転生特典は女神様!? 食べる度に強くなり続けるボクの異世界冒険ライフ!!

ニゲル

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二章 矛盾

35話 霧の村

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「えっと、君は誰か……」

「待て冥矢」

 話しかけようとしたがトールさんがボクの前に手を割り込ませる。

「お嬢ちゃん。君はどこから来たのかな?」

「ワタシ? ワタシはミリューって言ってすぐそこの村から来たの! 散歩してたら迷っちゃって」

「へぇ……なら案内してくれるかい? その村に。オレ達遭難しちゃってさ」

 トールさんは明らかに怪しんでいる。魔族は人間に化ける術を持っている。そのことがある以上疑うのは当然だが、こんな小さな子を疑うのは流石に気が引ける。

「うんいいよ! こっちだよついて来て!」

 懐疑の眼差しを受けようがミリューは表情を曇らせず笑顔で手招きする。だかボクにはその笑顔がどこか不気味な、獲物を狙う獣のように見えてしまった。
 しかし何が起こるというわけでもなくボク達は村に辿り着く。

「村……? 私が地図を見た時はここら辺にはなかったはずですが……」

「外に出ず縮こまって暮らしてるから。そのせいで同年代の友達がいなくて寂しかったんだ! だからみんなが来てくれて嬉しいよ!」

 ミリューの顔がここからでも見えるくらい霧は薄くなったがそれでも完璧には晴れない。

「ねぇミリュー。ここっていつもこんな霧が出てるの?」

「ううん。ここ一ヶ月ぐらい何か霧が増えてて……あっ! それよりワタシのお屋敷に案内するよ!」

「お屋敷……?」

「うん! お屋敷!」

 数分後ボク達は五階建ての、民家と一線を画す建物に辿り着く。
 
「ようこそワタシのお家へ!」

「えぇ!? こんな大きな家に住んでるんですか!?」

 パティが驚くのも当然な程大きく広い屋敷だ。装飾も高価な物になっており、ボク達はそれに圧巻されてしまう。

「ほら入って入って!」

 ミリューはテンションを上げボク達を屋敷の中へと連れ込む。内装も豪華でレッドカーペットが隅まで広げられている。階段の上にあるシャンデリアは金で出来ているのか綺麗な光沢を放っている。

「この村にここまで資金があるものなのか……?」

 壮観するボク達とは違いトールさんは相変わらず疑いを取り下げない。

「死んだお母さんが言うには昔家は大富豪だったんだって。今はそれを維持してるだけらしいよ。ワタシやメイドさんが毎日綺麗にしてるんだ!」

「へぇーメイドさんなんているの?」

「うん! おーい! メイドさーん!」

 通路にある一室の扉が開く。中からメイド服を着た女性が表情を変えずにこちらまで歩いてくる。

「どうかなさいましたか?」

「この人達ワタシのお友達なの! だからおもてなしの準備をしてあげて!」

「はい分かりました」

 ある意味真面目なのだろうが、嫌な顔どころか反応一つ、質問すらしないで淡々と仕事に向かう様子からは生気を感じさせない。メイドさんはすぐに調理室へ履けて行く。

「あの人だけでここの掃除とかしてるの?」

「いや? 別の子達も居るけど呼んできた方がいい?」

「いや別にいいよ。仕事の邪魔させるのも悪いし」
  
 "子達"……?

 発言に若干の違和感を覚えるものの、ボク達は手厚く歓迎され温かいお風呂やふかふかなベッド付きの豪華な客室が用意される。
 
「ではごゆっくり……よろしければミリューお嬢様の話し相手になってあげてくださいね」

「う、うん……あっ、トールさんっていう……黒髪の人ってどこの部屋か分かる?」

「はいちょうどこの部屋の真上ですね。案内しましょうか?」

「あれ……? いや大丈夫。それくらい自分で行くから」

「では三時間後に夕飯ですのでそれくらいになりましたら一階までお願いいたします」

 メイドさんは丁寧な、それでもって相変わらず表情一つ変えず機械のように対応し部屋から出て行く。

 ……何であのメイドさん他のメイドさんに案内されたはずのトールさんの居場所がすぐに分かったんだろう……事前に決めてたのかな?

 深くは考えずボクはトールさんの部屋まで向かい扉をノックする。

「おう誰だ? 入っていいぞ……って冥矢か。何か用か?」

 トールさんは椅子に座り窓に肘掛け外の様子を観察している。村の人々を見ているのか眼球が少しずつ動いており、時々わざと視線を切ったり不自然な行動をしている。

「あっ、でも扉は閉めてな。きちんと」

「え? はい……」

 ボクは言われた通り音が外に漏れないくらいしっかり扉を閉める。トールさんはそれを確認するとカーテンを閉めて外からの視界を完全に遮断する。

「何の用だって言いたいところだが……こっちから用件先に伝えるぞ」

「用件……? まぁボクは特に何も考えてこなかったですからいいですけど、何ですか?」

「この村当たりだ。ほぼ確実に魔族が絡んでやがる」

 トールさんは期待に口角を上げそう言い放つのだった。
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