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ロマンシングサギ
アパートの前の急な坂道を、ひいこら言いながら俺はコンビニに向かって駆け上がって行く。
その隣を、近所の高校の野球部の子達が、息も切らさず戯れながら追い越して行く。
こころはまだ35才くらいのつもりでも、身体はやはり51才だなぁ、すぐに息が切れてしまう。
やっと坂を登り切って、急いでコンビニに駆け込む。すると、タイミング悪く1人の女がATMを操作していた。
『あー、もう!何でこんな急いでる時にタイミングよくいるかな?』
別に自分のATMでもないくせに、そんな悪態を心の中で吐いてしまう。
もう時間まで5分しかない。
気は急くけど、女はなかなかどいてくれない。
どけー、どけー、早くどけー、と心の中で女に向かって念を送る。
すると念が通じたのか、ようやく女は3分前になって操作を終えて帰って行った。
俺はOLのブラインドタッチ並みの高速でATMを操作した。
送金完了。どうにか時間までにミッションをやり遂げることに成功した。
さて、帰ったらルワン君に連絡しないと。
『入金しました』
ルワン君にメールを送ると、ホッと一息吐く暇もなく俺のスマホが鳴った。
『確認できました。ありがとうございます』
良かった、間に合った。
『それでは早速わたしの言うとおりにやってみて下さい』
いきなりかい!俺はアプリを開いて準備をした。
そこから先は、「待ちます」、「◯◯円買って下さい」、「売って下さい」と指示されるままに売買を繰り返した。
ろくに操作方法を教えてもらっていない上に、言葉が片言の日本語なので、何となく状況とニュアンスを汲み取って売買を繰り返した。
そして、1時間する頃に今日の取引が終わった。
『これで今日は3万円儲かりました。良かったですね』
スマホの画面を見てみると、確かに残高が130000JPYとなっている。
凄い!たった1時間、言われたとおりにしただけで、3万円も儲けてしまった。ありがたやーありがたや。
こんなに楽に稼げるなんて、FX様々だなぁ。これからはFXの時代だよね。
それから2日間、俺はルワン君に指示されながら売買を繰り返し、手元の資金は20万円近くに増えていた。
ここまで来たら、そろそろコツも掴んで来たし、独り立ちしても大丈夫かな。
そう考えた俺は、ルワン君に聞かずに自分の独断で取引をすることにした。
しかし、朝に底値をつけたと思っていたレートは、昼には下落して8万円ほどの損失を計上してしまった。
焦った俺は、何とか損失を取り戻そうとしたが、読みは裏目に出て手元の資金が10万円を割ってしまった。
どうしよう…せっかくルワン君に教えてもらって増やした儲けが、1日でマイナスになってしまった。こんなことルワン君に知られたら、きっと怒られるだろうなぁ。
俺は、ルワン君に怒られることを覚悟して、正直に独断で取引をして損失を出してしまったことを謝った。
『仕方ないです。でも、取引は最低10万円からしか出来ません。また10万円振り込んで下さい』
あ~ぁ、これは痛いなぁ。高い授業料になってしまった。これからはちゃんとルワン君の指示に従って取引しよう。もう欲張って失敗することのないように気をつけないと。
そして俺は翌日、ルワン君に言われたとおりに追加で10万円を振り込んだ。
ところが、振り込んで程なくしてルワン君はある提案をしてきた。
『20万円からできる、もっと得な取引があるから、あと10万円振り込んで』
え~、さっき振り込んだばかりなのに、またですか?
あれ?ところで今気づいたんだけど、どうしてルワン君は俺の口座の状況を知っているのだろう?ルワン君は俺の口座の金の流れを見ることができるということ?
そう考えると、いろいろと疑問点が思い浮かんでくるな。
どうして振込先は個人口座なのだろう?急がされて深く考えずに今まで振り込んでいたけど、なんかこれってテレビでやってる振込詐欺の手口に似ている気がする。
これってまさかとは思うが、ロマンス詐欺ってやつでは?俺、もしかして騙されてるってやつ!?
徐々に状況の深刻さを理解してきた俺は、とりあえずこれ以上の損をしないために、資金を回収することにした。
そして資金をメイン口座に振り替えたいとチャットで問い合わせした。
すると、証券会社のスタッフから「振り替えは40万円からできます」と、返事が返ってきた。
えぇ!それじゃあ、自分のお金なのに取り戻すことできないってこと!?
ここでようやく俺の中の小さな疑念は、はっきりとした疑惑になった。
やられた!俺、ロマンス詐欺に引っかかってしまったよ!
いつもニュース観ながら、こんなのに引っかかる奴いるのかね?なんて笑っていたのに、当の自分が見事に引っかかってしまうなんて、ミイラ取りがミイラになるとはこの事か。
そして、これ以降、ルワン君と連絡がつかなくなった。
ぐぬぬ…悔しい。何とかして取り返せないだろうか?
そうだ!法テラスに相談してみよう!
「いやー、私いつも思うんですがね、どうしてこんなのに騙されるのか不思議なんですよね」
結局、弁護士に笑われて終わってしまった。
こんなこと誰にも言えない。隼人にも言えない。こうして俺の人生史の1ページに、新たな黒歴史が記されることとなった。
その隣を、近所の高校の野球部の子達が、息も切らさず戯れながら追い越して行く。
こころはまだ35才くらいのつもりでも、身体はやはり51才だなぁ、すぐに息が切れてしまう。
やっと坂を登り切って、急いでコンビニに駆け込む。すると、タイミング悪く1人の女がATMを操作していた。
『あー、もう!何でこんな急いでる時にタイミングよくいるかな?』
別に自分のATMでもないくせに、そんな悪態を心の中で吐いてしまう。
もう時間まで5分しかない。
気は急くけど、女はなかなかどいてくれない。
どけー、どけー、早くどけー、と心の中で女に向かって念を送る。
すると念が通じたのか、ようやく女は3分前になって操作を終えて帰って行った。
俺はOLのブラインドタッチ並みの高速でATMを操作した。
送金完了。どうにか時間までにミッションをやり遂げることに成功した。
さて、帰ったらルワン君に連絡しないと。
『入金しました』
ルワン君にメールを送ると、ホッと一息吐く暇もなく俺のスマホが鳴った。
『確認できました。ありがとうございます』
良かった、間に合った。
『それでは早速わたしの言うとおりにやってみて下さい』
いきなりかい!俺はアプリを開いて準備をした。
そこから先は、「待ちます」、「◯◯円買って下さい」、「売って下さい」と指示されるままに売買を繰り返した。
ろくに操作方法を教えてもらっていない上に、言葉が片言の日本語なので、何となく状況とニュアンスを汲み取って売買を繰り返した。
そして、1時間する頃に今日の取引が終わった。
『これで今日は3万円儲かりました。良かったですね』
スマホの画面を見てみると、確かに残高が130000JPYとなっている。
凄い!たった1時間、言われたとおりにしただけで、3万円も儲けてしまった。ありがたやーありがたや。
こんなに楽に稼げるなんて、FX様々だなぁ。これからはFXの時代だよね。
それから2日間、俺はルワン君に指示されながら売買を繰り返し、手元の資金は20万円近くに増えていた。
ここまで来たら、そろそろコツも掴んで来たし、独り立ちしても大丈夫かな。
そう考えた俺は、ルワン君に聞かずに自分の独断で取引をすることにした。
しかし、朝に底値をつけたと思っていたレートは、昼には下落して8万円ほどの損失を計上してしまった。
焦った俺は、何とか損失を取り戻そうとしたが、読みは裏目に出て手元の資金が10万円を割ってしまった。
どうしよう…せっかくルワン君に教えてもらって増やした儲けが、1日でマイナスになってしまった。こんなことルワン君に知られたら、きっと怒られるだろうなぁ。
俺は、ルワン君に怒られることを覚悟して、正直に独断で取引をして損失を出してしまったことを謝った。
『仕方ないです。でも、取引は最低10万円からしか出来ません。また10万円振り込んで下さい』
あ~ぁ、これは痛いなぁ。高い授業料になってしまった。これからはちゃんとルワン君の指示に従って取引しよう。もう欲張って失敗することのないように気をつけないと。
そして俺は翌日、ルワン君に言われたとおりに追加で10万円を振り込んだ。
ところが、振り込んで程なくしてルワン君はある提案をしてきた。
『20万円からできる、もっと得な取引があるから、あと10万円振り込んで』
え~、さっき振り込んだばかりなのに、またですか?
あれ?ところで今気づいたんだけど、どうしてルワン君は俺の口座の状況を知っているのだろう?ルワン君は俺の口座の金の流れを見ることができるということ?
そう考えると、いろいろと疑問点が思い浮かんでくるな。
どうして振込先は個人口座なのだろう?急がされて深く考えずに今まで振り込んでいたけど、なんかこれってテレビでやってる振込詐欺の手口に似ている気がする。
これってまさかとは思うが、ロマンス詐欺ってやつでは?俺、もしかして騙されてるってやつ!?
徐々に状況の深刻さを理解してきた俺は、とりあえずこれ以上の損をしないために、資金を回収することにした。
そして資金をメイン口座に振り替えたいとチャットで問い合わせした。
すると、証券会社のスタッフから「振り替えは40万円からできます」と、返事が返ってきた。
えぇ!それじゃあ、自分のお金なのに取り戻すことできないってこと!?
ここでようやく俺の中の小さな疑念は、はっきりとした疑惑になった。
やられた!俺、ロマンス詐欺に引っかかってしまったよ!
いつもニュース観ながら、こんなのに引っかかる奴いるのかね?なんて笑っていたのに、当の自分が見事に引っかかってしまうなんて、ミイラ取りがミイラになるとはこの事か。
そして、これ以降、ルワン君と連絡がつかなくなった。
ぐぬぬ…悔しい。何とかして取り返せないだろうか?
そうだ!法テラスに相談してみよう!
「いやー、私いつも思うんですがね、どうしてこんなのに騙されるのか不思議なんですよね」
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