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先生、好きです。
第10話
しおりを挟む高校入り立てで初恋をした私は、漫画みたいな恋に憧れて、現実もそうなんだと思い込んでいた。
好きになった人と一つのことを二人でやり遂げで、ハッピーエンドで終わるんだと、そう思ってたのだ。
だけど現実は違う──。
綿菓子みたいに身体が軽くなって、胸が温かい気持ちで溶かされていくような気持ちは確かにあった。
けど、振り向いてもらえないことがこんなに胸を締め付けて、無性に泣きたくなるものとは知らなかった。
今なら何でも出来ると思ったことも、やっぱり私じゃ無理なんだって、メガティブ思考に堕ちてしまっていた。
それでも、やっぱり好きだから──。
自暴自棄陥っていた私は、周りから何を思われても良いやと、バカな行動に移してしまった。
身体を使ってでも誘惑してやるつもりで、あの日、保健室にいた徹先生に迫っていた。
そこに鉢合わせたのが莉奈だった。
当時の莉奈は、結局相手にしてもらえなかった私を睨みつけ、正論で傷を抉って来ては塩を塗たくっててくるような同級生で。
そんな限界だった私は────。
思わず泣いたね。
嗚咽も鼻水も出すだけ出して、子供みたいに拗ねまくったわ。
そしたら莉奈ってば、慰めずにまた腐っていた部分を的確に抉って来るし。
精神的に応えたなぁ……。
良く保ったと自分を褒めたいくらい。
まぁおかげで憑き物が落ちたように自分を客観視出来るようになったワケだけど。
すると莉奈も完全に手を止めた。
「それよ。 そんなに好きなのにわたしの言うこと守って、適度な距離で話してるじゃない?
節度も守ってるし、周りのことも考えて行動するようになってる」
それはりゃまぁ。
拗ねまくったあと、莉奈と友達になって、恋のキューピッドになってくれる約束をしたのだから、莉奈の言うことを守るのは当たり前だろう。
特に念押しされたことは、気を配りながら、気をつけながら行動してきたのだから、適度な距離が感じられるのは、莉奈が言ってたことは正しかったってことになる。
「だから私は応援し続けてるけど、正直に言って意外だったわ。
柚乃は途中で挫けるかと思ってた」
「うーん……。 なんて言うのかなー」
3年間過ごして来て不安になった時は何度もある。
だけど、挫けそうになったと言えば莉奈と出会った頃の方がよっぽどそうだ。
「もともと莉奈と出会ったあの時に、諦めてた部分もあったからさぁ。
誰かと一緒に考えて、それで少しでも振り向いてくれたことが何より嬉しいかったんだよね。
それで頑張れてるって感じ?」
多分、一人じゃなかったのが一番の理由なんだと思う。
初対面で泣きじゃくって見捨てても良かったのに、莉奈は一緒にいてくれたから……。
「まぁあの時、名前も知らなかった人から色々言われた時は腹が立った部分も正直あったけど、ド正論だったし。
この際何でもいいやって感じだったんだよね、あの時。
それで莉奈のことも巻き込んじゃえと思って無理矢理、友達同盟を結ばせワケだけど……。」
「そうね、ホント見事に巻き込んでくれたわよね。
わたしもどうしてあんなことを言っちゃったのか……。
後悔したことは一度や二度じゃなかったわ……」
「──ブッ、あはは!
莉奈が恋のキューピッドになってくれて助かってるよ! いつもありがとう」
「どういたしまして。
言っておくけど、別にわたしは恨んでないからね。
わたしはわたしで柚乃と一緒にいながら楽しんできたから」
…………。
「私と会えて良かった?」
「良かったわよ。
言うことを聞く姿は面白いと思ったし、友達になってくれたのは素直に嬉しい」
「あはっ、私も友達になってくれて嬉しかった」
私と莉奈は笑い合うと、莉奈の携帯が震えて音楽が流れた。
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