51才ゲイだって恋したい!

あらんすみし

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8th children

豪君にまさかの彼氏いる発言が飛び出してから、俺の酒を飲むピッチはアクセルベタ踏み、それこそ浴びるほど飲むという状態だったと思う。
いや、豪君ほどのイケメンなら、最初から彼氏の存在を疑ってかかるほうが普通だったのかもしれない。それを怠ってしまった此方の方が悪いというもの。
むしろ、本気になる前に発覚して、傷が浅く済んで良かったではないか。
「ちょっと、なんかピッチ早くない?大丈夫なの?」
たーくんが、俺の尋常ならざる飲み方を心配してくれている。
だーいじょーぶれーす、心配不要れーす。
♪飲ませて~ください~もう、少し~
今夜は~帰らな~い、帰りたくない♪
あー、もう本当に部屋に帰りたくないわ。
ビール10本、ハイボール18杯、水割り12杯を飲んだ俺は、訳の分からない軟体動物のようにグニャグニャになった。
身体中のありとあらゆる関節を失い、全筋肉が弛緩したようになり、まともに立って動けず、地べたを這うように移動した。
そして、宴会場のど真ん中で、立ちあがろうとしては崩れ落ちる、コンテンポラリーダンスのような動きを繰り返した。
その動きは、さながら暴走したエヴァンゲリオン初号機を想起させるものだった。
その様子を、その場にいた全員が爆笑して取り囲み、囃し立てる。
それに煽られて、皆んなの注目を一身に集めて気持ちよくなっている俺は、皆んなの期待に応えようとして、さらにノリノリで暴走したエヴァンゲリオン初号機の真似を加速させていく。
やがて部屋の中は、エヴァコールが巻き起こり、俺は気持ちが最高に高揚したところで、目の前が突然真っ暗になり、動けなくなった。
それはさながらエヴァンゲリオンが内蔵電源切れで停止したかの如く。
そこからは記憶が無い。
次に目を覚ました時、俺はなぜか貴之君と2人きりで自販機コーナーのソファに腰掛けていた。
「あっ、起きた?はい、水飲む?」
貴之君は俺にペットボトルを差し出してくれて、俺はそれを受け取り一気に半分くらい飲んだ。
水を飲んだことで、多少気持ち悪さも和らいで、俺は少しづつ記憶を遡り始めた。
しかし、どうしてもあの後の記憶が思い出せない。
「あの、あの後、俺はどうなりました?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
「大したこと無いよ。突然動かなくなったあと皆んな少し焦ったけど、すぐに再起動して1人で部屋に戻ろうとしたんだけど、足元がおぼつかなかったから同室の僕が代表して部屋まで背負って運ぶことにしたんだ。でも、ここまで来て君が気持ち悪いと言ったから、一旦下ろして休んでいるというのが現状だよ」
あの後、さらなる大きな失態は無かったみたいだけど、でも、こうして迷惑かけちゃって本当に申し訳ない。
俺は、ひたすら「すいません」、「ごめんなさい」を繰り返した。
すると、貴之君はそんな俺の太腿に手を添えてきた。
俺が小さく驚いて貴之君を見ると、彼とバッチリと目が合った。
すると、彼の顔が近づいてきて、俺の唇に唇を重ねた。
そこからはもう、大人の濃厚なキスが続いた。
ほんの数十秒くらいだと思うのだが、体感は10分くらいしていたような、濃厚なキスだった。
「キス、上手だね」
貴之君は、キスを終えてからそんなことを言って俺を恥ずかしがらせた。
「そんな恥ずかしそうにしているところも好意に値するよ」
「好意?」
「好きってことさ」
『好き』
なんて甘美な言葉なんだろう。そんな言葉を言われたのは、果たして十何年ぶりだろうか?遠い過去の記憶から、忘れかけていた感情が蘇る。
「僕と付き合ってみませんか?」
戸惑う俺に、貴之君が語りかける。
どうしよう?彼こそが、俺の求めていた運命の人そのものなのだろうか?
俺は思わず彼の胸に崩れ落ちそうになるのを、かろうじて堪えていた。
「ダメ?」
いや、全然ダメじゃない。でも、本当にこんな奴でいいの?自分なんかでいいの?だけど、この年になって、これから先もうこんなチャンス、二度と無いかもしれないと思うと、このまま身を委ねるのも悪くないかもな、と思った。
「よろしくお願いします」
俺は、貴之君の想いを受け入れて陥落してしまった。
「よかった…」
貴之君は、そのまま俺を優しく抱きしめてくれた。
こうして俺の長い旅も終わりを告げた。
これから俺は、末永く彼と幸せな生涯を送ることとなりました。
おめでとう、自分。
【51才ゲイだって恋したい!全9話 終劇】




「8人目だから会えるの2ヶ月に一回くらいになるけど、よろしくね」
はい?なんですか、8人目って?
「僕、彼氏が7人いるんだ。だから君は8人目」
「えっ?ちょっと何言ってるのか分からない」
「僕は一夫多妻主義なんだ。でも安心して。全員を平等に愛するから、最初は慣れないかもしれないけど寂しい想いはさせないよ。それにオープンリレーションシップを推奨してるから、バレない限りは浮気もOKだから」
「…」
気がつくと、俺は無意識に彼をグーで殴っていた。

追記
この合宿のあと、俺のあだ名は初号機になりました。


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