カードで戦うダンジョン配信者、社長令嬢と出会う。〜どんなダンジョンでもクリアする天才配信者の無双ストーリー〜

ニゲル

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六章 文化祭

67話 レベル20

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 周りが騒がしい。よく知っているみんなの声が辺りを飛び交う。

「生人ちゃんが起きたぞ!」

 薄っすら目を開けるとすぐに田所さんの声が耳に入ってきて僕の脳を大きく揺らす。
 頭痛に揉まれながらもなんとか僕は目を覚まし辺りを見渡す。
 DO本部の会議室で父さん含めみんながいた。他の人は包帯なり絆創膏などをつけてはいたが元気そうだ。

「あれ? ここは……確かキュリアと……」
「生人。お前の頑張りのおかげでキュリアは逮捕された。ありがとうな」

 段々と記憶が鮮明になっていき、僕があのキュリアを倒したのだということを思い出す。
 時計を見てみれば僕達が戦ったであろう時間から数時間ほどしか経っておらず、みんなの怪我が治っていないのも納得だ。

「生人も起きたことだし会議を始めるぞ。まずキュリアの件だがみんな本当にありがとう。おかげであいつを捕まえることができた。あいつについてはこれから順次調べていくつもりだ」

 父さんはこの話を流れ作業のように流して、数回咳払いした後本題に入る。

「でだ。次に生人についてだ」

 みんなの視線が僕に集まる。そんな凝視されると何もしていないというのに不安な気持ちになってくる。

「田所から聞いた話では生人から光が漏れ出たらしいが、それは本当か生人?」
「うん。ランストのせいなのかキュリアのせいなのかは分かんないけど」
「そうか……それとこれは生人は知らないと思うが、みんなのアーマーカードの内容が変わっていたんだ」

 父さんがモニターに一枚の写真を表示させる。映し出されたのは僕以外の四人のアーマーカードだ。
 いやよく見れば細部に違いがある。例えば田所さんのには紫色の装飾が増えている。

「生人が寝ている間に美咲に頼んで確かめたんだが、全員これを使えばレベル20の力を引き出せることが分かった」
「レベル20!? 何でそんな力を……」

 レベルは1上がるだけでも相当に違ってくる。それが10以上も変わるとなればそれは天変地異並みだ。

「現状は分からないがもしかしたら……生人。お前が何か関係しているかもしれない」
「ぼ、僕が?」
「まだ詳しくは分からないがな。それについては美咲の所に定期的に行ってもらって検査して確かめる」

 また検査か……必要なのは分かってるんだけど、ずっとじっとしてるだけで暇なんだよな……

「とりあえず、もうエックスことキュリアが活動することはない。
 よってこれからのDOの方針は以前と同じように資源の回収、そして制圧を主にやっていく。ただし……特に生人だが、今回の件で体に不調を感じたりしたらすぐに報告するように」

 この言葉を最後に会議は終わり、僕達は解散する。
 他のみんなはそれぞれ休みに部屋に戻ったり病院に行ったりしたが、僕はスマホで呼び出され早速美咲さんの元に向かうこととなる。

「とりあえずデッキケースからアーマーカードを出してくれるかな? 君のも確認したいんだ」
「うん! えーっと……」

 僕はランストを装備してデッキケースの中を探りアーマーカードを取り出す。
 案の定と言うべきかホッパーのカードに変化があり、カードにあるイラストに濃い青色の装飾品が追加されている。
 名前もドラゴンホッパーとなっていた。

「少し解析してみるね」

 電子レンジのようにも見える謎の装置にカードを入れ、そこにパソコンから伸びるコードを接続する。
 数分の操作の後、コピー機から書類が出てきてそれと共にカードを返却される。

「やはり君のもレベル20相当の力を秘めていたよ」
「アーマーのレベルが上がったのは嬉しいけど、何でこうなったのかな……美咲さんは何か分かる?」

 この質問に対して美咲さんは困り顔を浮かべ返答に時間がかかってしまう。
 やはりこの異常事態の真相を誰も把握していない。この事態が好意的なものであったことがせめてもの救いだ。

「私でも分からない。まぁでも分からないことを確かめていくのが研究者だからね。これから調べていくよ。付き合ってくれるかい?」
「もちろん!」

 断る理由などなかった。そんな言葉ほんの少しでも思い浮かぶことはなかった。
 それだけ僕は彼女のことを信用しているし、一人の人間として尊敬している。

「ふふっ……ありがとう。本当に」

 彼女は妖艶な笑みを浮かべ、僕はそれから実験に付き合い夜になってから帰されるのだった。
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