カードで戦うダンジョン配信者、社長令嬢と出会う。〜どんなダンジョンでもクリアする天才配信者の無双ストーリー〜

ニゲル

文字の大きさ
123 / 130
九章 新たなる脅威

117話 怪人武者

しおりを挟む
「何でここにサタンが!? 早く行かないと!!」

 ボク達は反射的にランストを取り出そうとするが、貴重品入れのロッカーに入れていたことを思い出す。

「くっ……どうしましょう? コースターが終わるまでまだ時間が……」
「峰山さんはここにいて! コースターが終わったら避難誘導をお願い!」

 ボクは寄生虫の力をオンにして安全レバーを一時的に持ち上げてそこから飛び降り、レールを走って下り入口の方まで転がり降りる。

「ちょっと緊急事態だからすみません!」

 ボクはロッカーを殴り穴を開けてそこからランストが入ったカードを取り出す。
 カードを具現化させランストを装着してカードを二枚セットする。

[ラスティー レベル30 ready…… アーマーカード ドラゴンホッパー レベル49 start up……]

 お馴染みの龍とバッタの性質を合わせ持った鎧を纏い、サタンがいる方へ走って向かう。
 サタンは先程見た場所から動いておらずヒーローショーを行う予定だったステージの方に居た。ただどうやらボクは遅れてしまったらしくもう被害者が出てしまっている。

「助けて……ヒーロー……」

 小さな子供がステージの上で倒れており、サタンに頭を踏まれ動けなくなっている。
 奴は灰色の鎧を装備した武者のような見た目で、両手には鋭く光る日本刀を持っている。
 それは一瞬ランストを使用した変身者だと見間違えそうになるほどだが、ランストを装備していないので間違いなくサタンだ。

「その子から離れ……」

 ボクはすぐに壇上まで向かい助けようとするが、ボクがどんな動きをしようと間に合わないほど速く奴は子供の頭を踏み抜く。
 頭の中身が辺りに飛び散る。舞台の上で倒れている数体の死体の一つへとその子も加わる。

「お前っ……!!」

 ボクは手を伸ばしてくれた子を救えなかった無念と怒りを胸に階段から跳び降り舞台にいる奴に蹴りをくらわす。

「硬っ!!」

 しかし奴は少し仰け反っただけでダメージはこちらの方が大きい。
 奴の鎧は想像よりも遥かに硬く、ボクは鋼鉄すらも貫く気でやったのに足が痺れ鎧には傷一つつかない。
 すぐさま奴の反撃が始まり、ボクはギリギリのところで袈裟斬りを躱す。

[ブレイドモード]

 アムバイスを使用して剣を取り出し奴の斬撃に応戦する。
 だが剣の腕は奴の方が数手上手でボクの体は何度も斬りつけられる。胸に鋭い火傷のような痛みが走る。掠っただけでもこのダメージ。まともにくらったら致命傷は避けられない。

[ランスモード]

 ボクは一旦考え直し、剣を消して槍を出現させる。
 剣と槍では相性的に槍の方が圧倒的に有利だと聞いたことがある。それが本当ならやってみる価値はある。

「うぉりゃ!!」

 リーチはこっちの方が圧倒的に上。反射神経などもこちらに分がある。奴はこの状況に対応できず戦況が一転する。

「このステージはお前のものじゃない! こんな凄惨なことをするための場所じゃない!」

 ボクは憤りを露わにして槍で何発も奴の体を貫く。一点集中で同じところを突きまくったおかげで鎧に傷がつき奴も動揺を隠せていない。

「ちが……う。ここは……俺の……ステージ……だぁぁ!!」

 奴が突然人語を発する。大気を震わせるほどの叫び声を出しあまりの騒音にボクは耳を塞ぐ。

「言葉を話せるタイプのサタンか……」

 前にも同じタイプのサタンを見たことがある。確か田所さんと潜ったレースステージのダンジョンでも人語を話すサタンが居た。
 でも情をかけたり手加減をする必要はない。こいつは今ここで倒さないと被害が拡大してしまう。
 
 気を引き締めてこのまま奴を倒そうと意気込んだのはいいが、奴に物理現象を無視した不自然な変化が起こり出す。
 鎧が脱げそれが回転して別の形状へ変わり奴の持っていた日本刀が二本の槍へと形を変える。

「何だそれ……そんなのあり!?」

 ボクは二刀流ならぬ二槍流とでも呼称しようか、そんな急に変える奴の戦い方に対処しようにも上手く動きが合わせられない。
 ボクが持っていた槍は弾かれ、胸に鋭い一撃をもらってしまう。

「生人さん!!」

 上空から峰山さんの声が聞こえてくるのと同時に奴の頭部に数本の矢が突き刺さる。

「近くにもう人はいません! 助けに来ました!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

辺境の最強魔導師   ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~

日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。 アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。 その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...