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嬉し恥ずかし、初体験
「いらっしゃいませ~」
お店のドアが開き、今日も店は多くのゲイ達で賑わっている。
「ほら、もっと大きな声でご挨拶しなさ~い」
と、ママに注意される。
これでも自分なりに大きな声を出しているつもりなんですけど…。
ところで、何故この俺がゲイバーで店の中に入っているかと言うと、それは話を1週間前に巻き戻さねばならない。
あの日、Qiのママにこの「ターボ」という店を紹介してもらって足を運んだ事が、俺が店子として働くことになるとは、あの時は思いもしなかった。
あの日、善は急げとQiを早々に退店した俺は、足早に教えられたターボへと向かった。
早くしなければ、いい男に悪い虫がついてしまう。
もう、俺が断られることは全く考えることもなく、ただいい男との出会いだけを期待していた。
Qiのママの話によれば、ターボは30~50代が主な客層の、二丁目では比較的落ち着いた店らしい。
若い子は嫌いではないが、むしろ好きだが、この年齢になって年が20も30も離れている子と、真剣にどうしようなどと思うことは流石に無い。
ただ、若い子は観賞用として、目の保養として愛でる対象でしかない。
今、真剣に運命の相手を探している俺としては、もう少し年齢が近く、一緒にいて片肘張らずにいられる相手が欲しいところだ。
新しい店のドアを開けるのは、さすがにとても緊張する。
果たしてどんな店なのか?どうか、穴倉みたいな小汚い古びた店では無く、それなりに客のクオリティーも期待できるお店でありますように。
そんな事を願いつつ、俺はターボの店の扉を開けた。
扉を開けると、そこは俺が思い描いていた、お洒落な雰囲気の空間が広がっていた。
「いらっしゃいませ~。どうぞ、空いてるお席に」
店のママらしき人は、縦にも横にもデカい人で、年は俺と同じくらいだろうか?人当たりのいい、耳にピアスなど開けているお洒落な人だった。
まだ開店したばかりだろうか?他に客のいない店内に恐る恐る俺は足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ、わたし、この店の女将をしていますツカサです」
ツカサママは、緊張していた俺の心を解してくれるような笑顔で自己紹介をした。
「お客様、初めてですよね?最初は何を飲まれます?」
「えーと、それじゃあレッドアイで」
俺は最近になって覚えたメニューで、飲み慣れている男アピールをしてみた。
「当店は何でお知りになったのかしら?」
「えーと、Qiのママの紹介で」
「あら、こんなイケメンのお客様を紹介してくれるなんて、Qiのママには足を向けて寝られないわね」
「そんな、イケメンだなんて大袈裟ですよ」
「それで、おいくつなのかしら?」
出た!ゲイ界隈の話のキッカケとなる鉄板ネタ、まずは年齢を聞く事!よーし、聞いて驚けよ。
「51才です」
「えぇ!?そんなに行ってるの?30後半くらいかと思ったわ!」
素晴らしい!なんて素晴らしいリアクションだろう。
「何をしたらそんなに若くいられるの?」
「えー?特に何も。洗顔してクリーム塗ってるだけですよ」
嘘です。本当は物凄い懸命に努力してます。
日光に当たらないように日陰から日陰に移動したり、美容クリームも10種類使ってるし、美顔器を3台駆使してスキンケアには毎日1時間かけてます。
「こちらのお店は、ママ1人で切り盛りしているんですか?」
「いいえ、あと30分くらいで1人来るわ。毎日日替わりで1人か2人入ってもらってるの」
なるほど。その店子の中に、もしかしたら運命の人がいるかもしれないな。
「ねぇ、あなた、店子に興味ある?」
「あっ、はい。興味あります」
「じゃあ、来週の火曜日から入ってね」
「はい?」
え?今の会話、どういう流れ?
「えっと、入ってねって、どういうことですか?」
「そのままよ。店子の仕事に興味あるんでしょ?だったら話は早いわ。人手が欲しいのよ、来週からよろしくね。あっ、もちろん最初は体験入店だから気負わずにね」
いやいやいや!俺が興味あるのは店子君であって、店子の仕事では無いから!
「こ、困ります!店子の仕事なんて俺には無理です!」
「大丈夫よ、そんなに難しく考えなくてもいいのよ。皆んなでサポートするから心配しないで」
これは、どうしたらいいのだろう?まさかこの年で店子にスカウトされるとは思っても見なかった。
「じゃあ、そういうことだからよろしくね」
「えぇ!ちょっと待って…」
何とか断ろうとしたが、そこに丁度お客さんが入ってきて、話は有耶無耶なまま中断されてしまった。
「あら、いらっしゃい。あっ、ゆーたさん、この子、来週からお店に入ることになったから、可愛がってあげてね」
あゝ、俺の預かり知らないところで、店子になる話がどんどん進んでいく。
こうして幾度となく店子になる話を断ろうと試みたものの、タイミング悪く話の腰を折られたりして、断るタイミングを完全に逸してしまった。
ヤバい、接客経験なんて図書館のバイト以来、それも30年前に経験したくらいだ、どうしたらいい?大丈夫なのか、俺?
お店のドアが開き、今日も店は多くのゲイ達で賑わっている。
「ほら、もっと大きな声でご挨拶しなさ~い」
と、ママに注意される。
これでも自分なりに大きな声を出しているつもりなんですけど…。
ところで、何故この俺がゲイバーで店の中に入っているかと言うと、それは話を1週間前に巻き戻さねばならない。
あの日、Qiのママにこの「ターボ」という店を紹介してもらって足を運んだ事が、俺が店子として働くことになるとは、あの時は思いもしなかった。
あの日、善は急げとQiを早々に退店した俺は、足早に教えられたターボへと向かった。
早くしなければ、いい男に悪い虫がついてしまう。
もう、俺が断られることは全く考えることもなく、ただいい男との出会いだけを期待していた。
Qiのママの話によれば、ターボは30~50代が主な客層の、二丁目では比較的落ち着いた店らしい。
若い子は嫌いではないが、むしろ好きだが、この年齢になって年が20も30も離れている子と、真剣にどうしようなどと思うことは流石に無い。
ただ、若い子は観賞用として、目の保養として愛でる対象でしかない。
今、真剣に運命の相手を探している俺としては、もう少し年齢が近く、一緒にいて片肘張らずにいられる相手が欲しいところだ。
新しい店のドアを開けるのは、さすがにとても緊張する。
果たしてどんな店なのか?どうか、穴倉みたいな小汚い古びた店では無く、それなりに客のクオリティーも期待できるお店でありますように。
そんな事を願いつつ、俺はターボの店の扉を開けた。
扉を開けると、そこは俺が思い描いていた、お洒落な雰囲気の空間が広がっていた。
「いらっしゃいませ~。どうぞ、空いてるお席に」
店のママらしき人は、縦にも横にもデカい人で、年は俺と同じくらいだろうか?人当たりのいい、耳にピアスなど開けているお洒落な人だった。
まだ開店したばかりだろうか?他に客のいない店内に恐る恐る俺は足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ、わたし、この店の女将をしていますツカサです」
ツカサママは、緊張していた俺の心を解してくれるような笑顔で自己紹介をした。
「お客様、初めてですよね?最初は何を飲まれます?」
「えーと、それじゃあレッドアイで」
俺は最近になって覚えたメニューで、飲み慣れている男アピールをしてみた。
「当店は何でお知りになったのかしら?」
「えーと、Qiのママの紹介で」
「あら、こんなイケメンのお客様を紹介してくれるなんて、Qiのママには足を向けて寝られないわね」
「そんな、イケメンだなんて大袈裟ですよ」
「それで、おいくつなのかしら?」
出た!ゲイ界隈の話のキッカケとなる鉄板ネタ、まずは年齢を聞く事!よーし、聞いて驚けよ。
「51才です」
「えぇ!?そんなに行ってるの?30後半くらいかと思ったわ!」
素晴らしい!なんて素晴らしいリアクションだろう。
「何をしたらそんなに若くいられるの?」
「えー?特に何も。洗顔してクリーム塗ってるだけですよ」
嘘です。本当は物凄い懸命に努力してます。
日光に当たらないように日陰から日陰に移動したり、美容クリームも10種類使ってるし、美顔器を3台駆使してスキンケアには毎日1時間かけてます。
「こちらのお店は、ママ1人で切り盛りしているんですか?」
「いいえ、あと30分くらいで1人来るわ。毎日日替わりで1人か2人入ってもらってるの」
なるほど。その店子の中に、もしかしたら運命の人がいるかもしれないな。
「ねぇ、あなた、店子に興味ある?」
「あっ、はい。興味あります」
「じゃあ、来週の火曜日から入ってね」
「はい?」
え?今の会話、どういう流れ?
「えっと、入ってねって、どういうことですか?」
「そのままよ。店子の仕事に興味あるんでしょ?だったら話は早いわ。人手が欲しいのよ、来週からよろしくね。あっ、もちろん最初は体験入店だから気負わずにね」
いやいやいや!俺が興味あるのは店子君であって、店子の仕事では無いから!
「こ、困ります!店子の仕事なんて俺には無理です!」
「大丈夫よ、そんなに難しく考えなくてもいいのよ。皆んなでサポートするから心配しないで」
これは、どうしたらいいのだろう?まさかこの年で店子にスカウトされるとは思っても見なかった。
「じゃあ、そういうことだからよろしくね」
「えぇ!ちょっと待って…」
何とか断ろうとしたが、そこに丁度お客さんが入ってきて、話は有耶無耶なまま中断されてしまった。
「あら、いらっしゃい。あっ、ゆーたさん、この子、来週からお店に入ることになったから、可愛がってあげてね」
あゝ、俺の預かり知らないところで、店子になる話がどんどん進んでいく。
こうして幾度となく店子になる話を断ろうと試みたものの、タイミング悪く話の腰を折られたりして、断るタイミングを完全に逸してしまった。
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