カードで戦うダンジョン配信者、社長令嬢と出会う。〜どんなダンジョンでもクリアする天才配信者の無双ストーリー〜

ニゲル

文字の大きさ
127 / 130
十章 罪と償い

121話 アジフライ

しおりを挟む

「はいアジフライ定食ね」

 始業式の後、峰山さんに仕事が終わった後の夜に部屋に来てとだけ言われ、ボクは落ち込んだ気持ちを慰めるために近くの寂れた商店街の喫茶店に寄っている。
 高校に入ってからちょくちょく来ているお店で、お婆さんが亡くなった旦那さんのお店を経営しているらしい。
 店員はお婆さん一人だけで客足もあまりなく今もボクだけだが、店内の雰囲気は中々趣があり味も他の店舗にはない良さがある。

「ありがとうございます! いただきます!」

 サクサクの衣に包まれソースが染み込んだ魚身。盛り合わせのキャベツもシャキシャキで新鮮で美味しい。

「いつも美味しそうに食べてくれてこっちも作り甲斐がありますよ。まぁでも……作ってあげられる回数ももう少ししかないかもね」
「腰の調子でも悪いんですか?」

 暗い顔をするお婆さんの様子が気になり、前々から痛いと言っていた腰が悪化してしまったのかと心配してしまう。

「いや……それもあるんだけどね、ちょっと最近立ち退きがうるさくてね」
「立ち退き?」
「ある会社からの立ち退きの催促がしつこくてね。子供じみた嫌がらせもあって体力的に辛くてね」
「何その話。そんなの酷いじゃん!」

 現代社会の授業でバブル期にそのようなことがあったと聞いたことはあるが、今もやっているなんてビックリだ。
 
「まぁこれも時代の流れかねぇ……ここら辺もシャッターを降ろしているお店も増えたし、工事して何か新しい施設でも作るのかねぇ……」

 どうにもならない時代の流れ。でもボクはそのことに納得できず、かといって何か解決策が浮かぶわけでもない。

「失礼。まだお店はやっているか?」

 どうにかできないかと頭を悩ませている中、珍しくお客さんが入ってくる。
 茶髪の長い髪の大学生くらいに見える女性で、綺麗な顔立ちをしている。

「えぇやっていますよ。いつものアジフライ定食でいいかい?」
「あぁそれで頼む」

 お婆さんが料理を作り始め、女性はボクのすぐ隣の席に座る。
 花のような香水の匂いがこちらまで漂ってくる。それほどまでに近くに居る。

「君もこのお店の常連なのかい? 寄元生人君?」
「ボクのことを知ってるんですか?」
「君は有名人だからね。いつも配信見てるよ」

 配信活動も始めて一年以上になる。今回のように街中を歩いていれば話しかけられることもしばしばある。
 アジフライ定食が運ばれてきて、彼女の食べっぷりは凄く食べ終わったのはボクと同じ頃だ。

「一つ私の忠告を聞いてくれるかな?」
「忠告? 何ですか?」

 彼女が財布を取り出し会計のために立つ直前。こっそりとボクの耳元に口を近づける。

「峰山には気をつけろ」
「はい? どういうことですか?」

 しかしその忠告とやらは理解が及ばないものだった。唐突にボクの恋人の名前を出され、気をつけろと言ってきた。
 彼女は説教する時こそ怖いがいつも優しくてボクの大好きで自慢の彼女だ。警戒することなどなにもない。

「君みたいな良い子にはこれ以上犠牲になってほしくないからね。じゃあまたどこかで」

 それ以上は何も情報を手渡してくれず、彼女は喫茶店を出て行ってしまう。
 それから夜まで適当に時間を潰し、事前に言われた通り峰山さんの部屋まで向かう。

「あのですね生人さん。女性だけの遊びに誘われた時は絶対に断ってください! 何されるか分かったもんじゃないですから!」

 そして何回目かの説教が始まる。ボクのために言ってくれているのは分かるのだが、それでも鬼のような形相のためどうしても萎縮してしまう。

「前にも言いましたが、生人さんみたいな小さな子はそういう趣味の人に狙われてやすいんです!」
「そういう趣味って……峰山さんみたいな人のこと?」
「っ……!!」

 何も考えずにふと口から漏れ出た言葉が峰山さんの中の何かを切る。
 彼女は説教をやめてボクのことを持ち上げベッドに放り投げる。

 うぅ……また怒らせちゃったのかな。このパターンは……気持ち良いけど疲れるしこの時の峰山さん本当に怖いんだよな……

 ボクの震えや意思など無視して、彼女はボクの上に馬乗りになり次にボクの両手を片手で掴み締め上げる。
 
「今回も遅くまで付き合ってくださいね。これはお仕置きですから」

 妖艶な顔つきで、ボクは為すがまま彼女に襲われるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

処理中です...