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三章 すいちゃんは可愛い‼️
54話 瞳に宿るのは
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「霧子ちゃん怪我は大丈夫!?」
霧子が永瀬教授に呼ばれ大学に来るなり校門で早速友也が絡んでくる。
「幸い軽い怪我だったよ。はぁ……あなたの顔を見るくらいならもう少し怪我するべきだったかな」
相変わらず鬱陶しいまでに言い寄る友也に辟易し、独り言のように目を見ず毒を吐き足早に研究室まで向かう。
そこから友也が一方的に話すだけで霧子はなにも返さない。
「そういえば……どうして霧子ちゃんは彗星ちゃんを殺そうとしたの?」
霧子の足がピタリと止まる。同時に瞳に宿る光が消えてドス黒い闇が宿る。
「兄さんを攻撃したからだよ」
「や、夜道くんを……?」
こちらまで燃やさんとする瞳の中の炎に友也は返答をたじろいでしまう。
「前に言ったことあるよね。アタシの家族のこと」
「うん……水没事故でご両親は亡くなっちゃんだよね」
「酷い事故だった……揺れは大きくて立っているのも精一杯だった。アタシと両親がそれぞれ家具に下敷きになって、沈没して沈むまでに兄さんはアタシか両親かどちらしか助からない状況になった」
深掘りされるその話を友也は黙って聞く。冷たい風が彼の首筋を撫で緊張感を高めさせる。
「そんな中兄さんはアタシを助けてくれた……両親を見捨てる選択をして」
「でもそれは仕方ないことじゃ……体格が小さい霧子ちゃんの方が助け出せる可能性が高かったとか……」
「違う。兄さんはアタシのことを一番大事に思ってくれてるからだよ」
言葉を被せ迷いなく言い切る。歪んだ炎が宿る瞳は友也を捉えておらず、盲目の如くただ兄の幻影を映し出す。
「オレには君や夜道くんにとやかく言う資格はないよ。でも、もし今後同じことをするんだったら一回オレにチャンスをくれないかな?」
「チャンス……?」
「うん。話し合うチャンスを。だって戦わずに平和に終われるならそれに越したことはないでしょ?」
「そうだね……でも、それでもどうにもならなかった時は容赦しないから。
変化なんて必要ない……夢なんて叶えなくていい……だから兄さんとずっと一緒にいるために……」
霧子の瞳が更に濁ったあたりで二人は研究室の前までくる。一応ノックをしてから二人は中に入る。
中では永瀬と敷島が資料片手に何かを話し合っている。
「……話はここまでのようだな。引き続きこちらの研究は頼んだ」
「えぇ。そちらも何か分かり次第連絡を」
敷島は二人に一礼してから横を通って研究室を去っていく。
「何か話してたんですか?」
「えぇこの前の人が魔物になった件を少し……それより今日からだいぶ忙しくなりそうですが、二人とも大丈夫ですか?」
「まぁオレは暇だからいいですけど」
「アタシも問題ありません」
二人は今日から下手したら帰れない可能性すらある。霧子もそれは兄に伝えてある。
「ところでこれは根拠のない余談なのですが……ワタシはサブネルソンが怪しいと踏んでいるのですよ」
回転式の椅子に深々と座り、足を組んで顎を手に乗せて自論を展開する。
「ダンジョンの研究は厳重に管理されています。特に魔物に関するものはこちらでも取り扱えないほどに。
もし人が魔物になったとしたら一番怪しいのは……」
二人が薄々と思っていたが口には出さなかったことを永瀬はつらつらと述べていく。
それが彼の良いところでもあり悪いところだ。
「ただ現状こちらからアクションは起こせません……研究を進めて何か掴み次第動くとしましょう。一応調べるようある所に依頼は出していますし」
彼の言う通りサブネルソンは怪しいがあくまでそれは机上の空論。そのことは二人も分かっているので探りなど単独行動をするつもりはなかった。
ただもしこよ空論が的中していたとしたら自分達は大変まずい立場になることだけは確信に変わるのだった。
霧子が永瀬教授に呼ばれ大学に来るなり校門で早速友也が絡んでくる。
「幸い軽い怪我だったよ。はぁ……あなたの顔を見るくらいならもう少し怪我するべきだったかな」
相変わらず鬱陶しいまでに言い寄る友也に辟易し、独り言のように目を見ず毒を吐き足早に研究室まで向かう。
そこから友也が一方的に話すだけで霧子はなにも返さない。
「そういえば……どうして霧子ちゃんは彗星ちゃんを殺そうとしたの?」
霧子の足がピタリと止まる。同時に瞳に宿る光が消えてドス黒い闇が宿る。
「兄さんを攻撃したからだよ」
「や、夜道くんを……?」
こちらまで燃やさんとする瞳の中の炎に友也は返答をたじろいでしまう。
「前に言ったことあるよね。アタシの家族のこと」
「うん……水没事故でご両親は亡くなっちゃんだよね」
「酷い事故だった……揺れは大きくて立っているのも精一杯だった。アタシと両親がそれぞれ家具に下敷きになって、沈没して沈むまでに兄さんはアタシか両親かどちらしか助からない状況になった」
深掘りされるその話を友也は黙って聞く。冷たい風が彼の首筋を撫で緊張感を高めさせる。
「そんな中兄さんはアタシを助けてくれた……両親を見捨てる選択をして」
「でもそれは仕方ないことじゃ……体格が小さい霧子ちゃんの方が助け出せる可能性が高かったとか……」
「違う。兄さんはアタシのことを一番大事に思ってくれてるからだよ」
言葉を被せ迷いなく言い切る。歪んだ炎が宿る瞳は友也を捉えておらず、盲目の如くただ兄の幻影を映し出す。
「オレには君や夜道くんにとやかく言う資格はないよ。でも、もし今後同じことをするんだったら一回オレにチャンスをくれないかな?」
「チャンス……?」
「うん。話し合うチャンスを。だって戦わずに平和に終われるならそれに越したことはないでしょ?」
「そうだね……でも、それでもどうにもならなかった時は容赦しないから。
変化なんて必要ない……夢なんて叶えなくていい……だから兄さんとずっと一緒にいるために……」
霧子の瞳が更に濁ったあたりで二人は研究室の前までくる。一応ノックをしてから二人は中に入る。
中では永瀬と敷島が資料片手に何かを話し合っている。
「……話はここまでのようだな。引き続きこちらの研究は頼んだ」
「えぇ。そちらも何か分かり次第連絡を」
敷島は二人に一礼してから横を通って研究室を去っていく。
「何か話してたんですか?」
「えぇこの前の人が魔物になった件を少し……それより今日からだいぶ忙しくなりそうですが、二人とも大丈夫ですか?」
「まぁオレは暇だからいいですけど」
「アタシも問題ありません」
二人は今日から下手したら帰れない可能性すらある。霧子もそれは兄に伝えてある。
「ところでこれは根拠のない余談なのですが……ワタシはサブネルソンが怪しいと踏んでいるのですよ」
回転式の椅子に深々と座り、足を組んで顎を手に乗せて自論を展開する。
「ダンジョンの研究は厳重に管理されています。特に魔物に関するものはこちらでも取り扱えないほどに。
もし人が魔物になったとしたら一番怪しいのは……」
二人が薄々と思っていたが口には出さなかったことを永瀬はつらつらと述べていく。
それが彼の良いところでもあり悪いところだ。
「ただ現状こちらからアクションは起こせません……研究を進めて何か掴み次第動くとしましょう。一応調べるようある所に依頼は出していますし」
彼の言う通りサブネルソンは怪しいがあくまでそれは机上の空論。そのことは二人も分かっているので探りなど単独行動をするつもりはなかった。
ただもしこよ空論が的中していたとしたら自分達は大変まずい立場になることだけは確信に変わるのだった。
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