僕と精霊〜A journey of heroes〜

美しき街 ネイコプラグ

第16の旅 決定的な証拠

　路地裏

　ラートとボノムはオーナーの足を凍らせて追い詰めていた
「お前らは何を取引していた」
ラートはボンバラの腹を殴る

「がはぁ‼️..ガキがそんな事を知ってどうするんだ？」
「質問をしてるのはこっちだ‼️」
ラートはもう1度蹴りを繰り出す

「ぐっ❗️俺は吐かねえよ、一銭の得にもならねぇしな」
ボンバラは唾を吐き捨てる

「ご主人」
ボノムは周りから見られないようにかまくらで自分達を囲む
「ああ、しゃーねぇな」
ラートはボンバラの凍っている右足を砕く

「俺の足が！」
ボンバラは恐れる、右足が無くなった事よりも痛みが無い事に

「次は左足」
ラートはボンバラの凍っている左足に指差す
「ま、待て！話す！話すよ！両足が無くなっちゃ商売ができねぇからな」
ボンバラは深呼吸をする

「薬だよ、薬」
ボンバラは上着のポケットから1本の注射器を取り出す

「よこせ！」
ラートは注射器を奪い取る
「で、この薬はなんだ？」
「さぁな、俺もこの薬については分からん」
ボンバラは首を横に振る

「そうか、試しにお前に使ってみるか」
ラートはボンバラの右腕に注射器を刺そうとする

「ばっ！や、やめろ！分かった話す！全部話す、この薬は俺らの持つ力、異常者イレギュラーだったかな？それを強化する効果を持つ物だ」
ボンバラの体が凍り始める

「な、な...ぜ...」
ボンバラは完全に凍りつく
「元々お前を始末する予定だったからな」
ラートは氷塊を蹴り、粉々に砕く


　街頭

「見つけた！見つけた！アイツだ‼️」
オオカミのクラムは壁を走り、フードを被った狙撃手の首を狙う
(クラムさん！戦うのであれば人気のない所でお願いしますよ！)
ツイスターは指示をする

「分かってるって！ガルル‼️」
クラムは狙撃手に飛びつく
(大丈夫かよ)
スカルドは心配をする

「しつこいヤツめ！」
狙撃手はおはじきを飛ばす
「ふん❗️」
クラムは爪で弾く

「チッ！」
狙撃手は竹トンボを使って空を飛び始める
「げっ！？ズルいぞ！おい！俺にも翼を！」
(はい！)
(おうよ！)
クラムの背中から2人の翼が生えてくる

「待ちやがれ‼️」
クラムは狙撃手を追いかける

「なんなんだよコイツは！」
狙撃手はベイゴマを飛ばす
「やべっ‼️」
(避けてはいけません！落ちたベイゴマが街の人に当たってしまいます！)
ベイゴマはクラムの目の前まで来てしまう

(どうするだよ！俺の鋼鉄でも防げないんだぜ！)
(あの時は全身を鋼鉄化させたからです、クラムさんの爪だけを一点集中で鋼鉄化させるのです)
(わ、分かった)
スカルドはクラムの爪だけを鋼鉄化させる

(クラムさん！今です！)
「オラァ‼️」
クラムは爪でベイゴマをバラバラに切り裂く

「よっしゃ❗️」
(す、すげぇ❗️やっぱ姉ちゃんはすげぇ❗️)
(まだです！追ってください！)
「おっと！そうだった！」
クラムは狙撃手を追いかける

「これでどうだ❗️」
狙撃手はけん玉の玉を放つ
「そんな玉もぶった切ってやるぜ❗️」
クラムは爪で玉を一突きしようとしたが空振りをする
「何！？」

「バカめ❗️狙いはそっちじゃないぜ❗️」
けん玉の糸がクラムに巻きつく
「これでお前は飛べない」

「ぐぅ！こんな糸！切ってやる」
クラムは爪で糸を切ろうとする
(私に任せてください)

「あばよ」
狙撃手はけん玉を離そうとした瞬間、強力な電流が走る
「あばばば‼️」

(クラムさん！今です！)
「ありがとよ‼️」
クラムは爪で狙撃手を下から切り上げる

「バカな❗️ボンバラ様ぁ‼️」
狙撃手は切り口から赤いビー玉を吹き出して街へと落ちていく

「なんだよコレ？」
クラムは赤いビー玉を見ながら言う
(おそらく彼の異常者イレギュラーのせいでしょう、体質まで変化してしまうとは)
(なぁ、ジャン達の所へ行こうぜ)

「そうだな、ジャンの匂いはあっちか！」
クラムはビー玉を投げ捨て、ジャン達の方へ飛び去る


　公園

　精霊達が噴水で遊んでいる間、ジャン達は報告会をしている

「つまり、異常者イレギュラーには上の段階があるのだと思われます」
白夜は1つの考えを言う

「黒い手か、なんか厄介そうだなぁ」
ジャンは対策を考える
「異常者イレギュラーにも上の段階ねぇ、当分帰れそうにないな」
ザルはため息をつく

「私にもその薬が使われる予定だったんでしょうか..」
フランはブルブルと震える

「僕らは本当に帰れるのかなぁ」
レートは空を見上げる
「おーい！ジャーン！」
空からクラムがやって来る

「クラム！何処に行ってたんだ？」
ジャンは上を見ながら聞く
「うーん？どっから説明をすれば？」
クラムは着陸すると背中からツイスターとスカルドが飛び出して来る

「ラートさん達と一緒に異常者イレギュラーを倒していました」
ツイスターは報告をする
「そう！それそれ！」
クラムはツイスターに指差しながら言う

「しまった姉ちゃん！ラートとボノムを忘れてた」
スカルドは焦る
「ラート達なら大丈夫だよ」
レートは落ち着いた顔で言う

「マスター、来ましたよ」
グライドの見る方向にはラート達が居た
「おっ！此処にいたのかお前ら」
ラートは手を振りながらやって来る

「おおボノム！」
パンプはボノムの方へ寄る
「パンプ！元気しとりましたか？」
2人はハイタッチをする

「みんな、こんな物を手に入れたんだが」
ラートは皆に注射器を見せる
「コレは？」
ジャンはラートに聞く

「どうやら異常者イレギュラーを成長させる薬らしい、俺はコレを取引してるヤツを始末してたんだよ」
ラートはその場に座り、地面に注射器を置く

「異常者イレギュラーを成長させる薬？まさかあの黒い手！」
白夜は何かに気づく

「気味が悪いな」
ザルは少し引きながら注射器を見る
「ラート、コレは僕が預かってて良いかい？」
ジャンはラートに聞く

「良いぜ、そんな気味が悪い物こっちから渡したいぜ」
ラートはジャンに注射器を渡す
「ありがとう」
ジャンは炎で中の液体が漏れないように注射器を変形させ、上着のポケットに入れる

「ジャン、そんな物を持ってどうするんだ？」
パンプはジャンに聞く
「コレは証拠になりそうだからな念のために持っておくんだよ」
ジャンはニッコリ笑う

「そうだ！全員じゃないけど久しぶりに再開できたんだし、一緒に飯でも食いに行かないか？俺の奢りだぜ」
ラートは大量のお金が入っている袋を取り出す

「良いね！賛成！」
ザルがそう言うと皆はラートについて行く
「ジャン、先に行っててくれ、オレ良い事思いついた！」
パンプはそう言って何処かへ飛んで行く

「珍しいなパンプにご飯よりも優先する事があるなんて、気をつけるんだぞ！」
ジャンはパンプを見送る

　数十分後

　飯屋
ジャン達は沢山の料理が置いてあるテーブルを囲んでパンプを待っていた

「それにしてもパンプ遅いなぁ、何処に行ったんだろう」
ジャンは心配をしている
「あのバカの事よ、どうせ道草でも食ってんでしょ」
ローズはコップの水を飲む

「おーい！ジャン❗️見ろよコレ！」
店の外からパンプの声がしてきた
「来た！」
皆は一旦店の外に出ると驚いた

「凄いだろコレ！」
「パンプ、ソレって...！？」
ジャン達は馬車の手綱を引いていた

「あの反射野郎が持ってた馬車を持ってきたぞ」
パンプは馬を撫でる

「随分懐いてるみたいだね」
レートはもう1頭の馬の頭を撫でる
「ああ、怪我を治したら懐いてくれたんだ」

「へぇ～、長旅だから馬車があるだけで助かるよ、可愛い馬だ...」
ジャンは馬に近づこうとすると唾をかけられる

「「「あっ！」」」
ジャンはニコニコしながら顔にべっとり付いた唾を拭き取る

「今夜は馬肉でバーベキューでもする？」
「うわぁ！よせジャン！オレの友達を焼かないでくれ！コイツらは体にジャンの手がめり込んだ事を恨んでるんだよ！」
パンプは馬を焼き殺そうとするジャンを止める

「へっ！だらしねぇな馬はな、こうやって接するんだ...よ」
ザルも馬に唾をかけられる

「よし、馬刺しにでもしてやるか」
「ザル様！抑えてください、所詮相手は馬ですよ」
メイデンは馬を斬り刻もうとするザルを止める

(アイツも馬よね...)
(馬だな)
(ああ馬だ)
ローズ達はメイデンを見ながら思った

　馬車に仲間が増えたジャン達の旅はまだまだ続く