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先生、好きです。
第9話
しおりを挟むそれから浸すら問題を解くことに集中していると、莉奈の問題が解き終わったのか席に戻っていた。
着席する前に莉奈が徹先生に言う。
「先生、何気に教えるの上手いですね。
ありがとうございました」
そんな莉奈のセリフにクラスメイトのみんなが顔を上げる。
おぉ、さすが先生!
莉奈から認めてもらえるなんてすごい!
「莉奈ちゃんが認めた!?」
「マジで!?」
生徒の間では頭が良いことで有名な莉奈に、教えるのが上手いと言わせたことで、一斉にクラスメイト全員が徹先生に関心を寄せ始めた。
そのことが自分のことの様子に嬉しくて、頬が緩みニマニマしてしまう。
「お、オレも教えて!」
「わ、私も!」
急に人気者になった徹先生は、予想もしてなかった状況に困惑していて、身を乗り出して挙手する生徒をなだめていた。
その様子を私は微笑ましく思い。
問題を解いては小休憩を挟む度に、先生の姿を何度も見つめていた。
授業が終わる頃には有意義な時間を過ごせたことにクラスメイトは満足し、徹先生はやつれた顔を見せている。
「先生、おつかれ様!」
「お、おう……」
おぉ、経った1時間でこの疲れよう。
久しぶりの教師の立場に疲れたんだなぁ。
「これあげるから、あとはゆっくり休憩してね!」
「……なんで菓子なんだよ」
「疲れた時は甘いものでしょ?」
「そうだが……」
しばらく受け取るか迷っていると、後ろから啓太がやって来て「もらってる先生いますよ」と後押しをした。
その後ろからやって来た莉奈も頷いている。
「担任の誕生日は、紙袋いっぱいにしてますからね」
二人して説得してくれたおかげか、先生は頭の後ろを掻くと、私の手から小袋のチョコレートを貰ってくれた。
「……ありがとな、筒見」
「えへへ、どういたしまして」
はにかむように笑うと、すかさず二人が先生にツッコミを入れる。
「先生。 お菓子は良いですけど、生徒はダメすよー?」
「…………」
「もう良いですよね。
ありがとうございました、保健室へお戻り下さい」
「なんなんだこの生徒たちは……」
正直、まだ話してたい気持ちはあったけれど。
二人が忙しなく先生を帰らせるのを止めず、私は手を振って徹先生を見送った。
途中でその手を啓太に叩かれ、怒ろうとする私を莉奈が次の授業の為に急かして来て、私たちはいつもの日常へと戻っていった──。
✻ ✻ ✻
翌日の放課後_
突然の雨で傘がなかった私と莉奈は図書室で迎えが来るのを待っていた。
「───」
「───」
お互いに何も言わずに宿題や受験勉強を進めていると、私は集中力の限界が来て伸びをする。
「お腹空いたー」
「お茶でも飲んで気を紛らわせば?」
「紛れなかった」
「そう、なら我慢ね」
朝の時にお菓子買って置けば良かったなぁ。
体育であんなにお腹空くとは思わなかったから油断した……。
机に突っ伏していると、突然莉奈から話しを振って来た。
「柚乃ってさ、あれから本当に変わったよね」
「うん、私? あれからっていつ?」
「入学してすぐの頃。 保健室で初めてわたしと会った時」
「あぁ……!」
「色仕掛けして先生を口説いてたじゃない?」
「そりゃあの頃すでに、先生のことが大好きだったからね」
私が徹先生を好きになったのは高校に入学してきて直ぐだ。
入学式の頃からずっと好きだった。
けれど最初の告白は断られ、それでも折れずにほぼ毎日のようにアピールしまくっていた。
まぁ今の現状でも分かるように、全敗してるんだけど……。
莉奈と出会ったのは、ちょうど入学してから3ヶ月後の時だった気がする。
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