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二章 矛盾
46話 立て直し
しおりを挟む「うぅ……」
爆発に巻き込まれた後私は自身に治癒魔法をかけながらなんとか起き上がる。
「大丈夫二人とも!?」
まず飛び込んでくるのは血塗れのルディちゃんとパティちゃんの姿。私はすぐさま治癒魔法をかけにいく。だがその眼前に突如ナイフが入り込んでくる。ここは敵地。いつどこで敵が飛び出してくるか分からない。煙の向こうからメイドが一人飛び出してきた。
「しまっ……!!」
しかし次に鳴る音は私の悲鳴ではなく耳を劈く破裂音だ。メイドの頭の上半分が吹き飛び前のめりの体勢のまま倒れる。
「はぁ……はぁ……そっちの二人が終わったらこちらも頼めますか?」
リリィちゃんが話に聞いていたより二回り大きい、ライフルのような銃を構えていた。二人ほどではないが頭から血を流しており爆発によるダメージはかなり大きい。
私は急いで両手を使い二人に治癒魔法をかける。その間にも何体か死体が来るがそれはリリィちゃんが対処してくれる。
「うぅ……助かったよセリシア。さっきはその……」
「そんなことより辺りを警戒して! 早くリリィちゃんも治さないと!!」
病み上がりで悪いが二人をリリィちゃんと交代させて辺りを見張らせる。その間に彼女の手当てを始める。
「すみません……私じゃミリューとは相性が悪くて……」
リリィちゃんの攻撃は銃に魔力を込めて撃ち出すものだ。しかしミリューはその攻撃に武器などを当てるだけで容易に致命的な一撃となるカウンターを入れられる。相性は最悪だ。
いやそれだけではない。ルディちゃんとパティちゃんも有利とは言えない。二人も魔法を主軸として戦う。そこを突かれたらまともに戦えない。
やっぱり動きの速い冥矢君か痛みに耐性があるトールさんが居ないと……
あの二人は爆発に巻き込まれた際にどこかに飛ばされてしまった。私達より数倍頑丈な二人なのでそれで死んでいることはないだろうがそれでも心配だ。
冥矢君……生きてて……!!
「ありがとうございます。とりあえずは戦えそうです」
「うん……みんな無茶しないでね? 治癒魔法で怪我は治せるけど痛みは完全には消せないから」
治癒が終わったら私はもうただの一般人同然だ。後ろに下がって応援することしかできない。
「とりあえず後ろは魔法で床壊して来れないようにしといたからそっちに集中して! もしもの時は窓から飛び降りて! アタシの魔法でクッション作るから!」
「一応跳び越えられないように岩の壁も作っておきます!!」
二人も回復し次第キビキビと動いてくれるため、窮地に立たされた状況から一気に落ち着けるまで立て直せる。
「とりあえず部屋に入ってください! パティさんは周りにバリケードを! あと部屋にみんなが入ったら扉と窓付近にはより厚いものを!」
「はい!!」
私達は近くの部屋に敵がいないことを確認してから入り込み、リリィちゃんの指示の元的確に安全な空間を作り出す。
「怖かった……とりあえず一息ですね」
「痛てて。流石に休まないとあの魔族とは戦えないな」
二人はあの魔族から一撃もらっている。このまま連戦させるのは酷だ。
なのに私は無傷で……
「今の内に作戦を立てましょう」
リリィちゃんが壁に貼ってあった屋敷の案内図を剥がし机まで持ってくる。
「まずこことここは通れなくなってますね」
ペンを取り出し廊下の複数箇所にバツ印をつける。爆破された場所やルディちゃんが破壊した所だ。
「とりあえず体力が回復し次第屋上を目指しましょう。そこにミリューが居る可能性が高いです」
ミリューを殺せばあの死体達も動かなくなるはず。いくらここで休めるといっても体力には限界がある。それが一番現実的だ。
「冥矢君達と合流するのは? 冥矢君かトールさんどっちかいれば勝算が……」
「メイヤはダメだよ。どうせまた見逃そうとする」
ルディちゃんが歯を食い縛り拳を強く握る。もし今ここに冥矢君が居たら間違いなくもう一度殴り飛ばしたであろう。それほどの気迫だ。
「あの……セリシアさん」
ルディちゃんにかける言葉が見当たらず何も言えずにいるとリリィちゃんの方から話しかけてくる。
「その……メイヤさんが地球から来たとおっしゃってましたが……まさかあなたも?」
「いや……それはその……はぁ。ここまで来たらちゃんと言うべきよね。仲間なんだから」
もう隠し事はできない。私は意を決して全てを打ち明けることにする。
「私は地球人ではないわ。私は……女神なの。元だけれどね」
私は背中から翼を出現させこの部屋いっぱいに広げる。ふわふわの羽が数枚部屋に落ちその内の一枚がパティちゃんの頭に乗っかる。
「うわ……ふわふわでツヤツヤ……」
「ま、まぁ翼は良いとして……これで信じられるでしょ?」
私は翼をしまう。三人も疑ってはいないようで、私の方も女神であることをカミングアウトしても特に身体に異常はない。もう人間の体である以上そういう制約とかはなさそうだ。
「それで冥矢君がこの世界に来ることになったのは……私のせいなの」
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