MMK(モテてモテて困る)

あらんすみし

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【おまけ】堀田の、恋。

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俺の名前は堀田洋平。
横浜生まれ、横浜育ち。生粋の浜っ子。中学卒業したての15歳。
この春から、都内の名門進学校の帝王学園に進学した。
自分で言うのも何だが、俺は文武両道で、勉強だけではなく野球もそこそこ自信がある。
そんなんだから、けっこう女子にも人気がある。まぁ、男が好きな俺には関係ないのだけど。
今まで付き合ってきた彼氏の数は、パッと思い出せるのだけでも少なくとも5人。多ければ7人以上。初めて付き合った彼氏は、小6の時に仲がよかった友だちの兄貴だった。
忙しい時は三股をしていたいう時もあったし、経験人数は途中で数えるのをやめた。
そんなこんなで、俺は自分自身が怖いくらいリア充な人生を歩んできた。まるで、神から祝福されているかのような、特別な人生。これからもずっと、俺の人生は輝き続けるのだろう。
さて、そんな俺は当然のことながら、高校でも特別な高校生活を送るものだと当たり前のように考えていた。友人に恵まれ、野球部では甲子園目指して汗を流し、そして何より充実した恋愛を楽しむ
・・・。
あの瞬間、俺の人生観を大きく変える出会いに巡り合うまでは、そう考えていた。
それは突然の出会いだった。俺は高校生活を彩る、自分に相応しい男子を物色していた。
中学の時みたいに、手当たり次第に食い散らかすようなことはやめよう。後々面倒なことにもなりかねないし、そろそろいい加減落ち着きたい。
だ・れ・か・い・な・い・か・な?
その時だった。彼が現れたのは。
彼が教室に入ってきた時の衝撃は、今までに感じたことのないものだった。
つぶらな瞳、決して高くはないけど芯の強そうな鼻筋のとおった鼻、愛らしいアヒル口、少年のような丸顔、ムースなどつけてない洗いざらしで何も手入れをしてない寝癖のついた髪、小柄でまるで小動物のような愛らしさ、都会の絵の具に染まっていない素朴さ、これは開発のしがいがありそう・・・今まで付き合ってきたどの彼氏とも違う。俺のタイプはと言えば、髪はサラサラで、睫毛が長くて、透き通るような肌、まるで女子のような華奢な体格。正直、この子は自分のタイプからはかなり外れているが、何だろう、このはじめての感覚は?
彼は、座席表で自分の席の位置を確認すると、まっすぐ俺の方に向かってきて、俺の後ろの席に座った。
その時、俺は思った。やはり、俺は神から祝福されていると。きっと、次に付き合うべき男は、この子なんだと。これは神の思し召しなのだと。
俺は迷わず彼に話しかけた。
「ねぇ、君、どこ中?」
彼は福岡から来たということだった。ずいぶんと遠くから来たんだな。
俺は彼に握手を求めた。うわー、柔らかくて可愛い手!ニヤニヤが止まらない!
ん?なんか、さっきから上の空だな。彼の視線が別のところを見ている気がするのだが?俺がその視線の先を見ると、そこには世間一般でいうところの美少女がいた。それも、かなりの美少女だ。
そうか、この子はこういう女子がタイプなのだな。本郷さんか・・・相手にとって不足は無い。俺の闘志に火がついた。
ここは先に仕掛けるか?いや、少し様子を見よう。
「ねえ、2人は友だちなの?」
ナイス質問!
「そうだよ。」
「違うよ!」
即座にムキになって否定するところが、また新鮮だ。
「まずは友だちから、って奴だよ。」
「なんだよ、それ。まるで男女の告白みたいじゃないか。」
彼がそうやってボヤくので、俺は先制パンチを喰らわせた。
「そうだよ。俺たち、付き合おうよ。」
沈黙。
「へ?」
かわいい、あっけに取られている彼もかわいいな。よし、ここから波状攻撃を仕掛けるぞ。
「すてき、運命的な出逢いね!」
本郷さん、ナイスアシスト。
「ありがとう、応援してくれて。なぁ、まずは友だちから、いいだろ?なんならお試し期間でもいいから。」
俺は彼に本気が伝わるように、今度は真剣な眼差しで問いかけた。こうして緩急をつけることで彼を翻弄する。
「は・・・はあ。」
「よっしゃ!とりあえずRINE交換しようぜ。」
俺は彼に考える隙を与えず、すぐにスマホをかざしてQRコードを読み取るように彼に促した。
「あー、いいなぁ。ねぇ、私たちでグループRINEしない?」
うーん。正直、俺は彼とRINEができればそれだけでいいのだが・・・そうだ!クラスメイト全員を巻き込むことで、外堀を埋めよう!
「お!楽しそう、そうしよう。いっそクラスの皆んなでグループRINEやろう!」
こうして、俺と彼はクラスで公認の仲となる。
よし、これで外堀は埋められた。こうなればあとは押せ押せでいけば確実に落とせる。絶対に俺のものにしてみせる。

そして、その日の放課後、俺は強引に森田くんと下校することにした。
「浩介はさぁ、部活何入るの?」
いきなり下の名前で、しかも呼び捨ては馴れ馴れしいかとも思ったが、ここはもう押せ押せだ。一気に距離を縮めるぞ。
「えっと・・・何も考えて無かった。堀田君は?」
「俺は野球部。リトルリーグからずっとやってきたからな。浩介も野球部に入らないか?」
挨拶代わりにちょっとプチ自慢というか、武勇伝を披露。
「え!僕には無理だよ。やったこと無いし、球技全般苦手なんだ。」
「やれとは言ってないよ。マネージャーとしてどうかな、と言ったんだよ。浩介、気が利きそうだし、そしたら俺が必ず甲子園に連れて行ってやるよ!」
一緒に甲子園目指そうぜ!俺が必ず甲子園に連れて行ってやるから。
「あのさ、堀田君。」
「じゃあ、俺、用事あるから今日はここで。ごめんな、家まで送れなくて。」
そして俺は思いっきり力を込めて浩介をハグした。あ~、たまらない、この絶妙な抱き心地。ずっとこうしてたい。ていうか、絶対にそうなるようにしてやる!
「じゃあな!またあとでRINEするから!」
俺は足取りも軽やかに浩介と別れた。あぁ、このあと用事が無ければ浩介を家まで送り届けて、家を突き止められたのに~。

しかし、次の日、俺は浩介が弓道部に入ったという残念な報せを聞かされる。
さすがに野球部にまで引き摺り込むことはできなかったか。まぁいい。ちょっとだけ計画に狂いが生じただけだ。いくらでも修正できる。
しかし、その数日後には、浩介は俺の想定と反して、バイトまで始めてしまった。俺の抱いていたイメージと違ってバイトまで始めるとは、浩介は意外とアクティブなんだな。これは想定外だった。致し方ない。ここは計画を変更して、力技でいくしかなさそうだ。

さて、どうしようか。計画を練り直していた、そんな時だった。
ピロン♪
浩介からRINEが届いた。何だろう?こんな時間に?
『堀田は、僕のどこが好きなの?』
難しい質問だ。ルックスは俺のタイプとはかけ離れているし、1つ1つ答えるのは無理だ。かくなるうえは。
『全部♡』
送信。
ピロン♪
『ちゃんと答えてよ』
可愛いなぁ、そんなことおねだりしちゃって。ここは俺の本気度を伝える絶好のチャンス。
『愛することに理由は無い』
決まった!これは名言だろう。きっと浩介の心にも刺さるはず。
送信っと。
そういえば、浩介は俺のことをどう思っているのだろう?ついでだから聞いてみよう。
『浩介は、俺のどこが好き?』
送信っと。
ピロン♪
『アホなところ』
ははは。酷いなあ、でもこんな返しが返ってくるようになったのも、だいぶ2人の距離が縮まった証明だ。よーし。
『ありのままの俺が好きってこと?w』
送信♪
その夜、俺と浩介の楽しいやりとりは明け方まで続いた。浩介も楽しんでくれたのなら嬉しいな。
しかし、次の日の夜。俺は血の気が引いた。
ピロン♪
『明日、話しがある。』
おっ!珍しく浩介の方からお誘いか~?
『わかったー。部活無いし、久しぶりにデートしようぜ。』
送信っと。
このあといつもどおりなら、浩介は絶対に「デートじゃない!」と否定してくるはず。わかりやすいなぁ、でも、そんな所がまた愛おしい。
しかし、この日はいつまで待っても、浩介から返事が返ってくることは無かった。
あれ?何も返ってこない。どうしてだろう。今までこんなこと無かったのに。もう寝たのかな?まさかとは思うけど、そんなわけないよな。この俺がフラれるなんて・・・まさかね。でも、この胸騒ぎは何だろう?こんなことは初めてだ。俺は眠れなかった。

次の日の朝。イヤな予感は収まるどころか、昨日より増幅していた。まさかこの俺がフラれるなんてことが?いや、そんなわけない。一度たりともフラれたことなど無い俺が、フラれるなんてあってはならない。イヤな予感が浮かんでは、それを打ち消す、それの繰り返しだった。
とりあえず、いつもの調子で様子を見よう。大丈夫、きっとただの取り越し苦労だ。
「おはモーニング」
俺は精一杯虚勢を張って、いつもどおりのテンションで浩介と向き合った。
浩介は、やはりいつもの調子と違う気がする。やはりそうなのか?だが、まだ確証は持てない。どうしたらいい?そうだ、このあとに行く映画で手を繋いでみて、拒否されたらいつもの浩介で、拒否されなかったらフラれることを覚悟しよう。
映画が始まると、俺は映画どころではなかった。いつ手を握ろうか、タイミングを見計らっていた。これまでの俺なら、こんなことで緊張することなど無かったのに、今は怖くて怖くてたまらない。何しろ、こんな経験は初めてだ。どうか、いつものように突っぱねてくれ。
俺は、覚悟を決めて浩介の手に触れてみた。反応は無い。浩介の手に、自分の手を乗せてみる。
・・・。
浩介は、俺の手を握り返してきた。
そうか・・・俺、フラれるんだ。

「あ~、面白かった。浩介も面白かった?」
「うん。」
嘘つけ~このやろ~・・・つら・・・。
「今日が最後だと思うと、込み上げるものがあるよなぁ。ずっと、今日が終わらなければいいのに。」
頼む、否定してくれ。いつもみたいに『何言ってるんだよ』って返してくれ。
「ごめんなさい」
やはりそうか・・・聞きたくなかった。
「やっぱりそうか・・・」
「いつから、わかってたの?」
「昨日、話しがあるってRINEで言われた時。いつもなら、デートじゃない!って反応なのに、昨日はデートを否定しなかったから。」
「ごめん」
「いいんだ。謝らないで。押せ押せでいったら、浩介が俺のものになるんじゃないかな、と思っていた俺が悪いんだから。」
そう、全ては俺が悪い。きっと、今までたくさんの男を傷つけてきた罰があたったんだ。神様、ごめんなさい。今更懺悔しても遅いけど。
「やばい。最後は笑顔で終わらせるって決めてたのに、目から鼻から水が出て止まらん。」
浩介に涙は見せたくない。こんな情け無い俺を見られたくない。
俺は、浩介に見られないように背を向けた。
「もう行ってくれ。俺、もう少し散歩でもしてから帰るから。」
浩介も泣いている。たぶん、俺を傷つけたと思って泣いているんだ。優しいな、浩介は。でも、そんなこと思わないでいいよ。浩介は、何も悪くない。悪いのは、浩介の気持ちを考えないで突っ走った俺の方なんだから。
浩介が去った後、俺はしばらく放心状態だった。いつ止まるとも知れない涙と鼻水。あぁ、涙って、こんなに出るものなんだ・・・初めて知った、人がこんなに泣けるなんて・・・初めてだ、俺がこんなに泣くなんて。もう、一生分の涙が出たんじゃないかと思う頃、ようやく涙は止まった。

それから3日間、俺は立ち直れずに学校を休んだ。どんな顔をして浩介に会ったらいいのかわからない。今はまだ、フラれる前のようには振る舞えない。振る舞う自信が無い。そんな時、浩介からRINEが届いた。何だろう?浩介からRINEなんて?
『私は森田君の友人で海老原といいます。森田君が自転車にはねられました。来てくれる方は、帝王大附属病院まで来てください』
な、なんだってー!
俺は何も考えずに家を飛び出した。浩介、どうか無事でいてくれ!神様、どうか浩介が無事でありますように、お願いします、願いを叶えてくれるなら何でもしますから!
気がついたら、俺は病院の前にいて、ふと我に返った。
勢いで病院まで来てしまったが、果たして、浩介は俺が来ることを望んでいるのだろうか?俺が来ても、迷惑なだけなんじゃないだろうか?そんなことを考えたら、急に怖くなって足がすくんで、病院の中に入ることができなかった。
どれくらいの時間、病院の入り口で逡巡していただろう?すると、浩介が病院から出てきた。たいした怪我も無さそうだ。良かった。
浩介が俺の姿に気づいた。
「来てくれたんだ・・・」
良かった。浩介は俺を拒まれなかった。
「怪我、大丈夫か?」
「うん、ちょっとしたかすり傷。」
良かった、たいしたことなくて。でも、どことなく元気が無い気がする。
「そうか、気をつけて帰れよ。」
俺は、いろいろと聞きたいこともあったが、浩介がたいした怪我も無く、元気そうな姿を確認して安堵した。
そして、俺はそのまま帰路についた。
でも、やっぱりこんな時にいちばん近くにいられないというのは辛い。
そんな時だった。以前付き合っていた翔太から連絡があったのは。
俺は、浩介のことを忘れたくて、翔太に救いを求めた。求めて縋ってしまった。
俺は初めて、自分がこんなに情け無くて、弱い奴だと思い知らされた。
そうか、誰でも良かったんだ。ただ、支えが欲しかったんだ。その頃の俺は、まるでほとんど土台の砂を掻き取られてしまったかのような、棒倒しの棒みたいだった。倒れないようにすることだけで精一杯で、あと一押しすれば倒れてしまうくらい危うくて、倒れなければ支えなんて何でも良かったんだ。
俺は、楽な方に流されて翔太と寄りを戻すことにした。

それからの浩介の周りは騒がしかった。急にヤンキーがやって来たこともあった。
俺は、浩介が悪い奴らに付き纏われているのか、それとも浩介に悪い友だちができて、悪の道に染まってしまうのではないかと気が気じゃなかった。
そう思ったら今度は他校の真面目そうな生徒が来たこともあった。真面目そうな高校生とも親しくしているのを見て、それでかなりホッと胸を撫でおろすこともできたりしたが、ずいぶんと人の出入りが激しいようだけど、心配だ。変な虫がつきませんように。
そういえば、そのあとこんなこともあった。俺と翔太が寄りを戻して数日後のことだった。浩介が自殺未遂騒ぎを起こしたのは。
浩介が校舎の屋上から飛び降りようとしていた。
その様子をグラウンドから見ていた俺は、すぐさま屋上へと向かった。体が自然と反応して動いていた。浩介、何を早まっているんだ?俺が必ず助けるから、それまで待っていてくれ!
しかし、俺が駆けつけた時には、すでに浩介は先生達に付き添われて、保護されていた。
何が起きたのかよくわからないが、浩介も情緒不安定なのだろうか?まだ、俺を傷つけたと自責の念に囚われているのだろうか?心配だ。俺が近くについていてやりたいが、今はそうすることができない。
なんとか、浩介の力になれないだろうか?

しかし、その心配は稀有だったようだ。
それから数日後には、浩介は本郷さんと付き合うことになったから。
浩介、良かったな。憧れの本郷さんと付き合うことができて。少し妬けるけど、2人ならお似合いだ。
願わくば、本郷さんと付き合うことで、浩介の精神が安定してくれたらいい。
今の俺にできることは、そんなことを願うことしかできない。

それからの俺の生活は、比較的平穏だった。浩介とはあまり喋らなくなったけど、離れたところからでも見守れるだけで良かった。浩介は、本郷さんと付き合うようになってから、精神的にも安定しているようで安心した。まるで、何か憑き物でも取れたかのような、穏やかな笑顔を見ていると、俺も幸福な気持ちになれた。

浩介が本郷さんと付き合い始めてから1ヶ月した頃、俺は翔太とのデートの待ち合わせで公園に行った。すると、そこには浩介が人待顔で立っていた。おおかた、本郷さんと待ち合わせだろう。
俺は、浩介と接触を試みた。
「よお、何してるの?待ち合わせ?」
「う、うん。本郷さんと。」
あぁ、やっぱりね。
「そうか~。順調なんだな、お前ら。」
ちょっとだけ妬けるな。いいな、本郷さんは、浩介と付き合えて、好きになってもらえて。
「ほ、堀田は何してるの?」
「俺もデートだよ。」
本当は浩介とデートしたいな。翔太という彼氏がいるのに、俺はそんな最低なことを考えていた。
「あぁ、聞いたよ、元彼と寄りを戻したって。・・・堀田も早く来すぎたの?」
そうか、もう俺が翔太と寄りを戻したのを知っているんだ。浩介には、あまり知られたくなかったな。
「いや、彼氏の方が遅刻してるんだ。」
2人の間にしばし沈黙が訪れる。
気まずいな。なんとか会話の糸口を掴まないと。そうだ!
「もし、時間があるなら、そのへんで軽くお茶でもしない?最近、2人で話すこともなかったし、久しぶりに話したいこともあるし。」
最近、2人きりで話すことなんて無かったから、久しぶりに浩介とサシで話したかった俺は、思い切ってお茶に誘ってみた。

「俺、アイスコーヒー。」
「僕はオレンジジュース。」
オレンジジュース、好きなんだ?浩介らしくてかわいいな。
俺たちは、待ち合わせ場所のよく見える窓際の席に座った。
「ぶっちゃけ、お前、本郷さんとはどこまで進んだの?」
俺はいきなり浩介にド直球な質問をかましてみた。それが俺のいちばん気になることで、聞いてみたいことだったから。浩介の反応は、かなり動揺しているようだった。これはもしかして・・・。
「まだ手繋ぎしかしてないだろ?」
浩介はさらに動揺を隠せない。わかりやすい。どうやら本郷さんとはそれほど進展していないようだ。まだ浩介が誰の色にも染まっていないことがわかって、内心ホッとした自分がいた。
「そんなことだろうと思った。もう1カ月だろ?さっさとキスくらい済ませろよ。」
違う、これは本心ではない。浩介には、このままずっと白いカンバスのように、純心でいてほしい。でも、俺は浩介の彼氏では無い。いつかは、浩介も俺の知らない浩介になってしまうのだろうな。それがちょっと悲しくて寂しい。
その時、俺のスマホが鳴った。翔太からの着信だった。
「あ、意外に早く着いたみたいだな。そうだ、ついでだから、俺の自慢の彼氏を紹介するよ。」
あまりこういうことはしたくないが、こうして今、俺が充実している姿を見せられたら、浩介も少しは安心してくれるだろうか?と思って会わせることにした。
「浩介、これが俺の彼氏の翔太。翔太、これがこの間話してた同級生の浩介。」
「こんにちは、彼がお世話になってます。」
浩介、俺はこいつと幸せになる。だから、もしまだ俺を傷つけたりした、なんて思っているなら心配しなくていい。だから、浩介は本郷さんと幸せになれ。それが今の俺の心からの願いだ。
「ごめんねー。服を選ぶのに時間がかかっちゃって。」
ったく、相変わらず時間にルーズだな。こういうところがイヤで別れたんだよなぁ、たしか。浩介みたいに時間前集合を心がけてほしいよ。浩介の爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいよ。
「いいんだよ、まだ時間あるし。浩介、それじゃあな。今日こそキスしろよ。」
頑張れよ、浩介。ちょっと複雑な気持ちだが。幸運を願う。

と、そんなふうに浩介の健闘を願うような事を言っていたが、俺の頭の中は浩介のことでいっぱいだった。どうしよう、本当に今日、浩介が本郷さんとキスをしたりしたら。
浩介のことだから、ファーストキスはまだ未経験だろう。浩介のファーストキスを奪うのは、本来であれば俺の方が相応しいはずなのに・・・。
そんなことばかり考えていた俺は、目の前にいる翔太とのデートに、全く集中することができなかった。

別の日、もうすぐ夏休みという時だった。
「ねぇ洋平、さっきからどうしたの?ずっと上の空だけど。」
「うん?何でも無いよ、浩介。」
・・・。
あっ、しまった!
「僕、森田さんじゃないよ!」
「ご、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。」
浩介のことばかり考えていたら、翔太を浩介と呼んでしまった!
「僕、帰る!」
あちゃ~。翔太を怒らせてしまった。あとで謝らないと。
うっかりしていた。三股していた時でさえ、完全に使い分けていたのに、こんなケアレスミスを犯すなんて。どうかしてるぞ、堀田洋平!
俺は店を出て、とぼとぼ街を歩いていると、ばったり浩介と出くわした。
浩介・・・なんか、元気無いけどどうしたんだろう?よし、ここは俺が励ましてやろう。それくらいは許されますよね、神様?
「どうした?しけた顔して。本郷さんと喧嘩でもしたか?」
浩介は否定も肯定もしなかったけど、俺にはわかった。本郷さんと、何かあったと。差し詰め、何が理由かはわからないけど、浩介が本郷さんを怒らせることをしたのだろう。
「どんな理由があるのか知らないけど、とにかく謝り倒せ。誠意を見せるんだ。こう言う時は、大抵男が悪いと相場が決まってるものだ。」
何を言っているんだ、俺は?
恋人を怒らせてしまったのは俺も同じなのに、何を偉そうに講釈垂れているのだろう?
でも、浩介、お前は大丈夫だ。ひたすら謝り倒せば、きっと誠実を絵に描いたようなお前なら、本郷さんも許してくれるよ。何をしたのか詳しくは聞かないが、いざと言うときは俺が・・・いかん、何を考えているんだ。人の弱みにつけこんで、あわよくば浩介と付き合っちゃおうなんて妄想して。人様の彼氏を奪おうなんて、そんなの俺の信条に反することだぞ。
人に偉そうにアドバイスする前に、自分自身を律するんだ。
はぁ~、俺も後で翔太に謝り倒さないとな。
お互いに辛いな、浩介。
俺は、翔太に謝り倒して何とか許してもらえた。これからは、気をつけて浩介の名前を間違えて呼ばないように、厳重に警戒せねば。

そして、全国的に夏休みに突入したある日、俺と翔太は花火大会へ行くことになった。
翔太はずいぶんと気合いを入れて、勝負服ならぬ勝負浴衣を着て来た。
「翔太、すごいかわいいよ。よく似合っているよ。」
俺は、内心目の前にいるのが浩介だったら良かったのに、と最低なことを妄想していた。でも、浩介の浴衣姿を見てみたかったなぁ。
俺たちは、事前に翔太がリサーチしてきた穴場に向かった。さすがに穴場ということもあって、本会場に比べて人の数は少なかった。
「すいません、ここ、空いてますか?」
俺は2人組に声をかけられた。
「空いてますよ。・・・あ、浩介じゃないか。」
なんと、そこにいたのは浩介と本郷さんのカップルだった。
「奇遇だなぁ、こんなことがあるなんて。」
こんな偶然、あるのだろうか?神様、あなたの気まぐれは残酷です。少しずつ、浩介のことを整理しようとしているのに、こんな残酷な偶然を用意するなんて。でも、内心ちょっと嬉しかった自分もいて、ちょっと複雑な感情でもあった。残念ながら浩介は浴衣では無かったけど。
「これって、まるでWデートね。ねぇ、浩介君。あら、そちらは堀田君の彼氏?女の子みたいにかわいいのね。」
「こんばんは、本郷さんの噂はかねがね。本当にかわいいんですね。僕なんか、足元にも及ばないです。」
「そんなこと無いわ。あっ、その浴衣かわいい~。よく似合ってる~。
女同士(片方は女では無いが)は怖いな。お互いに誉め殺ししてマウントを取り合うのだから。
その時、花火の打ち上がる音が聞こえて、俺たちの頭上で大輪の花火が咲いた。
赤や黄色、青や緑。様々な色が辺りを彩っている。俺は、今日来て良かったと思った。こうして浩介と一緒に花火を見ることができたのだから。
昔は、ただ彼氏と一緒に花火を観るなんてことくらいで、こんなに嬉しいなんて思ったこと無かったな。
でも、どうしてだろう?浩介と一緒だと、こんな些細な出来事でさえ嬉しいと思える。
俺が変わったのか?浩介が俺を変えてくれたのか?
「あれ?本郷さんは?」
翔太が、本郷さんがいないことに気がついて声をあげた。
本当だ。いつの間にいなくなったんだろう?全然気づかなかった。辺りを見回すと、本郷さんの歩いている後ろ姿を見つけることができた。トイレでも行くのだろうか?
「森田さん、早く彼女を追いかけて!」
翔太が言う。え?どういうことだ?追いかけてって、何がどうなってる?
「詳しいことは分からないけど、彼女、たぶん怒って帰っちゃったんだよ!早く追いかけて!」
翔太の言葉に浩介は何かに引っ張られるように走り出した。
「浩介!」
俺は浩介を追いかけようと立ち上がろうとした。
すると、翔太が俺の手首を掴んで離さなかった。
「何するんだよ!」
「行かないで!」
翔太が俺に懇願する。
離せ!浩介を放っておけないんだ!行かせてくれ!
「僕、わかってるんだ。洋平の心の中には、森田さんしかいないって。でも、それでもいい、って思ってた。ずっと、そう言い聞かせてた。だけど、やっぱりそれじゃイヤなんだ。だからお願い、僕を1人にしないで。」
ごめん、翔太。お前をそこまで追い詰めていたなんて。だけど、もうダメなんだ。もう、嘘はつけないんだ、嘘をつきたくないんだ。
俺は、翔太の手を振り解いて浩介を追った。
どこだ、浩介!どこにいるんだ!?
だけど、俺は浩介を見つけることができなかった。これが、運の尽きなのか?俺には、これ以上、お前に何もしてあげられないのか?ただ、一緒にいることさえ許してもらえないのか?
俺は、自分の不甲斐なさに情けなくなった。もう、ここまでなのか?

花火大会のあったあの夜から、俺は必死に浩介のことを忘れようと野球部の活動に専念した。そんなある日、風の噂で浩介と本郷さんが別れたらしい、と耳にした。
そうか、2人、別れてしまったのか。以前の俺なら、自分にチャンスが巡ってきたと喜んでいたかもしれないが、今は浩介の気持ちを察すると、胸が張り裂けそうな気持ちになる。
でも、浩介がいちばん辛い時に、何も力になれなかった俺に、今更何ができるだろうか?
俺は、浩介への想いを胸の奥に封じ込めようと決心した。

後日、夏休みの登校日の翌日。俺は部活に参加したついでに、教室へ忘れ物のプリントを取りに行った。
こうして誰もいない廊下や階段を登っていると、そこかしこに浩介との思い出があって切なくなる。
あぁ、浩介に会いたいな。
会ってどうする?自分には何もできないのに。
俺は教室の扉を開いた。
すると、そこには恋焦がれている浩介の姿があった。浩介は、窓から外を眺めていた。
「あっ。浩介、そんなところで何してるの?」
俺は、思わず声が出た。緊張して、少し上擦っていたかもしれない。
「もしかして、俺のこと探してたりしてた?」
以前はよく、こんな風に軽口叩いていたっけな。あの頃が懐かしい。たったの数ヶ月前のことだというのに、今は浩介がとても遠くに感じてしまう。
浩介は何も言わずに黙っている。怒らせてしまっただろうか?ここは何とかして取り繕わないと。
「冗談だよ」
そんなわけ、無いよな。俺の姿を探していたなんて、そんなことあるわけないよな。
「浩介、本郷さんと別れたんだって?」
俺は、何を会話の糸口にしたらいいのかわからず、デリカシーの無いことを口走ってしまった。
まずい、何を聞いているんだ、俺は。
ここはなんとかフォローしないと、浩介の心の傷に塩を塗り込んでしまうことになる。何て言えばいいんだ?
「あまり落ち込むなよ。初恋は実らないって言うし、浩介ならこれからもいい恋愛できるからさ。俺が保証する。だって、浩介は俺が一度は好きになった奴なんだから。」
今できる、俺からの精一杯の励ましの言葉だった。少しでも、浩介の気が休まってくれたらいいのだが・・・。
だけど、浩介はずっと黙っている。どうしたんだろう、さっきから様子がおかしいような気が。気のせいだろうか?
まさかとは思うが、浩介、本当に俺のことを探していたんじゃないのか?もし、仮にそうだとしたのなら、もしかしたら、ワンチャンあるのだろうか?
よし、ここは一か八かだ、勇気を振り絞ってそれに賭けてみようか。
「何なら俺たち・・・」
『本当に付き合ってみるか?』と、言いかけたその時だった。
「そうだよ!そうだよね?僕、もう一度頑張るよ!」
浩介は、突然そう言って教室を飛び出して行ってしまった。ついさっきまで元気の無かった浩介が嘘のように、風のように去って行ったことで、俺の勇気は行き場を失ってしまった。
浩介、いったいお前はどうしたと言うんだ?願わくば、浩介にとってその気づきがいいことであってくれれば嬉しいのだが。
「堀田洋平君、校内にいたら至急職員室まで来てください。」
俺は校内放送で呼び出され、職員室へ行くと、野球部の顧問の高橋先生が俺を待っていた。
「あぁ、来たか。良かった、まだいてくれて。」
「何でしょうか、お話しって?」
「3年生も部活を引退して、これからの部の方針を決めたいと思ってね。」
「はあ。」
正直、今はそんな気分では無い。早く用件を済ませて帰りたいな。
「堀田、君にエースを任せたい。」 
あまりの突拍子も無い言葉に、俺は腰を抜かしそうになった。
「えっ?でも、俺はまだ1年生ですし、北野先輩もいるし・・・。」
「俺はな、堀田の潜在能力を、内に秘めた可能性を感じている。そこに先輩も後輩も無い。お前なら、甲子園を狙えるかもしれない。すぐに返事を出せと言うわけでもない。少し考えてみてくれないか?」
「・・・わかりました、考えてみます。少し時間をください。」
職員室をあとにした俺は、1人、中庭のベンチに腰を下ろして考えていた。
甲子園か・・・そういえば、浩介に俺が甲子園に連れて行ってやる、とか言っていた時もあったっけな。
あの時は少し冗談混じりだったけど、今なら本気で浩介に言えるのにな。
もう一度、出会ったあの日に戻れたらいいのにな。何度も思う。だけど、もう過ぎ去ってしまった過去には戻れない。現在は、過去の積み重ねで出来ている。今、こうして思えるのも、過去の積み重ねがあってのこと。違う過去を積み重ねていれば、また違う現在の自分がいる。
果たして、今の"現在"は俺にとって正しい"現在"なのだろうか?
その時、浩介が疾風の如く目の前の廊下を走り去って行った。
あれ?今の浩介だよな?帰ったんじゃなかったのか?また何か忘れ物でも取りに行ったとか?
・・・。
さっきの続き、今なら言えるかもしれない。
俺は浩介のあとを追って教室へ向かった。
教室の中をそっと覗いてみると、そこには俺の席に座っている浩介の姿があった。
なぜ、浩介が俺の席に座っているのだろう?
たまたまか?それとも俺の席だと知っていて座っているのか?その理由は何だ?
頑張れ、洋平。なけなしの勇気を振り絞るんだ。乾いた雑巾から、最後の一滴を絞り出すみたいに、勇気を振り絞るんだ。
俺は思い切って教室の扉を開けた。
「あれ?浩介、帰ったんじゃなかったの?」
俺は、できるだけナチュラルに、いつもの調子でいることを心がけて話しかけた。
俺は浩介が座っている前の席に腰を下ろす。なぜ、浩介は俺の席に座っている?早る気持ちを抑えるのに必死だった。なぜ?早く浩介に聞きたかった。
「堀田、帰っちゃったんじゃなかったの?」
「先生に呼び出されて職員室に行ってたんだよ。ところで、何で俺の席に座ってるの?」
浩介は何も言わない。何か答えてくれ、浩介。この沈黙は、何を意味しているんだ?
「何でまた戻ってきたの?」
浩介はただ、黙って俺を見つめてくれている。その瞳は、潤んでいる。浩介の瞳から、一筋涙が頬を伝った。
「何で泣いてるの?」
浩介は、俺の問いかけに、初めて自分が泣いていることに気がついたようだ。すぐにシャツの袖で涙を拭った。
「泣いてなんかない。」
浩介は、俺に泣いているところを見られたくないのか、席から立ち上がり、俺に背を向けた。
俺はこの時、確信した。
あぁ、浩介も俺のことを好きになってくれたんだ。俺も浩介のことを愛している。だから、もう泣くな。もう、浩介のことを泣かせるようなことはしないから。
そして俺は気がつくと、そっと浩介を後ろから抱きしめていた。
「嘘つくなよ。バカだな。人の話しはちゃんと最後まで聞けよ。」
浩介、やっぱり浩介は嘘が下手だな。そんなところがまた愛おしいんだけど。
「それってどういうこと?」
それって、説明が必要か?
「さっき、もう一度告白しようとしたのに、突然飛び出して行ったからびっくりしたよ。」
「堀田、彼氏いるんじゃ?」
「あぁ、あいつなら花火大会の夜に喧嘩別れしたよ。」
「なんで?お似合いだったのに。」
「俺が浩介のこと、まだ好きだってバレちゃった。」
俺にはわかる。浩介が、もしかしたら自分のせいで俺たちが別れたんじゃないかと思っていることに。
「そうだよ、浩介のせいだからな。ちゃんと責任とってもらわないとな。」
そう言うと、俺は浩介を向き直させて改めて力いっぱい抱きしめた。
「堀田、汗臭いよ。」
「浩介もな。」
浩介の汗の匂いが鼻腔を満たす。こんなに愛おしい匂いがあるだろうか?ずっとこうしていたい。俺の浩介を抱きしめる力がさらに強くなる。
「痛いよ、堀田。」
「あっ、ごめん。つい嬉しくて。」
俺たちは笑い合った。とうとう、この愛おしい笑顔が俺の方を向いてくれたんだ。良かった。生きてて、本当に良かった。
こうして、この日、俺たちは晴れて結ばれた。

後日、俺は浩介を家に招いた。
浩介は俺の部屋を見回し、鼻をヒクヒクさせている。何か匂うかな?ちゃんとファブったんだが・・・。
さて、これからどうしよう。緊張するなぁ。そうだ、とりあえずゲームをして間を持たせよう。
落ち着け、洋平。百戦錬磨の俺が、こんなことで緊張するなんておかしいぞ。
「浩介、ゲームやろうぜ。」
「うん、何やろうか。」
まさか三股までしたことのあるこの俺が、たった1人の彼氏相手にこんなにドキドキするなんて。初体験の時以上にドキドキする。童貞じゃあるまいし、気を確かに、自信を持て、洋平。

俺は今、本当の愛というものが何かわかったような気がする。
本当の愛とは、たぶん、相手の全てを無条件に受け入れることなんだと思う。
愛を信じる事は、神を信じることに似ている。
愛も神も実体を伴わない。それなのに、両方とも絶対的な存在だと信じられている。
目にも見えず、音も聞こえず、匂いもせず、味もせず、触れることさえできないのに、絶対的なものとして、愛や神が存在する事を疑わない。
そして、愛も神も両方とも尊くもあり、残酷でもある。決して美しいだけでは無い。
もし、愛する人が別れを望むのならば、俺は、その別れさえも受け入れようと思う。それがどれだけの痛みを伴うとしても、それが相手を受け入れる、ということだから。そんなことにはならないように、最大限の努力はするけど、もし、悲しい結末を迎えたとしても、それさえも受け入れる覚悟がある。
それが、俺の辿り着いた"愛"というものだから。

そんなことを考えていたら、無性に浩介にキスをしたくなってきた。
俺はゲームに夢中になっている、ノーガードの浩介の頬に軽くキスをした。
俺にキスをされた浩介は、猛烈に照れて、耳を真っ赤にしながらニコニコしていた。浩介も、嬉しかったのかな?そんな嬉しそうな顔がまた愛おしくて、俺は・・・。
気がつくと、俺は浩介の両手をがっちりホールドして押し倒していた。
あれ?なにこれ?どういう状況なんだ?これ?自分でも、自分が何をして、どうしてこういう状況になっているのか理解できない。
そして俺は、磁石に引きつけられるように浩介の唇にキスをした。
これが、本当の恋のキスの感覚なのか?
まるで、初めてキスをした時のような・・・いや、それ以上の喜びで、全身の神経が打ち震える。
うわー、浩介の唇、すっげえ柔らかくてエロい・・・。
俺はもう一度浩介にキスした。もうここまで来たら止められない。
思わず本気のキスをしてしまった。
「な・・・何するんだよ!」
浩介は、少しキレ気味だ。でも、そんな表情も嫌いじゃない。いや、むしろ新鮮で好きだ。
「何って、キスだよ。」
「いきなり入れてくるなんて、ひどいじゃないか!」
あぁ、この真っ白なカンバスを、俺色に染め上げたい。ていうか、これから染め上げてみせる。
「大丈夫、痛くないように挿れるから。」
大丈夫だ、大切にするから。そんなに心配そうな顔しなくても大丈夫だから。
「ちゃんと解すから問題ない。俺に任せて。」
怖がらなくてもいい、俺に全て任せてくれれば大丈夫だから。
「え?解すってどこを?」
野暮な質問するなよ。
「心配しなくていい。俺、皆んなから上手いって褒められてるから。」
俺、けっこうそっちのほうは自信あるからさ。
「え?皆んなって誰?」
なんか、いちいち質問が多いな。
「歴代の彼氏達だよ。それがどうかしたの?」
「ちょっと待って。歴代の彼氏達って、堀田は今まで何人と付き合ってきたの?」
「うーん。5人か7人くらいかな?たぶん。」
経験人数は、ここでは伏せておいた方がいいだろう。たぶん、確実に引かれる。
浩介は何か言いたげだったが、もう俺の理性は完全にぶっ飛んで、本能の前に屈服していた。
「まぁ、細かいことは気にするな。」
「気にするってば!誰か、助けてー!」
「大丈夫、今日は親達、旅行に行ってて帰って来ないから。」
そう、内心、こんなことになるかもしれない、なんて想定して、わざわざこの日を選んだのだ。
浩介、一緒に天国に行こうぜ。










おいしくいただきました♡





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