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一章 四人の配信者
19話 ピンチ
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見知らぬ白い天井にズキズキと響く頭の痛み。気づけば俺は病院のベッドに横たわっていた。
「兄さん!!」
すぐ側には霧子がおり、俺が目を覚ましたことに気づくと目に少量の涙を溜めつつ抱きついてくる。
「うおっ!? ど、どうしたんだ?」
「だって兄さんが丸一日意識を失ってたから……心配で……!!」
スマホを手に取り見てみると日付が一日進んでおり、ちょうどバイトがなかったのは不幸中の幸いだろう。
「それにしても……何があったんだ? 気づいたらここに……」
俺は痛む頭でゆっくりと記憶を探り何が起きたか整理していく。
「医者が言うには頭部に強い衝撃が加えられて意識を失っていたみたい。頭蓋骨に損傷はなくて激しい運動はできないけど目を覚ませばすぐに退院できるって」
「じゃあいつまでもここにいるわけにはいかないしさっさと退院だな。悪いな霧子。一日開けちゃって。家事は大丈夫だったか?」
「もう子供じゃないんだから大丈夫だよ。寧ろいつも兄さんに負担かけてばかりで……」
霧子はそう言うが、俺は家事を負担だなんて一度も思ったことはない。それだけやりがいがあるからだ。
一人しかいない唯一の家族。あの時に、両親を見捨てた時に誓った約束。俺が霧子の未来を守らなければいけないから。
そのためには俺は何だってやるし自分の人生なんていくらでも差し出せる。
「負担じゃないさ。霧子は自分のやりたいことをただ追いかけてればいい。この件もお兄ちゃんがなんとかするから気にしなくていいさ」
「兄さんはいつもそうやって……もういいです……!! 兄さんが意地張るならこっちにも考えがあります」
「き、霧子?」
俺が危険な目に遭ったり無理する度に機嫌を損ねる霧子だが、今日はそれが一段と激しい。
そして覚悟を決めた目に変わった直後席を立ち、苛立ちを含んだ足取りで病室を立ち去っていく。
「どうしたんだあいつ……?」
それから霧子が帰ってくることはなく、俺は退院して家に帰る。家にも霧子はおらず荷物も置いていない。どこかに外出中のようだ。
ここまで霧子を怒らせてしまったのは初めてで、家族の仲に溝ができてしまい俺は気分を落とすがそれを打ち消すようにスマホに一通のメールが来る。
それはフォルティーからのもので、どうやら不良達の身元が分かったそうなのでそれを伝えたいから倉庫まで来て欲しいそうだ。
「なんで直接電話で伝えないんだよ……まぁいいか。夕飯までまだ時間あるし今から行くか」
心配事はまだたくさんあるが、俺はまたあの倉庫へと赴く。
頭部の痛みがまだ残っていて足元がしっかりしないが、真っ直ぐ歩けないほどではないので普段よりかは少しかかってしまったがなんとか倉庫に辿り着く。
「来たぞー」
アポは取れているため数回ノックした後に返事を聞かずに中に入る。
「よぉ……夜道」
そこにフォルティーの姿はなかった。代わりにいるのは他のメンバー達と俺をクビに追い込んだ不良達だ。
「何でお前らがここに……」
「へへっ。嵌められたんだよお前は……」
不良達は鉄パイプを取り出しそれを引き摺りながら俺の元に迫ってくる。
「おいおいおいちょっと待て! お前らに何か恨まれる覚えはないぞ!?」
「お前とリーダーが戦ったあの日からリーダーはおかしくなった! ここにも来ないし配信もしなくなった!」
確かにフォルティーはこの前電話に出なかったし、メールに返信するのもかなり遅い。まるで他のことなど視界に入らないほどの用事があるかのように。
「いやでも俺はその件は何にも知らねぇぞ!」
「うるせぇ! どうせお前が何かやったんだろ!」
酷い言いがかりだ。まるで聞く耳を持っていない。不良というのはこういう生き物なのだろうか? 中学に居た同じような奴はまだ話が通じたというのに。
「オレ達は舐められたら終わりなんだよ!! やれ!!」
一人の配信者が不良に指示を飛ばす。不良は鉄パイプを振り上げてそれを容赦なく俺の頭蓋目掛けて振り下ろす。
咄嗟に躱したため直撃は避けれたが、それでも鉄パイプは俺の髪を激しく揺らす。
「くっ……!!」
幸い入り口には俺が一番近い。俺は後ろに躱したついでにそのまま扉に一直線に走る。
「どこ行くんだアレギィ?」
しかし外から既にアーマー装着済みの奴が、この前漆黒の騎士に倒された内の一人が倉庫に入り込んできて俺の腹に鋭い蹴りをくらわせる。
無理やり入り口から遠ざけられ、頭痛だけでなく腹痛も俺を苦しめる。
「まっ、オレらを舐めた奴にはいなくなってもらう。ちょうど海も近いしな」
倉庫内に居た二人がパティシーを装着しオーブを嵌め込む。そして不良達を下がらせて三人がかりで俺を取り囲む。
「くそ……変身っ!!」
このまま殺されるわけにはいかない。俺もパティシーを取り出し変身するのだった。
「兄さん!!」
すぐ側には霧子がおり、俺が目を覚ましたことに気づくと目に少量の涙を溜めつつ抱きついてくる。
「うおっ!? ど、どうしたんだ?」
「だって兄さんが丸一日意識を失ってたから……心配で……!!」
スマホを手に取り見てみると日付が一日進んでおり、ちょうどバイトがなかったのは不幸中の幸いだろう。
「それにしても……何があったんだ? 気づいたらここに……」
俺は痛む頭でゆっくりと記憶を探り何が起きたか整理していく。
「医者が言うには頭部に強い衝撃が加えられて意識を失っていたみたい。頭蓋骨に損傷はなくて激しい運動はできないけど目を覚ませばすぐに退院できるって」
「じゃあいつまでもここにいるわけにはいかないしさっさと退院だな。悪いな霧子。一日開けちゃって。家事は大丈夫だったか?」
「もう子供じゃないんだから大丈夫だよ。寧ろいつも兄さんに負担かけてばかりで……」
霧子はそう言うが、俺は家事を負担だなんて一度も思ったことはない。それだけやりがいがあるからだ。
一人しかいない唯一の家族。あの時に、両親を見捨てた時に誓った約束。俺が霧子の未来を守らなければいけないから。
そのためには俺は何だってやるし自分の人生なんていくらでも差し出せる。
「負担じゃないさ。霧子は自分のやりたいことをただ追いかけてればいい。この件もお兄ちゃんがなんとかするから気にしなくていいさ」
「兄さんはいつもそうやって……もういいです……!! 兄さんが意地張るならこっちにも考えがあります」
「き、霧子?」
俺が危険な目に遭ったり無理する度に機嫌を損ねる霧子だが、今日はそれが一段と激しい。
そして覚悟を決めた目に変わった直後席を立ち、苛立ちを含んだ足取りで病室を立ち去っていく。
「どうしたんだあいつ……?」
それから霧子が帰ってくることはなく、俺は退院して家に帰る。家にも霧子はおらず荷物も置いていない。どこかに外出中のようだ。
ここまで霧子を怒らせてしまったのは初めてで、家族の仲に溝ができてしまい俺は気分を落とすがそれを打ち消すようにスマホに一通のメールが来る。
それはフォルティーからのもので、どうやら不良達の身元が分かったそうなのでそれを伝えたいから倉庫まで来て欲しいそうだ。
「なんで直接電話で伝えないんだよ……まぁいいか。夕飯までまだ時間あるし今から行くか」
心配事はまだたくさんあるが、俺はまたあの倉庫へと赴く。
頭部の痛みがまだ残っていて足元がしっかりしないが、真っ直ぐ歩けないほどではないので普段よりかは少しかかってしまったがなんとか倉庫に辿り着く。
「来たぞー」
アポは取れているため数回ノックした後に返事を聞かずに中に入る。
「よぉ……夜道」
そこにフォルティーの姿はなかった。代わりにいるのは他のメンバー達と俺をクビに追い込んだ不良達だ。
「何でお前らがここに……」
「へへっ。嵌められたんだよお前は……」
不良達は鉄パイプを取り出しそれを引き摺りながら俺の元に迫ってくる。
「おいおいおいちょっと待て! お前らに何か恨まれる覚えはないぞ!?」
「お前とリーダーが戦ったあの日からリーダーはおかしくなった! ここにも来ないし配信もしなくなった!」
確かにフォルティーはこの前電話に出なかったし、メールに返信するのもかなり遅い。まるで他のことなど視界に入らないほどの用事があるかのように。
「いやでも俺はその件は何にも知らねぇぞ!」
「うるせぇ! どうせお前が何かやったんだろ!」
酷い言いがかりだ。まるで聞く耳を持っていない。不良というのはこういう生き物なのだろうか? 中学に居た同じような奴はまだ話が通じたというのに。
「オレ達は舐められたら終わりなんだよ!! やれ!!」
一人の配信者が不良に指示を飛ばす。不良は鉄パイプを振り上げてそれを容赦なく俺の頭蓋目掛けて振り下ろす。
咄嗟に躱したため直撃は避けれたが、それでも鉄パイプは俺の髪を激しく揺らす。
「くっ……!!」
幸い入り口には俺が一番近い。俺は後ろに躱したついでにそのまま扉に一直線に走る。
「どこ行くんだアレギィ?」
しかし外から既にアーマー装着済みの奴が、この前漆黒の騎士に倒された内の一人が倉庫に入り込んできて俺の腹に鋭い蹴りをくらわせる。
無理やり入り口から遠ざけられ、頭痛だけでなく腹痛も俺を苦しめる。
「まっ、オレらを舐めた奴にはいなくなってもらう。ちょうど海も近いしな」
倉庫内に居た二人がパティシーを装着しオーブを嵌め込む。そして不良達を下がらせて三人がかりで俺を取り囲む。
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