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先生、好きです。
第8話
しおりを挟む「顔赤くしてる場合じゃないからなー」
「ウッ──!」
私の方見てもないもないのに言い当てて来た!
なんか悔しい……。
いつも私が仕掛けて照れた先生を揶揄うのが日常なのに。
形勢逆転されそうだ。
「ほら、続けるぞ。
──そうだ。 最後は計算していって」
「……解けた!」
「正解だ」
問題が解けたことに喜んでいると、先生も笑って喜んでくれた。
その時になって私は改めて思った。
徹先生って塾のバイトするくらいだから先生になることが本当に好きだったんだろうなぁ。
それがナゼ、保健室の先生になってるのかが謎だけど……。
そんなことを思っていると、徹先生は参考書を見てある問題を指さした。
「この問題も同じような解き方だから解いてみろ」
「はーい」
まぁいっか。
先生には変わりないんだし。
きっと些細なことだよね。
「ふふーんふんふん♪」
「一問解けただけで調子のんなよ」
「えへへ! ──先生どう!?」
「……お、お前って実は頭良かったのか?」
「えっへん! 高1で一気に30点上げた私を舐めないでよね!」
「それは威張ることじゃねぇわ」
えー!?
すごいことだと思うのになぁ。
先生と楽しく話していると、莉奈が手を上げて会話に割り込んできた。
その時になって時間が大分経っていたことに気づく。
「先生、私も見てもらっても良いですか?」
「あぁ、良いぞ」
5分以上も先生と話してた。
勉強見てもらってただけだけど、一人占めし過ぎたかな!?
そろそろ大人しく席に戻っておこう。
「先生、ありがとうね」
「あぁ。 勉強頑張れよ」
去り際に先生から応援してもらって、元気に返事を返すと私は啓太の席へと戻った。
先生から応援してもらえた。
嬉しい……!!
机からルーズリーフの紙を取り出して参考書の続きを解いて行く。
「おい……?」
「なんですか?」
「なんですかじゃなくて、お前の席は後ろだろうが」
「そんな些細なこと気にしないで良いんですよ」
「些細だぁ……?」
「先生、この問題を教えて下さい」
「…………」
莉奈ナイス!
ありがとう!
「……分かった、分かった」
うふふ。
上手く席替え出来て良かった!
はぁ、徹先生をこんなに近くで見られるなんて。
幸せだなぁ。
莉奈に教えている徹先生の姿をしばらく堪能すると、怒られる前に切り替えて違う問題を解き始める。
そして3問くらい解いたところでまた顔を上げた。
そしてまた問題を進めようとすると、徹先生と莉奈が勉強意外の話しをしだしたのき気づいて無意識に聞き耳を傾けていた。
「──甘く見てたな。 あの時注意しとけば良かった」
ふふん。してやったりね!
「そうですね。 最近、先生は柚乃に甘いと思います」
あはは!
莉奈ってばまた先生に説教してる。
「そう思うなら止めてくれ」
「……それは無理ですね。
それより先生、真面目に教えて下さい」
「梅原は手厳しいなぁ」
「私はあの子と違って、真面目で優等生なので」
莉奈よ、それは少しひどい……。
「自分で言うか」
「言いますよ。 事実ですので」
そうなんだけどね……。
別にさっきの会話で“頭良いんだよアピール”が出来たから良いんだどね。
私だって莉奈さまからのお墨付きが欲しいよー!
──て言うか。
前から薄々感じてたけど、以外と二人って仲が良いんだよね。
性格は真逆なのに。
最近は偶に二人で何かを話してるし。
一体何を話してるんだろう。
チラッと二人を見ると、徹先生と視線が合い注意された。
「おい、筒見。 こっち見てないで勉強に集中しろ」
素直に「すみませんでした」と謝って、勉強に集中する私。
先生に怒られた私は、内心喜んでいた。
先生、私のこと見ててくれた。
好きな人の視野にちゃんと映ってるなんて幸せだな。
よしッ、やる気出て来た。
このまま頑張ろう!
応援ありがとうございます!
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