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【64】もう一部屋借りるらしい
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今日は二つの依頼を達成することができた。
一つは、根鼠の駆除。
ボードル子爵の依頼で、地下通路に巣食う根鼠を一掃した。
そしてもう一つが、ホワイト・トレントの討伐依頼だ。
こっちは十体以上倒す必要があり、気合を入れて臨んだけど、一度コツを覚えてしまえばあとは簡単に見つけることができた。
もちろん、わたし一人の力で倒すのは、まだまだ先の話になる。
でも、角兎やスライムなら倒すことができたし、冒険者としての道を確実に進んでいるような気がする。
新米冒険者から新米が取れる日も近いかもしれない。
とにかく、依頼を二つ達成したことで、手持ちが一気に増えた。と言っても、主にボードル子爵からの報酬がほとんどだけど。
ホワイト・トレント討伐分の報酬だけでも、十分に贅沢できる額を稼いでいるので、ロックとわたしは少し豪勢なご飯を食べてからおんぼろ宿へと戻った。
そしてその日の夜。
「えっ? 空きが……出たの?」
「ああ。ボノが片付けてくれたから、俺は隣の部屋を使う」
今日こそは、ロックを絶対にベッドで寝かせるぞと意気込んでいた。
だというのに、ボノさん……どうして部屋を片付けちゃったの。
「ね、ねえ! わたしはまだ、新米冒険者よ?」
「それがどうかしたか」
「だから、ほら! 一人でいるときに何かあったら、どうすればいいの? 今まではロックが一緒に居てくれたからよかったけど、別々の部屋になったら困るでしょう?」
「隣の部屋だ。何かあればすぐに気付く」
あっさりとかわされる。『心眼』を持つロックであれば、それも可能な芸当なのだろう。
「何かあってからだと遅いわ」
「心配し過ぎだ」
「で、でも……っ」
思わず渋面を作るわたしと、その顔を見て首を傾げるロック。
このまま押し問答を続けても、ロックは意見を変えないと思う。大人しく諦めた方がいい。
「……久しぶりのベッドで、よかったわね」
「どうした? 機嫌が悪いのか」
嫌な子に見えたかもしれない。
けれども、少しぐらい愚痴を言っても許してほしい。
結局、ロックとは部屋の前で別れて、わたしは一人で部屋に入った。
「……はぁ」
ベッドに腰掛け、頬を膨らませる。
全く自分の思い通りにならない。これが『溺愛』の効果がないということなのか。
「人の気持ちって、どうすれば分かるのかな……」
頭の中がぐるぐる回る。『溺愛』が使えないだけで、こんなにも悩んでしまう。
いや、これはそんな難しい話ではない。
そもそもロックが朴念仁過ぎるのが問題なのだ。
ロックは頑固すぎる。
部屋をもう一部屋借りたら、その分お金がかかる。
確かに今日はいっぱい稼いだけど、だからといって明日以降も同じように稼げるとは限らない。
だから、やっぱり部屋は一つの方がいい。
そのためには……。
「……うん」
わたしは、自分で自分の背中を押す。
せっかくここまで来たのだから、我慢するのはよくない。
自分自身に言い聞かせると、わたしはベッドから立ち上がり、部屋を飛び出た。
そして、ロックの部屋の扉をノックするために深呼吸した。すると、
「開いてるぞ」
「っ」
声が聞こえた。
さすがは『心眼』持ちだ。わたしの足音が聞こえていたのだろう。
「……入るわね」
ゆっくりと息を吸って吐き、わたしはロックの部屋の中に入った。
ロックは椅子に腰掛け、寛いでいた。
「どうした、何か言い忘れたことでもあったか」
「……ええ、あるわ」
もう一度、深呼吸する。
それからわたしは、真っ直ぐに目を向けて、お願いを口にする。
「……今日、一緒に寝てもいい?」
一つは、根鼠の駆除。
ボードル子爵の依頼で、地下通路に巣食う根鼠を一掃した。
そしてもう一つが、ホワイト・トレントの討伐依頼だ。
こっちは十体以上倒す必要があり、気合を入れて臨んだけど、一度コツを覚えてしまえばあとは簡単に見つけることができた。
もちろん、わたし一人の力で倒すのは、まだまだ先の話になる。
でも、角兎やスライムなら倒すことができたし、冒険者としての道を確実に進んでいるような気がする。
新米冒険者から新米が取れる日も近いかもしれない。
とにかく、依頼を二つ達成したことで、手持ちが一気に増えた。と言っても、主にボードル子爵からの報酬がほとんどだけど。
ホワイト・トレント討伐分の報酬だけでも、十分に贅沢できる額を稼いでいるので、ロックとわたしは少し豪勢なご飯を食べてからおんぼろ宿へと戻った。
そしてその日の夜。
「えっ? 空きが……出たの?」
「ああ。ボノが片付けてくれたから、俺は隣の部屋を使う」
今日こそは、ロックを絶対にベッドで寝かせるぞと意気込んでいた。
だというのに、ボノさん……どうして部屋を片付けちゃったの。
「ね、ねえ! わたしはまだ、新米冒険者よ?」
「それがどうかしたか」
「だから、ほら! 一人でいるときに何かあったら、どうすればいいの? 今まではロックが一緒に居てくれたからよかったけど、別々の部屋になったら困るでしょう?」
「隣の部屋だ。何かあればすぐに気付く」
あっさりとかわされる。『心眼』を持つロックであれば、それも可能な芸当なのだろう。
「何かあってからだと遅いわ」
「心配し過ぎだ」
「で、でも……っ」
思わず渋面を作るわたしと、その顔を見て首を傾げるロック。
このまま押し問答を続けても、ロックは意見を変えないと思う。大人しく諦めた方がいい。
「……久しぶりのベッドで、よかったわね」
「どうした? 機嫌が悪いのか」
嫌な子に見えたかもしれない。
けれども、少しぐらい愚痴を言っても許してほしい。
結局、ロックとは部屋の前で別れて、わたしは一人で部屋に入った。
「……はぁ」
ベッドに腰掛け、頬を膨らませる。
全く自分の思い通りにならない。これが『溺愛』の効果がないということなのか。
「人の気持ちって、どうすれば分かるのかな……」
頭の中がぐるぐる回る。『溺愛』が使えないだけで、こんなにも悩んでしまう。
いや、これはそんな難しい話ではない。
そもそもロックが朴念仁過ぎるのが問題なのだ。
ロックは頑固すぎる。
部屋をもう一部屋借りたら、その分お金がかかる。
確かに今日はいっぱい稼いだけど、だからといって明日以降も同じように稼げるとは限らない。
だから、やっぱり部屋は一つの方がいい。
そのためには……。
「……うん」
わたしは、自分で自分の背中を押す。
せっかくここまで来たのだから、我慢するのはよくない。
自分自身に言い聞かせると、わたしはベッドから立ち上がり、部屋を飛び出た。
そして、ロックの部屋の扉をノックするために深呼吸した。すると、
「開いてるぞ」
「っ」
声が聞こえた。
さすがは『心眼』持ちだ。わたしの足音が聞こえていたのだろう。
「……入るわね」
ゆっくりと息を吸って吐き、わたしはロックの部屋の中に入った。
ロックは椅子に腰掛け、寛いでいた。
「どうした、何か言い忘れたことでもあったか」
「……ええ、あるわ」
もう一度、深呼吸する。
それからわたしは、真っ直ぐに目を向けて、お願いを口にする。
「……今日、一緒に寝てもいい?」
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