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二章 矛盾
31話 まだ成長はあります!
しおりを挟む「うふふ……」
宿の一室に入ってからパティの様子がおかしい。メイヤから貰った髪飾りをずっと見つめて小さな笑みを浮かべている。アタシに見せたことのない表情だ。
「ねぇパティ。もしかして……メイヤのこと好きになった? 異性として」
「えっ!? そ、そんなこと……ないです……よぉ……?」
嘘を隠すのが下手すぎる。寧ろこれを見抜けない人がいたら賞金をあげたいくらいだ。
「あいつ悪い人じゃないと思うけど、流石に恋に堕ちるには速すぎない? まだ出会って十日とちょっとでしょ?」
「だ、だから別に恋だなんて……」
「あーはいはいそういうのいいから。アタシもあいつのことはまぁ……嫌いじゃないけど、ちょっと不審なところもまだあるっていうか……」
「不審……? メイヤさんは良い人ですよ! 初対面のあたしのお願いを健気に聞いてくれましたし、自らの命を顧みずあたし達の両親の仇も取ってくれましたし」
正直パティの主張はアタシも概ね同意だ。里を救ってくれたことには感謝しているし、その恩はこれから返していきたいと思っている。仇を取ってくれたことも、アタシ達の無念を果たしてくれて、この借りは一生をかけてでも返すつもりだ。
「そうだけど……やっぱりあいつは襲ってきた二人組の魔族と同じ気配がするんだよ」
「またそれですか……人間に化ける魔法を解除した際に感じた気配と似ている……でしたよね?」
「うん……そのことがずっと引っかかるんだ」
「偶然じゃないんですか? メイヤさん自身もあのスキルに関して分からないことが多いって言ってましたし」
パティの主張には筋が通っている。人間に化ける魔法も、メイヤの《喰らう者》も自身の肉体に変化を及ぼす効果だ。なのでそれが原因の可能性が一番高い。
でも、それだけじゃない気がするんだよな……
心の奥底で渦巻くこの感情が分からない。恩を感じ信頼を寄せる自分と、どこか疑ってしまう自分。
「ん~じゃあこの話終わり!」
矛盾した自身に嫌気が刺しもう考えるのをやめる。やっぱりアタシはあれこれ考えるより直感に頼る方が性に合っている。
「話戻して……もしメイヤがあんたのこと好きって告白してきたらどうすんの?」
暗い話をやめアタシは妹の恋バナへ舵を切る。
「こ、告白だなんて……そんなことあるわけありませんよ……えへへ……」
そうは言うもののパティは明らかにそれを期待する乙女の顔になっている。
「アタシが言えたことじゃないけど……すぐ顔に出す癖治した方がいいよ。姉としてのアドバイス」
「うっ……やっぱりそういうのをがっついてるって思われるのってマイナスですかね……」
「うーん正直あいつの好みとかまだ分かんないしなぁ……まぁでもパティにだけ髪飾り渡すくらいだし、今の時点でもパティのことは気に入ってるんじゃない?」
「そ、そうですかね……えへへ。嬉しいなぁ」
無垢な笑顔を浮かべる我が妹にアタシのいたずら心が少し……いやかなり刺激されてしまう。
「そーいえばこの前セリシアからこっそり聞いたんだけど、メイヤって胸は大きい方がタイプなんだって」
「えぇ!? だ、だってあたしが今日聞いた時はそういうことは考えたことないって……」
「アタシ達にはまだ恥ずかしくて言えなかったんでしょ。生まれた時から一緒に居る姉にだけには打ち明けていたみたいだけど」
パティは目に見えて焦り出す。自分の胸を何度も触り、その小ささに肩を落とす。まぁアタシ自身もパティと大きさは変わらないが。
「いや~でもいつも隣にいるのがあのセリシアだからなー。あれよりかは大きくならないと見向きされないんじゃない?」
「あ、あれより……」
セリシアの胸はアタシ達とは比べ物にならない程大きく豊満だ。悔しいが。アタシ達どころか女性全体で見てもかなり大きい部類に入るだろう。
「あっそうだ! 知ってる? 胸って揉まれると大きくなるらしいよ」
「え、えぇ!? そうなんですか!?」
「うん……だからアタシがマッサージしてあげる!」
アタシは妹のベッドに跳び移り後ろに回って小さな胸を揉み上げる。
「あっ、ちょ、ちょっとくすぐったいですよ!」
「むっ、何か前より膨らんでない……? もしかしたらアタシより……うぐぐ……!!」
妹の癖に生意気にもアタシよりも若干大きい。それがスイッチとなりアタシの手は動きを加速させる。
「きゃっ! ちょっ、ちょっとお姉ちゃん!!」
それから揉み返されたりもみくちゃになり、そのままアタシ達は疲れ果てて一緒のベッドで寝てしまうのであった。
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