心当たりはなかった。そもそもとして、こんな珍しい苗字なら多分覚えている筈だ。
つまり、俺の知ってる人の中にはこいつの家族は居ないことを意味していた。
だけど、これでチェックメイトって訳じゃあない。不本意ではあったが、俺は九十九亜里沙に電話することにした。なんせあいつの家族はここらじゃちょっとは有名な居酒屋を経営している。居酒屋には色んな情報が流れてくるんで、亜里沙に聞きゃあなんとかなるだろう。
「やれやれ…‥どうしてこうなったか説明するのがめんどくさいな…‥」
そんな愚痴をこぼしながら、俺は重い腰をあげて電話機まで歩くのだった。
こいつの小さな手には、二皿のカレーがあった。正直なところ俺は、小学生が作るカレーにあまり期待はしていなかったのだが、それには小学生が作ったものとは思わせぬ良い香りと、色合いがあった。
「ごくん…。」
思わず俺はツバを飲む。
もしかしたら、ここ最近まともな飯を何も食べていなかったことも影響しているのかもしれない。
「ほらほらぁ。冷めちゃう前に食べましょうよ?」
「ああ。そうだな。」
そう返してから、俺はカレーを口に運んだ。
俺が返してからカレーを口に運ぶのにかかった時間は、2秒もなかったと思う。
「どうですかぁ?美味しい?…」
直ぐに食べ出した俺に少し不安そうな顔をしながらも、感想を求めてきた。
「…‥…‥美味いよ。」
ニパーーッ!そんな嬉しそうな笑顔が返ってきた。
その後はこいつも黙々とカレーを口に運んでいた。
どうして俺が…………心が荒んでいた俺がこんな穏やかに感想を述べられたのかはわからない。
何故なら正直なところ、このカレーは
中々にしょっぱかったのだ。
普段の俺ならただ、『しょっぱい』と一言無愛想に述べていたであろうことは単純明快。そう。相手が誰であろうともだ。
…‥…‥俺はそういう人間だったから。…
だけどわからない。俺がこんな感想を述べた理由が俺にはわからなかった。━━
「ふぅ。ごちそうさま。」
俺は久しぶりに満足している腹をさすりながら、こいつに尋ねた。
「そろそろ、自分家に帰んないとまずいんじゃねぇか?」
「大丈夫です。」
「大丈夫じゃねえよ⁉」
即答されたんで思わず突っ込んでしまった。なんせもう夜の8時になろうとしていたからだ。
「お前、名前はなんてーの?」
苗字が分かれば家を探すこともできそうだ。
「それ。ブーメランですよ?貴方こそ名前言ってないでしょ?」
このタイミングでブーメラン要らねぇよ…
そんなことを心中で並べつつ、
「世海だ。村主世海。ほら?お前の名前は?」
「私の名前は、…‥…‥…‥…‥明日亜です。」
明日亜…‥何か俺の中で引っ掛かるような、不思議な感じがしたが、心当たりはなかった。そもそもとして、こんな珍しい苗字なら多分覚えている筈だ。
つまり、俺の知ってる人の中にはこいつの家族は居ないことを意味していた。
だけど、これでチェックメイトって訳じゃあない。不本意ではあったが、俺は九十九亜里沙に電話することにした。なんせあいつの家族はここらじゃちょっとは有名な居酒屋を経営している。居酒屋には色んな情報が流れてくるんで、亜里沙に聞きゃあなんとかなるだろう。
「やれやれ…‥どうしてこうなったか説明するのがめんどくさいな…‥」
そんな愚痴をこぼしながら、俺は重い腰をあげて電話機まで歩くのだった。
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