九尾

tomi

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残った男は書類を片手に何かをしゃべっている。しかし、全く知らない言語だったため、檻の隅で首をかしげるしかない。


しばらくして、またこの部屋に一人になった。
男が居なくなったことで、身構えるのを止め、ほっと一息つく。




食事は1日一回持ってこられる。毎日3食食べていた身には少し辛い。しかも量も少ない。
檻からも出して貰えないからとにかく余計な運動を避けてお腹が減らないようにした。




そうして数日がたった頃、またあの時の二人の男がやって来た。
檻を蹴った男がもう片方の男にヘコヘコしながら檻の鍵を開ける。俺は怖くて端の方に逃げていたが、引っ張り出され、ぎりぎり入れるくらいの小さな箱に押し込まれた。

身動きがとれず、どこかに運ばれているようだが、外の様子を見ることは叶わない。


そのまま1日たった頃、ようやく箱から出された。足場の悪い所を通っていたのか、俺が箱ごと乗せられていた乗り物は終始ガタガタと揺れていたので、疲れがかなりたまっている。


檻を蹴った男の姿はもうなくなっていて、もう一人の男と見知らぬ人が何人かいた。
どこにつれてこられたんだろう?そんな風に思うも、聞くことはできなかった。

俺を箱から出した男は今度は首輪を着けてきた。ペットにでもなった気分だ…

そのまま首輪に繋がっている鎖を引いて俺を歩かせる。正直、歩くのもおっくうなほど疲れていたが、何をされるかわからないため、頑張って歩いた。


ふと顔を上げると大きな建物があった。ヨーロッパに住むいかにもな金持ちの家って感じだ。

男はそこに向かっているらしい。一歩進む度に疲労がたまっていく。だが、スピードを落とすと鎖で引きずられ、結構痛いため我慢する。


ようやく建物についた。中からこの男を待っていたらしい人たちが出迎えてきた。


そうして俺の鎖をその人たちに渡し、何やら指示をした後どこかへいってしまった。



俺はまた鎖に引きずられ、今度は室内を歩かされて、また外に出る。ちょっとした中庭のようなスペースだ。連れてこられたのは井戸だった。どうやら井戸水で俺を洗うらしい。

天気が良いことが幸いし、冷たい井戸水でも凍えることなくすんだ。だが、やはり俺の扱いは乱暴で、ごりごり擦られてとても痛かった。その後、檻に入れられ、少しのご飯を貰い、1日が終わった。もう俺には動く気力もなく最後の力を振り絞ってご飯を食べた後は死んだように眠った。




次の日、騒がしい人々の声で目が覚めた。が、まあ関係ないだろう。いつもこんなに騒がしいのかもしれなし、
しっかり眠ったおかげか、疲れも大分とれていたため、現状を把握することにした。

まず、俺は何らかの小動物になっているようだ。鏡などは見れていないが、おそらく犬系の動物だろう。そして首輪に鎖をつけられ、檻に繋がれている。


今気づいたが、この部屋には俺以外にも誰かがいるようだ。ぐるっと辺りを見回してみる。俺のような動物や人間もいるようだ。皆同じように首輪に鎖を繋がれている。

そこでひときわ目を引くものがいた。人間の体に獣の耳と尻尾がついている。
はじめは飾りかと思っていたが、ひとりでに動いているところを見てしまい、本物なのだと思った。

なんだっけな……じゅう…獣、人、そうだ!獣人だ!

えっじゃあここ地球じゃないの?それとも地球にある変な研究所とか?どう考えても人体実験は違法なので、地球、じゃ、ない、と考えた方が自然なのかもしれない。でもやっぱり納得することができなかった。






























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