18 / 57
一章 四人の配信者
18話 不意打ち
しおりを挟む
「兄さん……最近顔色が優れないけどどうかしたの?」
「えっ……い、いや何でもないよ……」
霧子との夕飯の中、秋刀魚を丁寧に食べている最中不意に探りを入れられる。
霧子は俺の返答を怪しみ目を鋭くさせる。
「分かった……お前に隠し事は無理だな。実は薬局のバイトクビにされちゃったんだよ」
「兄さんが……? 兄さんほどの能力があればよっぽどバイトをクビになんてならないはず……何かあったの?」
「ちょっと知らない奴らに嫌な絡まれ方してな……」
俺が事の顛末を話すと霧子は不機嫌さを誰にでも分かるよう顔に出す。口角はほんのり下がり、目元に多少の痙攣が見られる。
「何それ……店長も酷いけどその因縁をつけてきた不良達も許せないね……心当たりはないの?」
「それが全くないんだよな……会ったこともないし、中学の頃の友達に聞いてみたけどそんな奴ら知らないって言うし……あっ、あいつらなら何か知ってるかな?」
俺は一旦箸を置きスマホを取り出す。そこに連絡先として登録してあるフォルティーを探し連絡してみる。
「……出ないな」
「その人ってこの前兄さんと一緒に強い魔物に倒された人だよね?」
「そうだな……そいつに関することで情報共有したいってことで連絡先交換してたんだけど……出る気配ねぇなこれ」
三回ほどかけてみたが出る気配は一切ない。あのチャラい感じのグループならここらの不良事情や暴走族関係に詳しいと思ったが、世の中そう上手くはいかないらしい。
生憎他のメンバーとは連絡先を交換していないので連絡をする方法がない。
「はぁ……ちょっと面倒だけどそいつらのアジトまで行ってみることにするよ。バイトも無くなって時間もできたし」
「……兄さん。くれぐれも危ないことには首を突っ込まないでね?」
スーパーの爆破事件に続いてこの前の怪我と今回の件。不安を煽られてしまうのも当然だ。
「大丈夫だって。本当に危なくなった時は最悪これがあるし」
俺はパティシーを見せ、不良くらいに襲われても大丈夫だと妹を安心づける。
もちろんこれを使って攻撃などしたら死んでしまうので逃げの一択だが。
霧子の表情は一向に明るくならず、表向きはともかくどこかどんよりとした空気のままその日は終わる。
そして次の日の朝、朝ご飯と霧子の弁当を作り終えた後にこの前行ったフォルティーのアジトへと足を運ぶ。
またあの海の近くの倉庫群の道を進んでいき、ふと道の端から見える海に目がいってしまう。
「父さん……母さん……」
海を見るとどうしても死んだ両親のことがフラッシュバックしてしまう。
そして考えてしまう。あの日俺は霧子だけではなく三人みんなを救う方法が他に取れたのではないかと。
もちろん答えてくれる人なんていない。霧子に聞いたとこでこっちのことを想ってそんなことない。あれが最善だったとゲームのモブキャラのように繰り返すであろう。
「おいアレギィ。ここで何をしている?」
周りへの注意が散漫となりながら歩いていたせいか、すぐ後ろにまできていたフォルティーに気づかず肩を叩かれる。
「おぉちょうど良かった。お前に聞きたいことがあったんだよ」
「オレに……? 何だ?」
俺はここ一週間で起こった例のことを話すが、反応はあまり良くない。不良達の特徴を教えてもあまりピンとは来ていないようだ。
「それにオレは配信をやる前は少年院に居た。最近のここらの不良事情には詳しくない」
「少年院? バイクでも盗んだのか?」
「お前には関係ない。まぁ事情は分かった。一応メンバーに元暴走族がいたから聞くだけ聞いてみてやる」
「おうありがとな。じゃあ何か分かったら連絡頼むわ」
他メンバーへの聞き込みは彼がやってくれるそうなので、俺は一言お礼を言い回れ右して来た道を戻る。
少し駅に寄って行き買い物をしてから帰る道中。人気のない道を歩いていると後ろからバイクの駆動音が聞こえてくる。
俺は道の端に寄ってバイクが通りやすくするが、音は俺の方へ向かって近づいてくる。
「夜道ぉぉぉ!!!」
そしてけたたましい怒声と共に俺は頭に強い衝撃を受け意識を失うのだった。
「えっ……い、いや何でもないよ……」
霧子との夕飯の中、秋刀魚を丁寧に食べている最中不意に探りを入れられる。
霧子は俺の返答を怪しみ目を鋭くさせる。
「分かった……お前に隠し事は無理だな。実は薬局のバイトクビにされちゃったんだよ」
「兄さんが……? 兄さんほどの能力があればよっぽどバイトをクビになんてならないはず……何かあったの?」
「ちょっと知らない奴らに嫌な絡まれ方してな……」
俺が事の顛末を話すと霧子は不機嫌さを誰にでも分かるよう顔に出す。口角はほんのり下がり、目元に多少の痙攣が見られる。
「何それ……店長も酷いけどその因縁をつけてきた不良達も許せないね……心当たりはないの?」
「それが全くないんだよな……会ったこともないし、中学の頃の友達に聞いてみたけどそんな奴ら知らないって言うし……あっ、あいつらなら何か知ってるかな?」
俺は一旦箸を置きスマホを取り出す。そこに連絡先として登録してあるフォルティーを探し連絡してみる。
「……出ないな」
「その人ってこの前兄さんと一緒に強い魔物に倒された人だよね?」
「そうだな……そいつに関することで情報共有したいってことで連絡先交換してたんだけど……出る気配ねぇなこれ」
三回ほどかけてみたが出る気配は一切ない。あのチャラい感じのグループならここらの不良事情や暴走族関係に詳しいと思ったが、世の中そう上手くはいかないらしい。
生憎他のメンバーとは連絡先を交換していないので連絡をする方法がない。
「はぁ……ちょっと面倒だけどそいつらのアジトまで行ってみることにするよ。バイトも無くなって時間もできたし」
「……兄さん。くれぐれも危ないことには首を突っ込まないでね?」
スーパーの爆破事件に続いてこの前の怪我と今回の件。不安を煽られてしまうのも当然だ。
「大丈夫だって。本当に危なくなった時は最悪これがあるし」
俺はパティシーを見せ、不良くらいに襲われても大丈夫だと妹を安心づける。
もちろんこれを使って攻撃などしたら死んでしまうので逃げの一択だが。
霧子の表情は一向に明るくならず、表向きはともかくどこかどんよりとした空気のままその日は終わる。
そして次の日の朝、朝ご飯と霧子の弁当を作り終えた後にこの前行ったフォルティーのアジトへと足を運ぶ。
またあの海の近くの倉庫群の道を進んでいき、ふと道の端から見える海に目がいってしまう。
「父さん……母さん……」
海を見るとどうしても死んだ両親のことがフラッシュバックしてしまう。
そして考えてしまう。あの日俺は霧子だけではなく三人みんなを救う方法が他に取れたのではないかと。
もちろん答えてくれる人なんていない。霧子に聞いたとこでこっちのことを想ってそんなことない。あれが最善だったとゲームのモブキャラのように繰り返すであろう。
「おいアレギィ。ここで何をしている?」
周りへの注意が散漫となりながら歩いていたせいか、すぐ後ろにまできていたフォルティーに気づかず肩を叩かれる。
「おぉちょうど良かった。お前に聞きたいことがあったんだよ」
「オレに……? 何だ?」
俺はここ一週間で起こった例のことを話すが、反応はあまり良くない。不良達の特徴を教えてもあまりピンとは来ていないようだ。
「それにオレは配信をやる前は少年院に居た。最近のここらの不良事情には詳しくない」
「少年院? バイクでも盗んだのか?」
「お前には関係ない。まぁ事情は分かった。一応メンバーに元暴走族がいたから聞くだけ聞いてみてやる」
「おうありがとな。じゃあ何か分かったら連絡頼むわ」
他メンバーへの聞き込みは彼がやってくれるそうなので、俺は一言お礼を言い回れ右して来た道を戻る。
少し駅に寄って行き買い物をしてから帰る道中。人気のない道を歩いていると後ろからバイクの駆動音が聞こえてくる。
俺は道の端に寄ってバイクが通りやすくするが、音は俺の方へ向かって近づいてくる。
「夜道ぉぉぉ!!!」
そしてけたたましい怒声と共に俺は頭に強い衝撃を受け意識を失うのだった。
0
あなたにおすすめの小説
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる