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先生、好きです。
第12話
しおりを挟む思わず、ドキッとした。
背後に立つ先生の温もりが感じられて、胸が、心臓が早鐘を打って、身体が急激に熱くなる。
「お前は十分頑張ってるからな。
気を張り詰め過ぎずに勉強頑張れよ」
「は……、はい」
「──はい、帰った帰った!」
「え!? ちょっ!? 徹先生、今のな──」
「頑張ってるご褒美。
あと、一人の先生として応援してることを伝えたかっただけだ」
深い意味はない、そう言いながら徹先生は私を追い出すと、扉をピシャリと締めた。
鍵を締めたわけじゃないから中には入れるだろうけど、(頭を)抱き締められたことに私も顔を合わせられる自信がなくて、その場で声を張り上げた。
「徹先生、ありがと! 私、頑張るからね!」
それだけ伝えて昇降口へ走って行く。
下駄箱まで来ると、深い溜め息をついた。
…………はぁぁぁぁ!
すごかった!
やばかった!
すごいドキドキした!
今もドキドキしてる!!
────アレなに!?
後ろから抱きしめられるなんて思ってもみなかった。
しかもちょっとだけ、頭を撫でてくれた気がする……。
あぁぁぁぁ!
心臓が止まんない!
顔と身体も火照ってるよぉ……!
“お前は十分頑張ってるからな”
“気を張り詰め過ぎずに勉強頑張れよ”
頭の中で徹先生が言ってくれたことを反芻する。
何度も…
何度も…
何度も──
受験当日まであと数十日しかないけど、当日の数時間に向けてやれるところまで頑張ってみよう──。
私は生徒玄関に来て靴に履き替えた。
その時になって、雨だったことを思い出す。
「あ、
──雨やんでる」
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