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三章 すいちゃんは可愛い‼️
47話 踏み躙る
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「ごめんね……代わりにこれあげるから」
彗星は人間の姿に戻り暗くなり始める街を駆けていた。道中で見つけた自分と体格がほぼ同じな女の子を路地裏に連れ込み首を絞めて気を失わせる。
代わりにライブ衣装を下着姿の彼女に着させる。ウィッグも衣装もなくなったのでこれで人目を気にすることなく逃げられる。足早にここから去ろうとするが女の子の鞄からはみ出した物が視界の端に入る。
「チケット……?」
ただの紙切れなのだがそれは彗星の瞳に吸い付き離れない。何故ならそれは先程自分が飛び出したライブのチケットだったから。
つまりこの子は彗星のライブに足を運んでくれたファンということになる。きっと彗星が逃げ出したせいか、それとも意識不明になったせいかでライブが中止され落ち込みながら帰路についていたのだろう。
「じゃあワタシは……」
人間の心を捨てたつもりだったのに、罪悪感が蒸し返され蘇る。それだけ真剣にアイドルに向き合い取り組んでいたから。それだけに動揺が顔に現れる。
「くっ……!!」
しかしここに居たら夜道や友也などに見つかってしまう可能性もある。彗星は後ろから迫る魔の手を避け淡い希望に向かって駆けるのだった。
☆☆☆
「なるほど……それは予想外の事態だね」
俺達はこういう人探しにおいては素人だ。餅は餅屋という言葉があるように、こういうことは専門家に聞くのが一番ということでシャーロットに電話をかけていた。
「……だがこっちは手を離せないから協力できそうにないな」
「人の命が危険に晒されてるんだぞ……!!」
飄々とした態度を崩さないシャーロットに声を震わしてしまう。だが向こうにも事情があるのだろう。俺はそれ以上言いがかりをつけない。
「分かっているさ。とりあえず四人で散開して広範囲に捜索。見つかり次第連絡して時間稼ぎという方針で行きたまえ。
それと敷島君と美里君にはベラドンナ君から連絡させておいた。彼らと連携して頼むよ」
通話中だが敷島さんからメールが届く。どうやら敷島さんは今別件でダンジョンに居るが、それ以外の人員を動かして捜索してくれるらしい。
「無理に手を出すな……か」
最後に付け加えられた文言に俺は複雑な感情を覚えてしまう。
彗星があんな風になってしまったのには自分のせいでもあるからだ。もっと慎重に言葉を選んでいれば、今頃悩みを打ち明け話し合えていたかもしれない。
だからこそ今度こそは間違えるわけにはいかない。彼女に道を踏み外させるわけにはいかない。
「お前らはどうする? 危険だし無理についてこなくても……」
「私は……ついてきます。夜道君には傷ついてほしくないですし」
花華は二つ返事で了承してくれるが、霧子と友也はお互いに視線を合わせ一歩引いた位置で答えを出し渋る。
「オレと霧子ちゃんも行かせてもらうよ。あの子の夢を守りたいし。それになが……」
霧子の足が友也の足を踏み潰し、彼は低い呻き声を上げてしゃがみ込み足を手で押さえる。
「き、霧子? 何してるんだ?」
「ごめんなさい。こいつの手がアタシのお尻の方に伸びてきた気がしたので」
「友也お前……」
俺の中で見直して上がった彼の株がまた暴落する。やはりこのセクハラロリコンストーカーを霧子に近づけるのは危険かもしれない。
「ご、誤解だって……!! と、とにかく今は彗星ちゃんを探さないと……四手……は一人だけだと危ないから、二人一組になって探そう」
友也を霧子か花華に組ませるのは相性が悪いので、自然と俺と友也。霧子と花華で組むこととなる。
俺は霧子達にもプロデューサーから貰った彗星のオフの時の写真などを渡してから別れて捜索にあたる。
「彗星ちゃんどうして……」
道を歩く人や路地裏に溜まる人などを観察し彗星を探す。衣装はもう捨てているが彼女の美貌は中々隠せないはずだ。
そんな中友也はどこか上の空のようで集中できていない。
「動揺する気持ちも分かるけど、今はいち早く彗星を見つけないと」
「あっ、そ、そうだよな……」
焼け石に水程度の言葉を投げかけるがそれで彼の不安が消えることはない。
「なぁ……夜道くんはもし彗星ちゃんを見つけたらどうするつもりなの?」
数分後。友也は何度か踏み止まった後に口を開く。
「俺は……助けたいと思ってる。そのためにまず話し合いたい。それを諦めて殺すなんてことはしたくない」
誰であろうと諦めるのは、断念して見捨てるのなんてもう御免だった。
過去から目を背けるように視線を友也から逸らす。そして見覚えのある衣装が目に入る。
「友也あそこだ! 衣装が……あれ? でもこの子は……?」
衣装は見知らない少女の上に被せられていた。彼女は気を失っており荷物が辺りに散乱していることから眠たくて倒れたというわけでもなさそうだ。
「見て夜道くん! このチケット……この子さっきのライブに居た人だよ!」
彗星は人間の姿に戻り暗くなり始める街を駆けていた。道中で見つけた自分と体格がほぼ同じな女の子を路地裏に連れ込み首を絞めて気を失わせる。
代わりにライブ衣装を下着姿の彼女に着させる。ウィッグも衣装もなくなったのでこれで人目を気にすることなく逃げられる。足早にここから去ろうとするが女の子の鞄からはみ出した物が視界の端に入る。
「チケット……?」
ただの紙切れなのだがそれは彗星の瞳に吸い付き離れない。何故ならそれは先程自分が飛び出したライブのチケットだったから。
つまりこの子は彗星のライブに足を運んでくれたファンということになる。きっと彗星が逃げ出したせいか、それとも意識不明になったせいかでライブが中止され落ち込みながら帰路についていたのだろう。
「じゃあワタシは……」
人間の心を捨てたつもりだったのに、罪悪感が蒸し返され蘇る。それだけ真剣にアイドルに向き合い取り組んでいたから。それだけに動揺が顔に現れる。
「くっ……!!」
しかしここに居たら夜道や友也などに見つかってしまう可能性もある。彗星は後ろから迫る魔の手を避け淡い希望に向かって駆けるのだった。
☆☆☆
「なるほど……それは予想外の事態だね」
俺達はこういう人探しにおいては素人だ。餅は餅屋という言葉があるように、こういうことは専門家に聞くのが一番ということでシャーロットに電話をかけていた。
「……だがこっちは手を離せないから協力できそうにないな」
「人の命が危険に晒されてるんだぞ……!!」
飄々とした態度を崩さないシャーロットに声を震わしてしまう。だが向こうにも事情があるのだろう。俺はそれ以上言いがかりをつけない。
「分かっているさ。とりあえず四人で散開して広範囲に捜索。見つかり次第連絡して時間稼ぎという方針で行きたまえ。
それと敷島君と美里君にはベラドンナ君から連絡させておいた。彼らと連携して頼むよ」
通話中だが敷島さんからメールが届く。どうやら敷島さんは今別件でダンジョンに居るが、それ以外の人員を動かして捜索してくれるらしい。
「無理に手を出すな……か」
最後に付け加えられた文言に俺は複雑な感情を覚えてしまう。
彗星があんな風になってしまったのには自分のせいでもあるからだ。もっと慎重に言葉を選んでいれば、今頃悩みを打ち明け話し合えていたかもしれない。
だからこそ今度こそは間違えるわけにはいかない。彼女に道を踏み外させるわけにはいかない。
「お前らはどうする? 危険だし無理についてこなくても……」
「私は……ついてきます。夜道君には傷ついてほしくないですし」
花華は二つ返事で了承してくれるが、霧子と友也はお互いに視線を合わせ一歩引いた位置で答えを出し渋る。
「オレと霧子ちゃんも行かせてもらうよ。あの子の夢を守りたいし。それになが……」
霧子の足が友也の足を踏み潰し、彼は低い呻き声を上げてしゃがみ込み足を手で押さえる。
「き、霧子? 何してるんだ?」
「ごめんなさい。こいつの手がアタシのお尻の方に伸びてきた気がしたので」
「友也お前……」
俺の中で見直して上がった彼の株がまた暴落する。やはりこのセクハラロリコンストーカーを霧子に近づけるのは危険かもしれない。
「ご、誤解だって……!! と、とにかく今は彗星ちゃんを探さないと……四手……は一人だけだと危ないから、二人一組になって探そう」
友也を霧子か花華に組ませるのは相性が悪いので、自然と俺と友也。霧子と花華で組むこととなる。
俺は霧子達にもプロデューサーから貰った彗星のオフの時の写真などを渡してから別れて捜索にあたる。
「彗星ちゃんどうして……」
道を歩く人や路地裏に溜まる人などを観察し彗星を探す。衣装はもう捨てているが彼女の美貌は中々隠せないはずだ。
そんな中友也はどこか上の空のようで集中できていない。
「動揺する気持ちも分かるけど、今はいち早く彗星を見つけないと」
「あっ、そ、そうだよな……」
焼け石に水程度の言葉を投げかけるがそれで彼の不安が消えることはない。
「なぁ……夜道くんはもし彗星ちゃんを見つけたらどうするつもりなの?」
数分後。友也は何度か踏み止まった後に口を開く。
「俺は……助けたいと思ってる。そのためにまず話し合いたい。それを諦めて殺すなんてことはしたくない」
誰であろうと諦めるのは、断念して見捨てるのなんてもう御免だった。
過去から目を背けるように視線を友也から逸らす。そして見覚えのある衣装が目に入る。
「友也あそこだ! 衣装が……あれ? でもこの子は……?」
衣装は見知らない少女の上に被せられていた。彼女は気を失っており荷物が辺りに散乱していることから眠たくて倒れたというわけでもなさそうだ。
「見て夜道くん! このチケット……この子さっきのライブに居た人だよ!」
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