MMK(モテてモテて困る)

あらんすみし

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チョコレートコスモス

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あの日からというものの、僕の頭の真ん中は堀田のことでいっぱいになった。
授業中もチラチラと堀田のことを見たり、野球部の練習でも堀田の姿を探したり、気がつけば堀田のことばかり考えている。
「最近、元気ないよ、浩介君。」
「ん?そんなことないよ、堀田。」
・・・。あれ?
「私、堀田君じゃないけど。」
え?
あ"ーーー!!しまった!!僕としたことが、堀田のことばかり考えすぎてて、本郷さんのことを堀田と呼んでしまったーーー!これは痛恨の一撃!!
「私、帰る。」
本郷さんはへそを曲げて帰ってしまった。僕はただ、本郷さんの後ろ姿を立ち尽くして見送ることしかできなかった。
あぁ、本郷さんを怒らせてしまった。普通の恋人同士なら、こういう時、どうやって仲直りするんだろ?経験値の無い僕には難しすぎるよ。
と、街をトボトボ歩いていたら、僕は堀田にばったり出くわした。
「どうした?しけた顔して。本郷さんと喧嘩でもしたか?」
はい、そのとおりです、図星です。
「どんな理由があるのか知らないけど、とにかく謝り倒せ。誠意を見せるんだ。こう言う時は、大抵男が悪いと相場が決まってるものだ。」
堀田は詳しいことは聞かず、僕を励ましてくれた。僕が堀田のことばかり考えていたから、なんてことは言えない。そんなこと言ったら、何かが終わりそうな、大切なものを失いそうな気がしたから。

そんなこんなで季節は夏。全国的に夏休みに突入していた。
堀田のアドバイスのおかげで、本郷さんとはあの後どうにか事なきを得て、夏休みを前に仲直りできた。
そんなある日、僕は本郷さんと花火大会に行くことになった。
「浩介君、お待たせ~。」
本郷さんは、淡いピンクの浴衣を着て来た。相変わらず何を着てもかわいい。僕が瞬きも忘れて見惚れていると、本郷さんはいたずらっぽく笑って喜んだ。
僕たちは花火がよく見える穴場に移動した。事前にリサーチしておいた甲斐があって、打ち上げ地点からも近くて最高のロケーション。本郷さんもテンションが上がっているようだ。
「すごーい!こんな間近で見られるなんて思わなかった。浩介君、ありがとう。」
よかった、本郷さんが喜んでくれて。頑張って探した甲斐があったよ。さて、どこが空いてるかな?あっ、あそこ空いてるな。
「すいません、ここ、空いてますか?」
僕は、空いているスペースを見つけ、隣に座っている2人組に声をかけた。
「空いてますよ。・・・あ、浩介じゃないか。」
なんと、そこにいたのは堀田のカップルだった。
「奇遇だなぁ、こんなことがあるなんて。」
「これって、まるでWデートね。ねぇ、浩介君。あら、そちらが堀田君の彼氏?女の子みたいにかわいいのね。」
「こんばんは、本郷さんの噂はかねがね。本当にかわいいんですね。僕なんか、足元にも及ばないです。」
「そんなこと無いわ。あっ、その浴衣かわいい~。よく似合ってる~。」
なんか、本郷さんと堀田の彼氏は、お互いに褒めあってマウントを取り合っている。少し早いけど、ここでは本番より少々早めに花火が打ち上がっている。そんな感じ。
いよいよ花火大会の開始時間になって、花火が打ち上がる。まるで僕たちの直上で花火が咲いているようなくらい近い。
ピンクや黄色、緑や青。いろいろな色が周囲と堀田の姿を彩っている。僕は、そんな堀田の横顔から目が離せなかった。
堀田の横顔って、綺麗だなぁ。
「あれ?本郷さんは?」
堀田の彼氏が、本郷さんがいないことに気がついた。
あれ?どこに行ったんだろ?辺りを見回すと、本郷さんの後ろ姿を見つけることができた。トイレにでも行くのかな?
「森田さん、早く彼女を追いかけて!」
堀田の彼氏が言う。え?どういうこと?
「詳しいことは分からないけど、彼女、たぶん怒って帰っちゃったんだよ!早く追いかけて!」
僕は何も考えずに、まるで磁石に引き寄せられるように走った。懸命に走った。そして僕は本郷さんを捕まえた。どうして、何を怒っているの?本郷さん。
「だって、浩介君、最近、全然私の事見てくれないんだもん。ううん、違う。浩介君が私を見てくれないんじゃなくて、浩介君は堀田君のことばかり見ている。授業中もずっと堀田君のことばかり見てる。浩介君の中に、もう私はいないのよ。」
そうか、本郷さんは気づいていたんだ。僕が堀田のことしか見てないんだって。
「私たち、もう別れましょ。」
僕は何も言えなかった。ただ、本郷さんの別れを受け入れるしか出来なかった。
立ち尽くす僕を残して、本郷さんは去って行った。僕は最低だ。あんなに大切に思っていた本郷さんを悲しませて、傷つけてしまった。ごめんなさい、本郷さん。
こうして僕の初めての恋は、初めての失恋となった。

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