孤児の俺と魔術学院生活~人生逆転計画~

神堂皐月

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入学編

第6話 模擬戦・3

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 ──パチンッ……。



「──ッ!?」



「ここだッ!」



 アルヴィスが指を鳴らした瞬間、エリザベスはアルヴィスの姿を見失う。刹那、アルヴィスが身を屈めエリザの目の前で突きのモーションに入っていた。



 エリザベスは防ぐこともかわすことも出来ず、鳩尾に強烈な突きを受け衝撃で後方3m程転がり飛んだ。



「カハ──ッ……ゲホッ……ゴホッ……」



「熱ッ……」



 エリザベスが倒れたまま両手で腹部を押さえ咳き込む姿を、アルヴィスは殴った右手を振りながら見下ろす。



 だがエリザベスが咳き込むのはほんの僅かな時間だった。左手は腹部を押さえ倒れた姿勢のまま右手をアルヴィス目掛け薙ぎ払う。



 すると纏っている炎が殆ど同時に薙ぎ払う手の振りと同じ形でアルヴィスに襲いかかった。



「──!?」



 半月の形状をした炎が僅か3mの距離を一瞬で通過する。



 そう、通過したのだ。



 エリザベスは眼を見開きアルヴィスに自身の反撃が命中しなかったことを驚くがそれも束の間。



 エリザベスはその場を緊急回避するように地面を素早く転がった。



 直後にアルヴィスの踵落としが振り落とされ、地面を穿つ。



 エリザベスは転がる反動と地面を叩く腕の力で飛び跳ねるように起き上がると、さらにアルヴィスとの距離をバックステップで開く。



 近距離は完全に部が悪いと判断したようだ。



「さっきからこんなに美人な女の子相手でも容赦ないねー君は」



「迷わず腕を折りにくる奴に言われたくないけどなッ!」



「むぅ……。それにしても速いねぇ……君の加速魔法」



「正解。まぁエリザ程の実力者だ、2度も見せれば分かるか」



「それだけじゃ無いでしょ? 何か他にもそのスピードの仕掛トリックけがある気がするんだよねぇーお姉さん」



「……それも正解。スゲーな、これに感付いた人はエリザが初めてだ」



 アルヴィスの称賛の一言に、エリザベスは誇らしげに胸を張り得意気な表情を浮かべる。



「──宿地」



「え……?」



「エリザが言うところの仕掛トリックけの答えさ。今は無き島国の武術で歩法の1つだ」



「なんで君が亡国の技術を使えるのよ?」



「使えるって言っても本物を知ってるわけじゃないから合ってるかわからないけどな」



 アルヴィスは頭を掻きながら応える。



「俺はここに入学するまで孤児院で暮らしてたんだけど──」



(――通りで貴族とは明らかに雰囲気が違うわけね)



 エリザベスは今までのアルヴィスの言動を思い出しながら話を聞いた。



「暇で暇で毎日が退屈でよ。やることといったら鍛えるついでに働くか、図書館で読書くらいのもんさ。武術の本ばかりだけどな。その時の一冊でたまたま知ったってだけさ」



「ふーん……」



(見本があるわけでもなく読んで独学でできるものなの? もしそうなら……)



「――天才」



「ん? 何か言ったか?」



「いやいやー、何もないよ?」



「そうか? ならお喋りはこの辺にして、続きといこうぜ!」



「んー……それももういいかなぁ。君の力まほうも大体解ったし。──最後に良いことを教えて上げよう後輩君」



 そう言いエリザは両手を水平に上げ、精神集中しだす。



「それってどういう意味だよ……」



 言葉では質問しているが、アルヴィスは周囲の異変に気付き既に答えを知ったようで、一筋の汗が頬を伝って流れている。



 エリザベスの足元を中心に地面を匍はう様に渦巻く赤い魔力の煙のようなものが、アルヴィスの足元まで既に範囲を広げているからだ。



 物の5秒程でエリザベスを中心に半径20m程の渦巻く魔力煙が完成した。



「どんなに速くても、速いだけじゃ避けることが出来ない魔法ものもあるんだよ?」



「──全範囲魔法……」



「正解ッ」



 エリザはアルヴィスの返事に満足したように微笑み、両手を真上に上げ叫ぶ。



「〈竜ドラゴンの息吹ブレス〉!!」



 エリザベスの手に呼応するように渦巻いていた赤い煙が炎と化し、天目掛け盛大に爆発した。
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