カードで戦うダンジョン配信者、社長令嬢と出会う。〜どんなダンジョンでもクリアする天才配信者の無双ストーリー〜

ニゲル

文字の大きさ
128 / 130
十章 罪と償い

122話 映画チケット

しおりを挟む

「うぅ……まだ腰が痛いよ」

 峰山さんにメチャクチャにされた日の次の朝。ボクは疲労と腰の痛みに悩まされていた。
 何千回も同じ動きをされて同じ場所に負担をかけられ、いくらボクが寄生虫の力があるといっても流石に堪える。
 でも朝になればいつも通り峰山さんは満足げな顔でボクを抱擁してくれた。

「でも喉もカラカラでお腹もペコペコ……何か食べないと」

 ボクは自分の部屋の冷蔵庫を漁り何かないかと探す。

「ん? 電話?」

 ボクは冷蔵庫を閉じ鞄に入れっぱなしのスマホを取り出す。表示されたのは非通知の三文字。
 誰だろうと思いながらも出ないのは失礼なので通話ボタンを押す。

「もしもし生人さん?」
「……誰ですか?」

 一瞬峰山さんと間違えそうになったが、よく聞けば声質が違うことに気づく。
 とはいえこの声に聞き覚えはない。

「あら、覚えてないのね。まぁ別にいいわ。
 私よ。峰山水希よ」

 その名前を聞いた途端声の主の顔が脳内に蘇ってくる。
 なにしろ最後に会って話したのは半年近く前で、その時でさえ少し話しただけだ。そのせいで先程まで誰か分からなかった。

「それで何か用ですか?」
「そうなのだけれど、今寧々はそっちにいるのかしら?」
「いませんけど……呼んできた方がいいですか?」
「いえいいわ。こっちの方が都合が良いしね」

 都合が良い……? どういうことだろう? 

 先日喫茶店で謎のお姉さんが言っていた峰山に警戒しろという言葉。あれは寧々さんに気をつけろということではなく、水希さんに気をつけろといった意味だったのではないかと勘繰ってしまう。
 とはいえまだ根拠も何もない。無駄に疑いたくはないので余計な考えは捨て去り耳を傾ける。

「この前はあの子に悪いことしちゃったと思ってね。近くに新しい映画館できたでしょ? そこのチケットを取ったから二人で遊んできてくれるかしら?」

 そういえば、この前行った喫茶店のある商店街とは真反対の方向に新しい映画館ができたという話を岩永さんから聞いたことがある。

「わぁ! ありがとうございます!」
「あと日にちは指定してあるから今度の日曜日にお願いね。映画代以外で、食事代とかショッピング代とか足りなかったら後で私個人からどれだけでも払うから」
「え? いや別にそこまでしてもらわなくても」
「いいからできるだけ長く寧々と楽しんできなさいね」

 一方的にそれだけ言うと電話は唐突に切られてしまう。
 どういうことかまだ説明を求めたかったが、水希さんは大手企業の重役だ。きっと忙しい時間を縫って連絡してくれたのだ。こっちから電話をかけるのは気が引ける。
 別に映画館のチケットをもらっただけなのだから大したことはないと思いスマホをベッドに放り投げ峰山さんの部屋まで向かう。

「おはよう峰山さん! ちょっと話があるんだけどいい?」
「あっ……おはようございます。昨日はその……すみませんでした。わたくしも怒りすぎましたし、今度からは気をつけます」

 峰山さんは顔を火照らせ持っていたグラスに入った水を一気に飲み干す。

「それで話というのは?」
「ちょっとあるツテで映画のチケットが手に入ってね、今度の日曜日に一緒に行かない?」

 きっと水希さんの名前を出したら彼女は断りはしないものの不機嫌になるのは目に見えている。ボクは言葉を濁らせ映画の件について伝える。

「映画館デートですか。そういえばしたことありませんですし、いいかもしれませんね」
「やった! じゃあ決まりだね!」

 こうしてボク達は今度の日曜日に映画に行くことに決め、それからワクワクしながらその日まで楽しみ、あっという間に日曜日になるのだった。
 その日の朝、映画館へ行く荷物をまとめ、三日前に届いた映画のチケットを財布に入れて部屋を出ようとする。

「うん? 電話?」

 しかし部屋を出ようとした時スマホが鳴り出し、ボクは鞄から取り出して名前を見て驚愕する。

「美咲さん……!?」

 通知欄には美咲さんの名前が表示されており、ボクは息を呑んで通話ボタンを押す。

「やぁ生人君。逆探知が怖いから手短に話すよ。君が初めて私の頬に口付けをしたところ、そこで待っているから一人で来てくれ」

 十秒も経たずに通話は終わり、何度掛け直しても電源を切っているのかコール音すら鳴らない。
 
「峰山さん……ごめん」

 何も分からないこの状況でも、ボクは微かな可能性に賭けてしまう。美咲さんがもしかしたら味方になってくれる可能性に。
 ボクはランストをすぐに取り出せるよう準備してから、峰山さんには急用ができたことをメールで伝え部屋を飛び出す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...