39 / 88
【36】スライム退治
しおりを挟む
太陽が沈む頃……。
わたしとロックは、新たな魔物と遭遇した。
「……あれは何? ひょっとして、あれも魔物なの?」
何と表現すればいいのか分からない。
水たまりが固まったまま地面を移動している。
見た感じだと害はなさそうなので、もう少し傍に近づいてみる。すると、
「スライムだ。触ると溶けるぞ」
「えっ、溶ける!?」
ロックの言葉に思わず仰け反った。
溶けるって……この魔物、そんなに物騒な魔物なの?
「直に触ったら俺の足のようになる。見た目で判断すると痛い目見るぞ」
「……忠告、感謝するわね」
確かに、見た目だけだと害がないと思って近づいてしまったけど、この魔物にとってはそれが狙いなのかもしれない。
「踏んだら……靴も溶ける?」
「溶ける」
「じゃあ、どうやって倒すのよ」
「簡単だ。魔石を砕け」
言われて、わたしは目を凝らす。
水たまりのような体のどこに魔石があるのか……。
「透過して地面が見えるから分かりづらいわね」
「場所が場所だからな」
くつくつと喉を鳴らし、ロックが口の端を上げる。
この男、わたしが困る姿を見て楽しいと思っているはずだ。そうに違いない。
「良い機会だ。そいつと戦ってみるか?」
「スライムと? ……うん。挑戦してみようかしら」
わたしも、いずれは冒険者になるわけだし、この辺で一度魔物退治を経験しておくのも悪くない。
記念すべき初めての魔物は、地面を這うスライムで決まりだ。
ロックの説明によると、スライムは主に草木や小さな虫を餌として消化する。
人間が触れたら一溜りもないけど、動き自体は遅いので、注意深く立ち回れば苦戦するような魔物ではないらしい。
「これを使え」
「うっ、……重いわね」
ロックが鞘から剣を抜き、それをわたしに手渡す。
ズシリと感じる重さだ。
両手で持つのがやっとだけど、振り回せないこともない。
「……よーし」
スライムの前に立って、剣を振り上げる。
地面が比較的綺麗な場所に変わっていたので、スライムの体内にある魔石も肉眼で捉えることができている。
あとはそれを破壊するだけだ。
「えいっ」
魔石に狙いを定めて剣を振り下ろす。
ほんの僅かにズレたけど、スライムの魔石にぶつかって端っこが欠けた。その瞬間、スライムはそのまま地面に溶けて消えてしまった。
「……えっと、これって……逃げたの? それとも倒したの?」
どっちなのか分からない。
わたしはロックの顔を見る。彼は地面を指さしている。
「あ、魔石……」
そこには欠けた魔石が転がっていた。
これがあるということは、無事にスライムを倒したということだ。
「やるじゃないか」
「え、えへへ」
ロックに褒められて、つい頬が緩んでしまう。
スライムを倒すには、魔石を破壊するしか方法がないらしいので、綺麗な状態の魔石を回収することはできない。
でも、これはわたしが初めて自分の手で倒した魔物の魔石だ。欠けていても構わない。
わたしは、魔石を手の平の上に乗せたまま、それを暫く眺めていた。
わたしとロックは、新たな魔物と遭遇した。
「……あれは何? ひょっとして、あれも魔物なの?」
何と表現すればいいのか分からない。
水たまりが固まったまま地面を移動している。
見た感じだと害はなさそうなので、もう少し傍に近づいてみる。すると、
「スライムだ。触ると溶けるぞ」
「えっ、溶ける!?」
ロックの言葉に思わず仰け反った。
溶けるって……この魔物、そんなに物騒な魔物なの?
「直に触ったら俺の足のようになる。見た目で判断すると痛い目見るぞ」
「……忠告、感謝するわね」
確かに、見た目だけだと害がないと思って近づいてしまったけど、この魔物にとってはそれが狙いなのかもしれない。
「踏んだら……靴も溶ける?」
「溶ける」
「じゃあ、どうやって倒すのよ」
「簡単だ。魔石を砕け」
言われて、わたしは目を凝らす。
水たまりのような体のどこに魔石があるのか……。
「透過して地面が見えるから分かりづらいわね」
「場所が場所だからな」
くつくつと喉を鳴らし、ロックが口の端を上げる。
この男、わたしが困る姿を見て楽しいと思っているはずだ。そうに違いない。
「良い機会だ。そいつと戦ってみるか?」
「スライムと? ……うん。挑戦してみようかしら」
わたしも、いずれは冒険者になるわけだし、この辺で一度魔物退治を経験しておくのも悪くない。
記念すべき初めての魔物は、地面を這うスライムで決まりだ。
ロックの説明によると、スライムは主に草木や小さな虫を餌として消化する。
人間が触れたら一溜りもないけど、動き自体は遅いので、注意深く立ち回れば苦戦するような魔物ではないらしい。
「これを使え」
「うっ、……重いわね」
ロックが鞘から剣を抜き、それをわたしに手渡す。
ズシリと感じる重さだ。
両手で持つのがやっとだけど、振り回せないこともない。
「……よーし」
スライムの前に立って、剣を振り上げる。
地面が比較的綺麗な場所に変わっていたので、スライムの体内にある魔石も肉眼で捉えることができている。
あとはそれを破壊するだけだ。
「えいっ」
魔石に狙いを定めて剣を振り下ろす。
ほんの僅かにズレたけど、スライムの魔石にぶつかって端っこが欠けた。その瞬間、スライムはそのまま地面に溶けて消えてしまった。
「……えっと、これって……逃げたの? それとも倒したの?」
どっちなのか分からない。
わたしはロックの顔を見る。彼は地面を指さしている。
「あ、魔石……」
そこには欠けた魔石が転がっていた。
これがあるということは、無事にスライムを倒したということだ。
「やるじゃないか」
「え、えへへ」
ロックに褒められて、つい頬が緩んでしまう。
スライムを倒すには、魔石を破壊するしか方法がないらしいので、綺麗な状態の魔石を回収することはできない。
でも、これはわたしが初めて自分の手で倒した魔物の魔石だ。欠けていても構わない。
わたしは、魔石を手の平の上に乗せたまま、それを暫く眺めていた。
11
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令嬢に転生かと思ったら違ったので定食屋開いたら第一王子が常連に名乗りを上げてきた
咲桜りおな
恋愛
サズレア王国第二王子のクリス殿下から婚約解消をされたアリエッタ・ネリネは、前世の記憶持ちの侯爵令嬢。王子の婚約者で侯爵令嬢……という自身の状況からここが乙女ゲームか小説の中で、悪役令嬢に転生したのかと思ったけど、どうやらヒロインも見当たらないし違ったみたい。
好きでも嫌いでも無かった第二王子との婚約も破棄されて、面倒な王子妃にならなくて済んだと喜ぶアリエッタ。我が侯爵家もお姉様が婿養子を貰って継ぐ事は決まっている。本来なら新たに婚約者を用意されてしまうところだが、傷心の振り(?)をしたら暫くは自由にして良いと許可を貰っちゃった。
それならと侯爵家の事業の手伝いと称して前世で好きだった料理をしたくて、王都で小さな定食屋をオープンしてみたら何故か初日から第一王子が来客? お店も大繁盛で、いつの間にか元婚約者だった第二王子まで来る様になっちゃった。まさかの王家御用達のお店になりそうで、ちょっと困ってます。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
※料理に関しては家庭料理を作るのが好きな素人ですので、厳しい突っ込みはご遠慮いただけると助かります。
そしてイチャラブが甘いです。砂糖吐くというより、砂糖垂れ流しです(笑)
本編は完結しています。時々、番外編を追加更新あり。
「小説家になろう」でも公開しています。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
死に戻りの元王妃なので婚約破棄して穏やかな生活を――って、なぜか帝国の第二王子に求愛されています!?
神崎 ルナ
恋愛
アレクシアはこの一国の王妃である。だが伴侶であるはずの王には執務を全て押し付けられ、王妃としてのパーティ参加もほとんど側妃のオリビアに任されていた。
(私って一体何なの)
朝から食事を摂っていないアレクシアが厨房へ向かおうとした昼下がり、その日の内に起きた革命に巻き込まれ、『王政を傾けた怠け者の王妃』として処刑されてしまう。
そして――
「ここにいたのか」
目の前には記憶より若い伴侶の姿。
(……もしかして巻き戻った?)
今度こそ間違えません!! 私は王妃にはなりませんからっ!!
だが二度目の生では不可思議なことばかりが起きる。
学生時代に戻ったが、そこにはまだ会うはずのないオリビアが生徒として在籍していた。
そして居るはずのない人物がもう一人。
……帝国の第二王子殿下?
彼とは外交で数回顔を会わせたくらいなのになぜか親し気に話しかけて来る。
一体何が起こっているの!?
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる