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二章 天才探偵
23話 美少女探偵
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「見てください夜道君!! ついに私配信者ランキングで五位になりましたよ!!」
退院して怪我も完治したある日の午後。俺は花華に呼び出されて彼女の家でスマホに表示されたランキングを見せられていた。
この前まで十位前後を動いていた花華もといフラウだったが、今では五位まで登り詰めている。これも毎日欠かさずに配信した影響だろう。
一方でフォルティーは例の魔物の件以降配信の頻度が減り、チームもなくなった影響かランキングは十位程に落ちてしまっている。
「すごいじゃないか! 俺は……入院のせいもあってトップ10からは落ちちまったか。まぁ仕方ないか」
「でも夜道君ならまたきっと上位に来れますよ! だってあんなに強いんですから!」
「そう……だな」
強いという言葉を聞き俺の頭の中に疑問が浮かび上がる。
例の魔物の件にこの前の事件。連続で情けない姿を晒したことで俺の自信は地に落ちていた。
「じゃあ私のランキングのお祝いで今からどこか食べにいきませんか? もちろん私の奢りで」
「いいのか?」
「はい! ランキングが上がったおかげか儲かってますし夜道君には恩がありますから」
だがそれでも得れたものはある。それが花華の笑顔だ。最近では初対面の人とでも挨拶ぐらいならハキハキとできるようになったし、なにより前より更に笑顔が増えた。
「じゃあ今回はお言葉に甘えさせてもらうよ」
そうして俺達は家を出て最近できたという中華料理店に足を運ばせる。
天気は雲一つない晴天で、風で冷えた体を陽光が温めてくれる。
「そういえばネット掲示板で見たんですけど、最近この街に凄腕の探偵が来たみたいですよ」
「探偵? 何だそりゃ?」
この街一番の大きさの橋に来たところで世間話の流れが一転する。
「どんな事件でも解決する天才探偵って名乗る人がいるみたいですよ。ほら」
彼女に見せてもらった掲示板には金髪で綺麗な女探偵が最近この街に現れ数多の事件を解決していることが書かれている。
「探偵か……あんまり馴染みないけどどんな仕事なんだろうな」
たわいのない会話をしながら橋を渡り終える頃、俺はいきなり背後から誰かにぶつかられる。
橋は広く空いていて転んだとしても人とぶつかるなんてあまりないはずなのに。
一体どうしたのだろうと振り返るよりも先に腕に柔らかい感触が押し当てられる。
「久しぶり! 元気にしてた? わたしのフィアンセ!」
見覚えのない金髪の女性が俺の腕に抱きついてくる。
緑色のコートに茶色のベレー帽を被っている異国風の女性。もちろん俺は彼女を、というより外国人の知り合いなんていない。
「えっ!? 夜道君って外国の方の彼女がいたんですか!? しかもフィアンセってもしかして婚約を前提に……!?」
また漫画かアニメに影響されたのか、花華は顔を紅潮させて推しのアイドルに偶然会ったファンのようにはしゃぐ。
「だから人違いだって離れてくれよ」
ともかく見知らぬ人間とずっとくっついているわけにもいかない。
しかし離そうにも彼女は絶対に離すまいとまるで柔道の試合のように腕の固定を外さない。
「ん……?」
不審感を覚えたのも束の間。橋の向こう側から数人のスーツ姿の、明らかにカタギの人間とは思えない強面の男達がこちらに向かって走ってくる。
その計十個の瞳は俺や花華ではなくこの女性の方をロックオンしている。
「じゃっ、あとよろしくね」
彼女は俺の頬にキスをした後まるで男達から逃げるように真反対の方向に何の躊躇いもなく駆け出す。
「お前らはあいつ追え!!」
五人の内のリーダー格と思われる人が四人に指示を出して金髪の子を追わせる。
「よう兄ちゃん。あいつとはどういう関係なんだ?」
「いや……初対面で何も知らないけど……」
雰囲気に気圧されてしまい言い迷ってしまったのが不味かったのか、男は更に距離を詰めてくる。
「あぁん? のわりには随分と仲が良さそうに見えたが……まぁちょっと裏来いや……」
信用していないのか、はたまたどちらだろうと強引に聞いた方がいいと判断したのか。男は俺の肩を掴み裏路地の方に連れていこうとする。
「そっちの女は見逃してやる。カタギの女に手ぇ出すほど腐っちゃいねぇしな」
明らかにそっち系の人としか取れない発言と共に俺の体は引き摺られていく。
「や、夜道君……!!」
花華は初対面で尚且つ強面の彼に萎縮してしまい声すら上げられない。
「大丈夫! お店の方で先に待っててよ! すぐに行くから!」
俺は笑顔で花華を元気づけ彼女が見えなくなるまで一旦は待つ。そしてタイミングを見計らい男を突き放し路地の方へ入って駆け出す。
この前の事件もある。そう易々と危ない所には行けない。花華ももう安全な場所にいるだろうしここは逃げるに限る。
「おいこら待てや!!」
そして男の怒声を背中で受けながら路地を駆け抜けるのだった。
退院して怪我も完治したある日の午後。俺は花華に呼び出されて彼女の家でスマホに表示されたランキングを見せられていた。
この前まで十位前後を動いていた花華もといフラウだったが、今では五位まで登り詰めている。これも毎日欠かさずに配信した影響だろう。
一方でフォルティーは例の魔物の件以降配信の頻度が減り、チームもなくなった影響かランキングは十位程に落ちてしまっている。
「すごいじゃないか! 俺は……入院のせいもあってトップ10からは落ちちまったか。まぁ仕方ないか」
「でも夜道君ならまたきっと上位に来れますよ! だってあんなに強いんですから!」
「そう……だな」
強いという言葉を聞き俺の頭の中に疑問が浮かび上がる。
例の魔物の件にこの前の事件。連続で情けない姿を晒したことで俺の自信は地に落ちていた。
「じゃあ私のランキングのお祝いで今からどこか食べにいきませんか? もちろん私の奢りで」
「いいのか?」
「はい! ランキングが上がったおかげか儲かってますし夜道君には恩がありますから」
だがそれでも得れたものはある。それが花華の笑顔だ。最近では初対面の人とでも挨拶ぐらいならハキハキとできるようになったし、なにより前より更に笑顔が増えた。
「じゃあ今回はお言葉に甘えさせてもらうよ」
そうして俺達は家を出て最近できたという中華料理店に足を運ばせる。
天気は雲一つない晴天で、風で冷えた体を陽光が温めてくれる。
「そういえばネット掲示板で見たんですけど、最近この街に凄腕の探偵が来たみたいですよ」
「探偵? 何だそりゃ?」
この街一番の大きさの橋に来たところで世間話の流れが一転する。
「どんな事件でも解決する天才探偵って名乗る人がいるみたいですよ。ほら」
彼女に見せてもらった掲示板には金髪で綺麗な女探偵が最近この街に現れ数多の事件を解決していることが書かれている。
「探偵か……あんまり馴染みないけどどんな仕事なんだろうな」
たわいのない会話をしながら橋を渡り終える頃、俺はいきなり背後から誰かにぶつかられる。
橋は広く空いていて転んだとしても人とぶつかるなんてあまりないはずなのに。
一体どうしたのだろうと振り返るよりも先に腕に柔らかい感触が押し当てられる。
「久しぶり! 元気にしてた? わたしのフィアンセ!」
見覚えのない金髪の女性が俺の腕に抱きついてくる。
緑色のコートに茶色のベレー帽を被っている異国風の女性。もちろん俺は彼女を、というより外国人の知り合いなんていない。
「えっ!? 夜道君って外国の方の彼女がいたんですか!? しかもフィアンセってもしかして婚約を前提に……!?」
また漫画かアニメに影響されたのか、花華は顔を紅潮させて推しのアイドルに偶然会ったファンのようにはしゃぐ。
「だから人違いだって離れてくれよ」
ともかく見知らぬ人間とずっとくっついているわけにもいかない。
しかし離そうにも彼女は絶対に離すまいとまるで柔道の試合のように腕の固定を外さない。
「ん……?」
不審感を覚えたのも束の間。橋の向こう側から数人のスーツ姿の、明らかにカタギの人間とは思えない強面の男達がこちらに向かって走ってくる。
その計十個の瞳は俺や花華ではなくこの女性の方をロックオンしている。
「じゃっ、あとよろしくね」
彼女は俺の頬にキスをした後まるで男達から逃げるように真反対の方向に何の躊躇いもなく駆け出す。
「お前らはあいつ追え!!」
五人の内のリーダー格と思われる人が四人に指示を出して金髪の子を追わせる。
「よう兄ちゃん。あいつとはどういう関係なんだ?」
「いや……初対面で何も知らないけど……」
雰囲気に気圧されてしまい言い迷ってしまったのが不味かったのか、男は更に距離を詰めてくる。
「あぁん? のわりには随分と仲が良さそうに見えたが……まぁちょっと裏来いや……」
信用していないのか、はたまたどちらだろうと強引に聞いた方がいいと判断したのか。男は俺の肩を掴み裏路地の方に連れていこうとする。
「そっちの女は見逃してやる。カタギの女に手ぇ出すほど腐っちゃいねぇしな」
明らかにそっち系の人としか取れない発言と共に俺の体は引き摺られていく。
「や、夜道君……!!」
花華は初対面で尚且つ強面の彼に萎縮してしまい声すら上げられない。
「大丈夫! お店の方で先に待っててよ! すぐに行くから!」
俺は笑顔で花華を元気づけ彼女が見えなくなるまで一旦は待つ。そしてタイミングを見計らい男を突き放し路地の方へ入って駆け出す。
この前の事件もある。そう易々と危ない所には行けない。花華ももう安全な場所にいるだろうしここは逃げるに限る。
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そして男の怒声を背中で受けながら路地を駆け抜けるのだった。
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