忘れられた青年(仮タイトル)

剣斗

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第一章 忘れられた青年

プロローグ

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――西暦2001年1月1日00時00分00秒。21世紀に入った瞬間に、この世界は変貌した。

 その日世界中に出現した『ダンジョン』は、世界中に大きな影響を与えた。最初は全国が放置していたが、ダンジョンからモンスターが溢れ出す『迷宮災害』が、各地で起こってしまった事により、放置はできなくなった。

 そこで、国際ダンジョン規定18歳以上の人全てにダンジョンを開放。ダンジョンを探索する者のことを『探索者』とし、探索者とダンジョンそれぞれにランクを設定することで、死亡率を減少させた。

 また、国連に新しい機関が追加され、全世界に支部を設置。モンスターが落とす魔石やドロップアイテムの買い取りを始めた――

――これが、2030年現在、周知の事実となっていることである。


柊羽しゅう、明日日曜日だから、ダンジョン一緒に行こ!』

「……誕生日ぐらいゆっくりさせてくれん?」

 高校3年の秋。幼馴染である紫苑しおんからの唐突な電話で、ダンジョンに行こうと誘われた。明日は11月10日。俺の18歳の誕生日だ。つまり、ダンジョンに行けるようになる日でもある。

『いいじゃん、誕生日プレゼントあげるからさ!』

「そういうのはサプライズで渡すもんだろうよ?」

 初めて見たよ?事前に言ってくる人。誕生日前日の楽しみを返してくれ……いや、紫苑以外からもらえることはないんだけど。それでもそういうのは気になるものなんだ。

 なお、誕生日プレゼントをもらってはい終わり、というわけではなく、毎回しっかりと返している。俺の誕生日のほうが1ヶ月半遅いため、俺がはじめにもらって、来年には俺がお返しにあげて、またもらって……が延々と続いてる感じだ。

 正直、そろそろやめたい。毎回どんな物がいいか考えるのが地味に面倒くさいんだ……紫苑に言ったら絶対にへそを曲げるから、言わないけど。

『どうしてもいかないというのなら、柊羽がこっそり書いて、ネットに投稿してる小説のURLをクラスチャットで公開するよ?』

「わかった。行くからそれだけはやめてくれ……いや待て、お前なんでそれを知ってる?」

 いや、いつもどおりのことなのだが。。俺が隠しているはずのことを、こいつはなぜかほぼ知っているからな。

 本当に、どこからこういう情報仕入れてるんだか。仕入れどころさえわかれば、少しは対策できるのに。聞いても「秘密~」としか言わないんだよな。

 俺は紫苑が隠していることをほぼ知らないというのに。不公平な話だ……

……まぁ、一番大きな秘密だけ隠し通せれば、俺はいいのだが。知らないようだし、多分隠せてるだろ。これでバレてたら……そんときゃそん時だな。

『なら、明日の朝9時に駅前集合ね!』

「……了解」

 毎週土曜日には、いつも夜更かしをしてゲームをしているが、ダンジョンに行くとなれば、話は別だ。

 夜更かしした後って、本当に気持ち悪くなるんだよな。あのお腹の中がぐるぐると回っている感覚、本当に嫌いだ。そこで運動をすると、貧血やら何やらで、顔が真っ青になる。ほぼ毎日夜ふかしをしていた中学時代には、何度保健室に行ったことか……

 まぁ、ゲームは癒やしだし、そういう事があっても、やめない可能性が高いけどね。惟一ある可能性があるとすれば、社会人になったときかな。忙しすぎてやめそう。

 今は……12時少し前か。今から寝て、7時くらいに起きれば気持ち悪くもならないし、遅刻もしないかな。もう少し起きてゲームをしていたかったが......まぁ、仕方がない。

「それなら、俺はそろそろ寝ることにするわ。いつもみたいに全く寝ないでいると、運動なんて全くできなくなるから」

「うん!また明日ね!」

――電話が切れた。さて、寝るか……

 ピロリン♫

 ん?なんだ?眼の前に……板?いや、見た目はステータスボードっぽいな。モンスターの初討伐時にもらえるはずだが……?

―――――――――――――――――――――――――――
お知らせ
 Sランクのダンジョンを一向に攻略できない地球人の皆様のため、今年からダンジョン探索をできるようになる方々から数名を抜粋し、試練を課すことといたしました。あなたは、その3人目となります。

 あなたに課された試練の影響により、現時点をもって、あなたに関する記憶やデータは、あなたが生きるために必要不可欠なものを除き、全て消去されます。

 記憶を戻すためには、あなたの家に出現したダンジョンを攻略していくか、記憶をなくした人にとって大切な、あなたに関する記憶を思い出させなければなりません。

 また、攻略をスムーズにするため、あなたとあなたのパーティーメンバーに限り、レアドロップ率と獲得経験値量へ補正が入ります。ぜひ役立ててください。
―――――――――――――――――――――――――――

……何だこれ。スパムメール?いや、世界のシステムがこんな事するわけないよな。となると、誰かのスキルか?そんなスキルは聞いたこと無いんだが……一応、誰かに相談でも――

「――連絡先が、全部消えてる?」

 俺がいつも使っているチャットアプリからは、友人の連絡先だけでなく、公式のアカウントすらもなくなっている。バグかと思いアプリの再起動とスマホの再起動の両方を試すも、効果はなし。

 その後、全てのデータを確認したところ、メールなどの連絡用以外のデータは残っていた。ゲームのものは、フレンドがいなくなってたり、ギルドから勝手に抜けてたりしているだけで、重要な部分は全く消されていない。無駄に器用だな……

 スマホを確認しただけじゃあ、”記憶”から消えたのかはわからない。できれば誰かに連絡を取って確証を得たいところだが……不審者認定されるよりかは、このメッセージを信じたほうがいいだろう。そもそも、紫苑以外の友人の電話番号なんて覚えていないっていうのも何割かあるが。

 生きるために必要不可欠な、戸籍や口座を残してくれたのは幸いだったな。ダンジョンを探索するには免許が必要で、それを作るには戸籍が無いとだからな。

 明日、朝一番に市役所に行って、免許を作ってしまおう。そしたら、装備を買って、すぐにダンジョンの攻略を……いや、数日間は使う武器の練習をするか。すぐに言ったって、下手な動きでやってたらすぐに死にそうだしな。

 とりあえず、今日はもう寝よう!いつの間にか寝落ちでもして、夢でも見ているのかもしれん。明日の朝にもう一度、メッセージアプリを確認してみよう。

……できれば、夢であってくれ―――


―――おはようございます。確認しても昨日と何も変わらなかった柊羽です。どうやら夢ではなく、本当のことだったようです。

……はぁ。とりあえず、探索者登録をして、装備を買いに行こう。

 俺が親から受け取った相続金は約2000万。あまり使いすぎると生活ができなくなるし、装備に使える予算は……100万ってところか。相場もわからないし、最初はそんなに強くない装備でいいだろう。

 よし、とりあえず早めに市役所行って、その後ダンジョン関連の道具や武器防具を売ってる場所に行くか……
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