12 / 33
先生、好きです。
第11話
しおりを挟むきっと迎えが到着した連絡だろう。
そう思って「迎え来た?」と聞くと莉奈は携帯をみながら頷いた。
「来たみたい。 わたしは帰るわね」
「うん! 迎え来てもらえて良かったね!」
「えぇ、付き合ってくれてありがとね」
「いいえー!」
それからまたねと交して図書室の前で別れると、これからどうするかと私考えた。
私の両親は共働きだからなぁ。
やっぱり職員室に行って傘を借りて来ようかな。
それしか帰る方法ないし。
…………なんでだろう。
「会いたいな……」
徹先生に会いたい。
前のことを思い出しながら話してたからか、なんか胸の辺りがもやもやする。
思い切って私は身体の向きを変えると、保健室へ向かった。
扉をノックして中に入ると、徹先生が机に向かって何かを書いている。
「なんだ筒見か」
「日向先生はいないんだ?」
「あぁ。 日向先生に用事か?」
「ううん。 徹先生にだよ」
「俺か……。 それで?」
「えっと……」
会いたくて来たものの、言い訳を考えてなかった……。
「──あ! 一人だとあまり捗らないので勉強教えて下さい!」
本当はただ会いたかっただけど、そう言ったら怒られそう。
「……お前なぁ」
「良いじゃないですかー!
受験生の勉強手伝って下さいよー」
「講義料、安くねーからな」
「やったー!」
まさか二人きりで過ごせるなんて!
会いに来て良かった。
あと、勉強を口実にして良かった……。
徹先生が机を片付けると近くから椅子を持って来て横に置いた。
その椅子に私は座わり、愛用している参考書を出す。
「それで何の教科だ?」
「先生って他の教科も教えられる?」
「まぁそれなりにな、俺を舐めるなよ」
「舐めてないよ!
勉強出来る先生のこと、カッコイイって思ってるもん」
「そんなこと言うと疑いたくなるんだよ……」
「ちゃんと本心です!」
「はいはい。 ほら、どこだよ」
「ここ!」
私はこの前間違えた問題を指した。
徹先生は解説書の文を読むと、あぁなるほどと言って教えてくれた。
保健室に二人きりと云う状況は、すごくゆっくりに感じて、緊張するけど穏やかな楽しい時間だった。
そして、あっという間に1時間は過ぎて、壁に飾ってある時計は6時近くを指していた。
「今日はここまでな、帰って寝ろ」
「はーい! 徹先生、今日はありがとう」
「どーいたしまして」
先生の教え方って本当に分かりやすいなぁ。
養護教諭って云うのがもったいないくらい。
でも、普通の先生だったらこんな風に付き合ってもらえないだろうし、養護教諭の立場で良かったのかも。
「先生、また明日も来て良い?」
「……まぁ、俺でいいなら」
「先生が良い!」
「──フッ、そうかい」
やったー!
ガッツポーズを決めて喜ぶ私に、徹先生は呆れたように笑った。
「お前ってホントに意外性るよな」
「意外性……?」
「いや、やっぱり何でもねぇ。 ほら、とっとと帰って寝ろ」
「えぇ、内緒にされたら余計に気になるじゃん!」
「気にしなくていい」
「焦らすなんて先生の鬼畜ー!」
「それでもお前は俺が好きなんだろ?」
「もちろん!」
すかさず頷くと、先生は黙って頭を抑えた。
「……少しは引けよ」
「にひひ!」
どんなところも私にとっては魅力的で。
きっと新しい一面を知って行く度に好きになるんだと思う。
私は勉強道具を鞄の中にしまうと、帰り支度をしていた。
すると突然、徹先生が後ろから頭を抱き寄せて来る。
────え!?
0
あなたにおすすめの小説
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
短編集
かすみ
青春
気まぐれに書く短編集
短編というか、いろいろな場面を集めたようなもの。
恋愛メインになるかも。
何もわかんない人が書いてます。あたたかい目で見ていただけると嬉しいです。
いつかこのひとつの場面から短編でもいいからちゃんとオチまで書いてみたいなって思ってます。
とりあえず思いつくのと書きおこすのに時間がかかるのでひとつの場面、として公開してます。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる