転生特典は女神様!? 食べる度に強くなり続けるボクの異世界冒険ライフ!!

ニゲル

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一章 女神様と異世界と

24話 失墜

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「待て……待てよ……逃げるなよ!!」

 ルディは怒りを薄めさせ焦りと動揺を濃くさせる。すぐに追いかけようとするがその肩はパティに掴まれる。

「待ってお姉ちゃん……里に戻らないと……!!」

「でも奴らはすぐそこに……」

「族長やベルタさん達が死んでもいいんですか!?」

「それは……」

 親の仇が目の前にいるのに、殺せる距離にいるのにもしそうしたらまた大事な人を失うことになる。

「迷ってる場合じゃない!! みんな戻ろう!!」

 ボクは率先して先に里へ戻ろうとする。

「クソ……ちくしょう……!!」

 ルディは悔しさに歯を噛み締めボクの後を追いかける。怪我人の男性はセリシアとリリィが肩を貸し、ボク達は魔族達を諦め里へ踵を返す。

「そんな……こんな数の魔物……」

 里は酷い有様だった。視界に入るだけでも百近い魔物が暴れており犠牲者が転がっている。中にはまだルディやパティより幼い子供の亡骸もあり顔から下はどこにも見当たらない。傷口の荒さから判断して恐らくその部位は……

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 ルディがこの光景を見るなりこちらの耳を壊す程の声量で絶叫する。瞬きした間に羽を展開させ次々と魔物を殺して回る。魔物は彼女の目の前に来た瞬間にはもう体が潰れ切り刻まれ、転がる亡骸以上の惨たらしい死が与えられる。

「お姉ちゃん……よくも……よくも……!!」

 パティも怒りを露わにして、涙を流し半狂乱で魔物に魔法をぶつける。

「魔物は二人に任せて……私は救助に向かった方が良さそうですね。後で合流しましょう」

 反面リリィは冷静そのもので、人の声がする方に駆けていき炎と煙の間に入り込み消えていく。

「お姉ちゃんは怪我人の手当てをお願い! ボクも一匹でも多く、一秒でも速く倒さないと!!」

 ボクも遅れず双子について行き仕留め損ねた魔物の首を切り落とし確実に無力化していく。だがあまりにも数が多い。魔物に対処している内に何人か他の魔物の犠牲になる姿が視界に入る。

「あぁぁぁぁ!! ウィンドバースト!!」

 女性の首元にまさに今喰いつこうとする狼の魔物に対してルディが閃光の如き速さで急接近する。手に溜めた魔力の塊を奴の頭部に押し当て一気に力を解放させる。そして奴の頭部は跡形もなく消し飛びどこに飛んでいったか分からないほど果てない距離に消えていく。
 
「これ……数減ってる?」

 あまりにも多い魔物に永遠に終わらないのではないかと疑問が過ぎるが、そんなことはなくしばらくすれば数は減っていきやがて周りから争う音はなくなり静まり返る。

「クソ……まただ……また守れなかった……アタシは……!!」

 迅速に対処しセリシアも治療を行い被害は最小限で済んだはずだ。しかしそれでも犠牲者は0ではない。それにその中にはルディとパティの親しい間柄の人も居ただろう。
 
「完全にやられた……」

 二人にかける言葉など見つからない。最善を尽くした筈だが相手の方が上手だった。何を言うべきかまだ悩んでるというのに二人は羽撃きのストロークを下げ下降してくる。
 
「二人とも……」

 必死に言葉を探し投げかけようとしたが二人が突然視界から消える。一瞬目を瞑り開けたら空中から消えていた。

「えっ……?」

 間の抜けた声を出すがそれを掻き消すようにドサりと重い音が、地面にぶつかる音が二回響く。足に伝わる生温かい液体。より鮮明に近くからする鉄臭い匂い。

「ルディ……? パティ……?」

 返事はない。代わりに足元から呻く声が聞こえる。ゆっくりと……恐怖と向き合い足元を見る。血の池の中に背中から多量の血を流し、羽を失った二人の姿があった。

「やった!! やっと手に入れたぞ!!」

「あぁよくやったベーラ!!」

 少し離れた所にいつのまにかあの姉妹の魔族が居た。手にはたった今二人の背中から引き千切ったと思われる羽が握られている。無邪気な子供のように喜び、人の体の一部をまるで勲章かのように誇らしげに掲げる。

「もうここに用はないね。指示通り余分な分も回収したし帰ろう」

「そうだね姉さん。あたし達の家に……帰ろう」

 もうこちらに敵意はなく、ボクのことも無視してこの惨劇の場から足早に走り去る。

「二人とも……そんなこの傷……」

 セリシアが悲鳴を押し殺し高い声を上げる。ルディとパティの背中の傷は無理やり千切られたせいか深く、早く血を止めないと命が危ない。

「冥矢君……二人は私が治すから他の人を……」

「ちょっと行ってくる……」

 ボクはルディとパティをセリシアに任せ奴らが逃げ去った方向へ駆け出す。

「冥矢君!? 待って!! 行っちゃだめ!!」

 奴らにもうこちらを襲う気はない。合理的に考えればもう無視して里の人達を助けるべきだ。でもボクは我慢できなかった。あいつらを野放しにすることが。何の裁きも与えられないことが。
 唯一鳴り響くボクへ向けた悲鳴を背に受けながら魔族二人を追いかけるのだった。
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