孤児の俺と魔術学院生活~人生逆転計画~

神堂皐月

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新人戦編 ―前編―

第11話 勝利宣言

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「そんなのが当たるかよッ」



 アルヴィスは真正面に生え迫ってくる岩の槍を、1本分ぎりぎり横に避けつつ突進する。



「はぁっ!」



 アルヴィスが難なく〈岩槍〉を避けたのを目視すると、ロキは生やした〈岩槍〉はそのままに新たに手元から生やす。



 今度は扇状に広がりながら襲い来る〈岩槍〉を見ると、アルヴィスは突進を中断し空中へジャンプで回避した。



「バカがッ!」



 ロキがアルヴィスへ罵声を浴びせつつ再度力むと、扇状に広がっている〈岩槍〉が真上に背を伸ばす。



(おいおい、そんな芸当も出来るのかよ!?)



 地上5m程の高さまでジャンプし落下寸前だったアルヴィスは、身体を捻りつつ器用に重心移動し、ムーンサルトのように頭を真下に体勢を変えて伸びてくる〈岩槍〉の先端を右手で握り、片手逆立ちの体勢で止まった。



(たしかこんな感じだったか?)



 そして追撃が来る前にすぐさまエリザの見様見真似で魔力による身体強化をし、握っている岩を殴り砕き先端部分を平らにするとそこへ着地する。



 さらにその足場を使い〈岩槍〉のエリアから一足跳びで逃れる。



「ふぅー、危ねえ危ねえ」



 アルヴィスは〈岩槍〉から逃れたことと、初めて行った身体強化が成功したことに安堵し額を拭う。



「それにしても驚いたぜ。まさかあんたの術があの怪力じゃなくて岩を操ることだったとはな」



「俺は一言も自分の魔術が怪力だなんて言った覚えがないんだがな」



「そうだっけか?」



 アルヴィスはまたお得意の人をおちょくるかのような物言いをする。



 だがそれが出来るということは、アルヴィスにはまだ余裕があるということだ。



「まぁそれはそれとして。なああんた、もう試合開始から10分は経ってる。なのに俺の拳じゃダメージをたいして与えられず、あんたもその魔術速度じゃ俺には当たらない。どうかな、ここらで引き分けにでもして止めないか?」



「引き分けだぁ? バカか。あと10分もあれば余裕でお前ごとき倒せる。それに、今もお前が立っていられるのは殺すことが出来る威力の魔術を使えないからだ。逆上せ上がるな」



「…………了解。なら、このまま決着を着けようか」



(それはお前もなんだぜ、ロキ)



 アルヴィスはロキの様子をちらと確認すると今まで以上に魔力を溜めている。どうやら大きい魔術を発動させようとしているようだ。



(エリザ、そういえば言ってなかったけど、確かに俺の速度調節は魔術で行っている。けど、だからこそこんな使い分けも出来るんだぜ?)



 アルヴィスは模擬戦でエリザに自身の魔術をハイブリッドと言われたことを思いだし、内心で今その答え合わせをしつつ魔力を全身にめぐらせる。



 そうしてさらに魔力による肉体強化を行う。



「〈全身岩甲冑フルロックアーマー〉」



「──そんな使い方ありかよ……!?」



 アルヴィスが魔力を巡らせている間に、ロキは魔術を発動させていたようだ。全身に岩を纏いまるでフルプレートアーマーの岩バージョンのようだ。硬度は断然ロキの鎧のほうが堅そうだが。



「俺の最高の術をもってこの試合を終わらせてやる。──アンヴィエッタ教授! 残り時間だけでいい。こいつを倒し終わったら手合わせを願いたい!」



 ロキは観戦席にいるアンヴィエッタに手合わせの交渉のため、顔だけそちらに向けいきなり大声で叫び頼んだ。



 つまり、勝利宣言をしているのだ。



「ふんっ、バカ者が。まずは目の前のそいつを倒してからにしろ」



「それは了承していただけたととらえますが?」



「ふん」



 アンヴィエッタは肩を上下させつつ鼻で一笑。どうやら願いが通ったようだ。



(さて、このまま舐められたままでいいのかな〈最下位〉?)



「というわけだ。さっさと終わらさせてもらう!」



 向き直ったロキはアルヴィスへ向かって突進しだす。打撃戦に持ち込むつもりのようだがまったく防御のことを考えていないようだ。いや、ここまでの闘いぶりを見て必要ないと思ったのだろう。



 一方アルヴィスは構えることもなくただジッとロキの姿を見ていた。



(エリザ。今ここに君がいないことが残念だ。速度だけじゃ避けれないって言ってたけど、今ならあの魔術もどうにかなりそうだ)



 ──パチンッ。パチッパチッパチンッ!



「──かは……ッ……!?」
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