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三章 すいちゃんは可愛い‼️
53話 光を失う
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「ウゥゥゥ……」
魔物は何を思ったのか動揺を見せ数歩下がり俺と彗星を何度も交互に見比べる。
「ゴハッ……!!」
剣が抜かれて腸が地面まで垂れる。血が噴水のように噴き出て泥に混じって雨に流されていく。
「彗星ちゃん!! クソ……離れろ!!」
友也が龍頭がついた拳で奴の後頭部を殴り抜き彗星から離れさせる。魔物は反撃せず狼狽える。
「そこに居たか……!!」
ここからどう状況が進展していくのか。絶望感の中必死に眼球を動かし情報を得ようとするが、そんな時に木の影から見たことのないアーマーを着た配信者が割り込んでくる。
濃い緑色のアーマーで両手には小型の盾をつけておりそこからはドリルが出ている。
「その声……敷島さん!?」
鎧の向こうから聞こえる声は何度か話したことのある彼の声だった。
「君は泉にそれにそっちは烏野……? 待て……その子はどうした!?」
敷島さんは彗星の命まで届く程の傷を見て魔物から注意を逸らす。その際魔物は攻撃ではなく撤退を選び姿を眩ませる。
入れ替わるように同じアーマーを着けた人達がワラワラとこの場に入り込んでくる。
「敷島隊長!? これは一体……!? 何でこの子はアーマーが剥がれてしかも致命傷を……」
「とにかく応急処置だ! おい美里!! 聞こえてるか!? 怪我人がいるすぐに全員転送してくれ!!」
彗星と霧子は入り込んできた人達に抱えられこの場にいる全員が光に包まれる。
☆☆☆
「なるほど……大体事情は分かった」
サブネルソンが管理している施設の中の一室で俺と友也は敷島さんから事情聴取を受けていた。
隠す理由もないので彗星が魔物になったことも含めて事細かに話した。
「いやでも人間が魔物になるなんて……」
敷島さんは彗星の件については疑問半分といったところだったが、状況から見て筋は通っているのでとりあえずは信じてくれる。
「敷島隊長!!」
先程変身していたであろう一人が部屋に入ってくる。
「二人の治療が終わりました」
「霧子と彗星の!? 二人は大丈夫だったんですか!?」
敷島さんが反応するよりも前に俺はその男性に凄まじい剣幕で言い寄ってしまう。
「そ、それは……」
「何か致命的な怪我でも……」
言いにくそうなその表情に何かあったのかと不安になりより険しい声色になってしまう。
「落ち着いて聞いてください。霧子さんは複数箇所怪我がありましたが軽症でした。
ただ彗星さんは……手を尽くしましたが出血が激しく……」
「そんな……」
俺はその場に崩れ落ちてしまう。薄々分かっていた。魔物の体を保てず人間に戻っていた上に腹を貫かれていた。助からないことは分かっていた。
だが諦めなかったのに、手を伸ばし続けたのに彼女を助けられなかった。その事実が確実に俺の心を蝕んでいた。
「あの……本当に彗星ちゃんは助からなかったんですか?」
友也がもう一度尋ねるが返答は変わらない。事実を信じたくなく無理を言って彗星のところまで連れて行ってもらう。
敷島さんのご厚意もありまだ治療室から動かされていない彗星の顔を覗ける。
「彗星……?」
呼びかけても返答はない。顔は白く血の気が引いており生者のものではない。
「クソ……クソォ……!!」
手に熱い雫が落ちてくる。救えなかった。また失ってしまった。
最後に俺を庇った時彼女は何を想ったのだろうか。夢を途中で放り出してしまうことにどんな想いを抱いていたのだろうか。
果たしてどんな想いで死んでいったのだろうか。
答えはもう二度と返ってこない。ただ後悔を胸に俺の人生はこれからも何不自由なく続いていくのだった。
魔物は何を思ったのか動揺を見せ数歩下がり俺と彗星を何度も交互に見比べる。
「ゴハッ……!!」
剣が抜かれて腸が地面まで垂れる。血が噴水のように噴き出て泥に混じって雨に流されていく。
「彗星ちゃん!! クソ……離れろ!!」
友也が龍頭がついた拳で奴の後頭部を殴り抜き彗星から離れさせる。魔物は反撃せず狼狽える。
「そこに居たか……!!」
ここからどう状況が進展していくのか。絶望感の中必死に眼球を動かし情報を得ようとするが、そんな時に木の影から見たことのないアーマーを着た配信者が割り込んでくる。
濃い緑色のアーマーで両手には小型の盾をつけておりそこからはドリルが出ている。
「その声……敷島さん!?」
鎧の向こうから聞こえる声は何度か話したことのある彼の声だった。
「君は泉にそれにそっちは烏野……? 待て……その子はどうした!?」
敷島さんは彗星の命まで届く程の傷を見て魔物から注意を逸らす。その際魔物は攻撃ではなく撤退を選び姿を眩ませる。
入れ替わるように同じアーマーを着けた人達がワラワラとこの場に入り込んでくる。
「敷島隊長!? これは一体……!? 何でこの子はアーマーが剥がれてしかも致命傷を……」
「とにかく応急処置だ! おい美里!! 聞こえてるか!? 怪我人がいるすぐに全員転送してくれ!!」
彗星と霧子は入り込んできた人達に抱えられこの場にいる全員が光に包まれる。
☆☆☆
「なるほど……大体事情は分かった」
サブネルソンが管理している施設の中の一室で俺と友也は敷島さんから事情聴取を受けていた。
隠す理由もないので彗星が魔物になったことも含めて事細かに話した。
「いやでも人間が魔物になるなんて……」
敷島さんは彗星の件については疑問半分といったところだったが、状況から見て筋は通っているのでとりあえずは信じてくれる。
「敷島隊長!!」
先程変身していたであろう一人が部屋に入ってくる。
「二人の治療が終わりました」
「霧子と彗星の!? 二人は大丈夫だったんですか!?」
敷島さんが反応するよりも前に俺はその男性に凄まじい剣幕で言い寄ってしまう。
「そ、それは……」
「何か致命的な怪我でも……」
言いにくそうなその表情に何かあったのかと不安になりより険しい声色になってしまう。
「落ち着いて聞いてください。霧子さんは複数箇所怪我がありましたが軽症でした。
ただ彗星さんは……手を尽くしましたが出血が激しく……」
「そんな……」
俺はその場に崩れ落ちてしまう。薄々分かっていた。魔物の体を保てず人間に戻っていた上に腹を貫かれていた。助からないことは分かっていた。
だが諦めなかったのに、手を伸ばし続けたのに彼女を助けられなかった。その事実が確実に俺の心を蝕んでいた。
「あの……本当に彗星ちゃんは助からなかったんですか?」
友也がもう一度尋ねるが返答は変わらない。事実を信じたくなく無理を言って彗星のところまで連れて行ってもらう。
敷島さんのご厚意もありまだ治療室から動かされていない彗星の顔を覗ける。
「彗星……?」
呼びかけても返答はない。顔は白く血の気が引いており生者のものではない。
「クソ……クソォ……!!」
手に熱い雫が落ちてくる。救えなかった。また失ってしまった。
最後に俺を庇った時彼女は何を想ったのだろうか。夢を途中で放り出してしまうことにどんな想いを抱いていたのだろうか。
果たしてどんな想いで死んでいったのだろうか。
答えはもう二度と返ってこない。ただ後悔を胸に俺の人生はこれからも何不自由なく続いていくのだった。
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